浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.137 (5/9)

セレッソ戦に引き分けて連敗は脱出。ライバル鹿島との決戦へ

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:GW最終日の6日(月)に敵地・長居スタジアムにて、セレッソ大阪戦が行われました。GW中の開催ということで、セレッソ側もこの試合に向けて盛り上げていた様子で、32,378人の大入り。レッズサポーターもアウェー側のスタンドを赤く染めて連敗中のチームをサポートしようと集結しました。しかし、結果はご存知の通り2-2の引き分けでした。非常にもったいない試合でした。

豊田:終始押し気味で後半37分に勝ち越し。それも逆転のゴールをゲットしながら勝ちきれない……もったいないというなら、ここまで歯ぎしりしたいほどのアウェー戦もないでしょう。連戦の疲れも否定できなが、「試合の終らせ方」に入る策が共有できていないように見えます。こういう現況にはストレスを感じる。激しい攻防の終盤にはなりましたが、ロスタイムのシンプリシオのミドルなどは目を瞑りたくなるシーン。試合のイニシアティブでは常に先行して掴んでいたのに、帳尻を合わせる結末だけはセレッソの方が同じ絵が描けていました。

椛沢:ボールポゼションで上回るものの、隙を突かれて先制点を許してしまうという、大宮、清水に続く悪い流れの試合の中で、違いを見せてくれたのは、原口元気の70メートル独走ドリブル突破からの同点ゴールでした。丁寧に相手を崩す形は作っているものの、どこか物足りない。外から見ていても怖さをさほど感じない中で、原口の素晴らしい個人能力が光りました。ボールを持った時の怖さのある唯一の選手が原口だと改めて証明してくれました。パスが綺麗に回る中で、彼がいることでアクセントになると思います。この得点がなければ勝ち点1も拾うことが出来なかったかもしれません。

豊田:4人に囲まれてのゴールは最大の見どころでした。永井雄一郎のヴェルディ戦の独走ゴールを思い出させるパフォーマンス。ただ編集長言うとおり、こういうゴールに向けての「打開のトライアル」をアタッカー中心に選手各自が試みて行かないと、夏場に向けて大きな課題を抱えると思います。ここに来てミシャも壁にぶつかった印象。ACLを挟んだダメージは残っているし、軸となるDFやボランチにはベテランが出ずっぱりの状態が続いているので……。

椛沢:原口のゴールで同点。そして逆転ゴールをセットプレイから那須が決めました。サポーターはこの試合から、那須大介の個人チャントを作り、それを試合前から歌い、期待を示しました。永田が怪我で欠場してから3バックのセンターに入り、気迫の守備でチームを締めるだけでなくゴールも決めてチームを支えている活躍に対してのサポーターの評価だと思います。それに応える形でのゴールとなり、あとは勝ち点3へのカウントダウンだけでしたが、ここで守りきれないのが今季の悪いところです。圧力をかけてくるセレッソに対して、守備陣が我慢しきれずに同点ゴールを許してしまいました。サポーターは、長居で生まれたチャント「PRIDE OF URAWA」でチームの勝ち越しを念じましたが、それも届かず、2-2の引き分けとなりました。あのリードした場面で、ボールをしっかり繋いで、相手を引き込み、更にカウンターで相手を仕留めるという余裕が出てくれば、さらに上のステップに登って行けるのだと思いますが、まだまだ未熟な部分が出てしまいました。本当に優勝を狙うチームであるならば、この試合はリードしたら勝利で終えなければいけなかったと思います。

豊田:このところの那須選手の決定力は苦しい状況下でも計算できる力となっているだけに、成果に結び付けたい。そういうセオリーから、ラスト15分の結束も生まれて来ると思うんです。次に期待しましょう。

椛沢:次節はホーム埼スタで、鹿島アントラーズ戦です。この試合はJリーグが指定したJリーグ20周年記念マッチという名誉ある試合になりました。レジェンド外国人OB選手として、レッズからロブソン・ポンテ。アントラーズからはアルシンドが試合前に登場をして試合を盛り上げてくれるそうです。既に45,000枚のチケットが売れているということですからが、5万人突破の期待が掛かる試合となります。この20年間アントラーズとは因縁の対決が数多くありましたが、その中でも一番思い出に残っているのは、2004年のセカンドステージ初優勝を決めるシーズンとなった、アウェーでのアントラーズ戦が最も思い出深いですね。サポーターが主導をして60台のバスを連ねての「3000人バスツアー」を開催して、ぎっしりアウェースタンドを埋めた3000人が一体感をもってチームをサポートしたあの感覚は今でも忘れられませんね。試合も打ち合いの末に、エメルソンの勝ち越しゴールで3-2の勝利。その勝利の勢いそのまま、その後、セカンドステージ初優勝の結果も手に入れることになりました。豊田さんの思い出に残る鹿島戦はいつのゲームでしょう?

豊田:多くのゲームが印象深いです。でもチョイスすると例によって古いゲームになってしまう(苦笑)。来日3年目のギドを中心にしたレッズが初優勝の可能性を残して鹿島と対戦した96年11月の国立での対戦。豪雨のナイターというのに立錐の余地もなく埋まったスタンドが壮観でした(結果は延長の末にPK戦負け)。そして降格してしまった98年前期、同じく国立で小野伸二のFK一発で勝利したゲームも忘れ難い。あのキックの軌道は本当に美しかったし、躍り上がった満員のゴール裏も熱かったです。

椛沢:両ゲームとも私も強く印象に残っているゲームですね。96年はレッズが初めて優勝に近付いた試合で、中継に噛り付いて試合展開を見守っていたことをおぼえています。98年は、スタンドで観戦をしていました。伸二のスーパーFKが決まり1-0での勝利をしたということで、試合終了後も熱気が収まることは知らず、帰り路のサポーターが、自然発生的に、『浦和レッズカンペオン』のチャントがコンコースで始まり、歌いながら帰ったという熱狂の雰囲気は今でも脳裏に焼きついていますね。いつの時代も鹿島戦は盛り上がります。今週末の試合も激戦必至の展開となるでしょう。連敗から引き分けと失速気味のレッズですが、この鹿島戦で是が非でも勝利をして、大宮追撃への足がかりとしたいところです。

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