浦和フットボール通信

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Devotion to URAWA – 浦和を愛する事

浦和を愛する事

フットボールとは「ゴールを守り、ゴールを奪う」ただそれだけである。ただそれだけなのに、たった一つのボールから喜びも、悲しみも、様々な感情がスタジアムで交差する。それは、フットボールを愛するだけでなく、そこに自分が愛するクラブがあるからだ。愛するがゆえに「勝ちたい」と思うし、「勝たせる」ために12番目の選手として、サポーターは選手と共に一緒に闘う。そして勝利を手にした時に仲間と至福の時を迎える。どんなクラブでも「勝つ」ために思考錯誤をしながらチーム作りを行う。それは、プロチームとして当然の責任と義務だと思う。

■変革とは?
作シーズン、浦和は「変革の年」と位置づけにフィンケ監督の下スタートをした。シーズン終盤になり「変革」とは何だったのだろう・・・・?と考えさせられてしまった。3DFから4DFにシステムを変えた事が「変革」とは言えない。「人もボールも動くフットボール」と言う人達がいるが、そもそもフットボールは「人もボールも動く」事が大前提ではないだろうか・・・?

確かに、ボールをポゼションしながらパスを繋ぐフィンケ監督スタイルにはなっては来たが、そこに結果が伴わないと意味がない。 フィンケ監督は就任当初「育成を頼まれたからここに来た」と発言し、更に記者会見で「レッズには22歳から27歳の中心選手となる選手が少ない。他から選手を買って来るのではなくクラブで育てて行かないと行けない」と話した事がある。W杯の優勝チームの平均年齢は約28歳である。それは、チーム構成を考えると、ベテラン選手が培って来た経験と若手の台頭、中堅の選手がバランス良く構成されている年齢である。ベテラン選手だけでは、フィジカル的な問題もある。若手選手だけでは、あらゆる場面の駆け引きなど経験が浅い。いかにバランス良くチーム構成をする事が出来るかが優勝のカギとなる。フィンケ監督の言う通り、作シーズンのレッズのチーム構成を考えると非常に年齢のバランスが悪い。それは、中堅となるべき選手をレンタルで出してしまったり、レンタル先から戻しても選手を上手く活用して来れなかったり、また新たな活躍の場を求めて移籍した選手など色んな事情が絡み、今までのつけが来てしまったのだと思う。

代表監督は、勝つためにどう言うフットボールをするか、ビジョンを立てて、そこに選手をパーツとして各クラブチームから集めて代表チームを作り上げる。だが、クラブチームはそうは行かない。所属する選手の素質、特徴、他の選手とのコンビネーション等を考え、選手と言うパーツをいかに組み合わせて、勝つためにはどの様なフットボールが出来るかを考えてビジョンを立てる。もちろん、足りないパーツは補強と言う形で補うが、チーム構成と言うものは本当に難しいものである。

■何のためにピッチに立っているのか?何のためにスタジアムに足を運ぶのか?

しかし、レッズには「只今育成中」と言う大旗を振って欲しくない。そんな思いで昨年、「育成とおしゃるなら、さいたまスタジアムの試合を無料にして下さい。ファン・サポーターはグッズを買って、チケット買って、何とか自分の時間を作ってプロの興行を見に行っているんです。育成はユース・Jrユースで行って下さい」と暴言とも思える事を橋本社長にぶつけてしまった。山田直輝選手・原口元気選手など若手が活躍する試合も作シーズン確かにあったが、それを一概に「若手の育成」とは思えなかった。若手とベテランを上手く融合させて、ボールをポゼションしながらパスを繋ぎゴールを目指していかに勝利をおさめるか、全てはフィンケ監督の手腕にかかっていると思う。

そして、今シーズン、フィンケ監督の申し子とも言えるDFからFWまであらゆるポジションをこなせるポリバレントな選手でブルキナファソ代表MFサヌ選手(25歳)とアジア枠でオーストラリア代表で長身のDFスピラノビッチ選手(21歳)、そして、ボランチもトップ下も出来、豊富な運動量とパスセンスが魅力でゲームコントロールが出来るMF柏木陽介選手(23歳)を獲得した。獲得した選手達は能力が非常に高く即戦力として期待したい。

だが、いかに能力が高い選手でも、すぐにチームで機能出来るとは思えない。かつて、元ドイツ代表のウーベ・バイン選手がレッズに移籍して、当時FWの福田正博選手とコンビネーションを確立するのに約半年はかかった事を思い出すと、ある程度の時間がかかるのはいたしかたないだろう。しかし、新戦力がチームで機能するには時間がかかるかる事は理解できるが、万が一、結果が出なかった時の言い訳には絶対にしたくない。チームを作っている最中だからしかたがない等とも思いたくもない。作シーズンの情けなく、悔しく、悲しい思いがあるから、余計に今シーズンにかける強い思いがあるのかもしれない。

 何のためにピッチに立っているのか?何のためにスタジアムに足を運ぶのか?考えれば分かる事だと思う。スタジアムには愛するフットボールがあり、愛するクラブがあるからこそ「勝利」を支柱に収め、愛する仲間と至福の時を迎えるためである。 「タイトルとACL出場権」と言う目標を掲げた以上、クラブ、フィンケ監督はじめチームスタッフ、選手、サポーター、浦和の街、地元メディアが責任と義務を持って目標に向かい一丸となって進んでいかないといけないと思う。

今シーズンの開幕が迫った今、改めて、「浦和を愛する事」と言うのはどう言う事なのか・・・?もう一度、考えて見て欲しい

 

Profile 河合貴子  92年よりJ:COMさいたま「REDS GET GOAL」のパーソナリティを務め、浦和レッズを中心に取材活動を行っているフリーアナウンサー。「貴ねぇ」の愛称でサポーターからも親しまれている。指導者資格(財)日本サッカー協会公認C級ライセンス取得。

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