浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.150 (7/30)

さいたまシティカップ・アーセナル戦。激闘・東アジアカップ日韓戦

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週金曜日は、さいたまシティカップのアーセナル戦が行われました。金曜日開催でしたが、40,769人の入場があり、レッズだけではなくアーセナルのユニフォームを着たサポーターも数多く見受けることができました。試合は1-2と敗れましたが、親善試合としては非情に締まったゲームだったのではないでしょうか。ミシャサッカーは、4-4-2システムに対してギャップを作る戦術なので、4-4-2が代名詞となっているアーセナルのサッカーに対して、どの程度通じるのかという観点で注目をしていましたが、アーセナルもレッズのサッカーに対応できない部分もあり、十分に通用していたと思います。

豊田:シティカップは久々に豪華な雰囲気が漂い、夏休みに入ったファミリーに向けても格好のイベント構成になったと思います。プレミアの名門イレブンがそろうピッチ上を楽しむことができました。それでも香川真司治擁するマンチェスターユナイテッドを迎えた横浜とは異質な盛り上がりは感じた。山田直輝のアナウンスの際の歓声、ずいぶんと響き渡っていましたね。レッズサイドからもアカデミー出身選手たちが多数ピッチ上に登場したこともあって、特にシーチケホルダー層あたりのサポーター連中にとっては自然発生的なコールもずいぶんと出ていたようです。ゲーム結果はなんとももったいない失点で敗戦となってしまいましたが、あの矢島慎也選手の決定機、決めて欲しかったな……。

椛沢:矢島、永田拓也、岡本拓也、浦和っ子たちが次々と登場して、盛り上がった部分は確かにありましたね。その中でも、注目は山田直輝の復帰でしたね。ゴール裏スタンドからも彼のチャントが発せられました。プレーでもシャドーの位置に入り、直輝らしいプレーを魅せてくれました。長期の怪我からの復活ですので、じっくりじっくりと彼はパフォーマンスを戻していってもらいたいと思います。その他、リーグ戦では出番のなかった、小島もボランチに入り、及第点の活躍だったのではないでしょうか。落ち着き払ったプレーに、ビルドアップの能力。後半戦に向けて彼の登場を予感させるプレーでした。GK山岸も今季初登場。さすがのシュートストップを幾度も見せてくれましたし、GKからの展開の部分もレベルアップしているように見受けられました。そして阿部のゴールは盛り上がりましたね。こぼれ弾が突き刺さった瞬間は埼スタが大いに盛り上がり、気持ちよかった。

豊田:ただ地元自治体が深く関わるイベントとして見れば、メインゲームのステージがホームタウンのサッカーとはかけ離れた位置に置かれていることがちょっと残念な気がしました。こういう舞台を、かねてよりURAWAの課題としてタウンミーティングでも話題にのぼっているフットボールフェスタなどに結び付けられないものかな?と。そういう気分があった。例えばアーセナルを迎える豪華イベントの前に、地元の育成年代の招待マッチなどがセッティングされていれば、さぞかし違う盛り上がりも期待できるのに……これは本誌のテーマに鑑みても将来への宿題なのですが、そういう改善部分も思い浮かびました。

椛沢:ある意味、トップチームと海外クラブの対決だけでは、打ち上げ花火に過ぎないところがあるので、その他にも海外のフットボールを感じられる、学べる機会があっても良いかもしれませんね。ちょうど同時期に、埼玉国際サッカージュニアが開催をされていて、ドイツ、ロシア、タイ、メキシコなどの子供たちが埼玉スタジアムを拠点とした、大会に参加もしていましたから、その辺りの連携があっても良かったかもしれません。続いては、東アジア選手権です。見事、Jリーガーで構成された日本代表我初優勝を果たしたわけですが、その優勝を決めた、日韓戦では、レッズから槙野、原口がスタメンで出場をしました。原口は多くの時間を守備に費やす我慢の時間が多かったと思いますが、最後の最後に、彼ならではの縦に仕掛けるドリブルで、シュートを打ち込み、そのこぼれたボールを柿谷が決めて、それが決勝点になりました。あの縦に仕掛けるプレーは、日本人でも原口特有の能力かもしれませんね。槙野は体調不良で途中交代となり、大会を通じても満足いくプレーではなかったのではないでしょうか。サイドバックでのプレーということもあり、守備の部分を多く求められるという所では槙野がもっとスキルアップしていかなければいけないでしょう。同ポジションは長友がいるわけですから、厳しい状況であることは変わらないと思います。

豊田:洪明甫監督が率いる韓国のサッカー自体が、非常に彼の時代の代表チームの特性を引き継いでいるように見えました。低い位置でのフィジカルと粘りをいかしたプレスで、あとはサイドチェンジから放り込む。敵ホームの蚕室(チャムシル)は雨天。ピッチコンディションとむし暑さから考えても、あの時間帯の日本イレブンの消耗は相当に激しかったと思います。後半の時間帯でタテにボールが入った後に原口が前を向けたチャンスはほとんどあの一回だけだった。よく競り勝って、抑えたシュートをワクに飛ばしたと思いますよ。決めた柿谷の冷静さには脱帽ですが、元気としては精一杯の「日韓戦体験」だったと感じました。

椛沢:蚕室の日韓戦といえば、永井雄一郎の決勝点で勝った試合を今でも思い出します。ワールドカップ出場の望みを繋いだ2-0の日韓戦も印象深い。日韓戦はいつの時代も特別なものです。この試合で、サッカーで日本が上に行っているということを改めて示せたのではないでしょうか。あのロスタイムの柿谷のゴールで勝利が出来たことは、大きな勝利だったと思います。

豊田:柿谷君は元気よりも1級上の90年生まれで、U16年代では直輝や高橋峻希の代表チームでの同僚でした。折しもソウル郊外の高陽で行なわれた世界大会に取材に行き、フランス代表相手にハーフラインから放り込むスーパーゴールを決めた場面に居合わせましたが、天才型そのものだった奔放なキャラクターからは完全に脱皮した印象ですね。いよいよ日本サッカー現役選手の中心に育って来たこれらの年代のプレーヤー動向は非常に気になります。代表チームでのザッケローニの戦術軸は強固なものですが、レッズのプレーヤーにも選出のチャンスは必ずあると信じています。まずはJでのプレーぶりが原点となることは間違いありません。頑張って欲しい。

椛沢:柿谷は天才プレイヤーから、一流の選手への階段を登りかけている印象ですね。同世代の直輝、峻希たちにも負けずに頑張ってもらいたい。その他のレッズの選手にも代表チームに食い込む活躍を見せて欲しいですね。Jリーガーが活躍することがJリーグの活気にも繋がるわけですから、その辺りの意識ももちながら、頑張ってもらいたいです。そのJリーグは、明日より再開します。レッズはアウェー静岡エコパに乗り込んでのジュビロ磐田戦です。周知の通り連敗中のレッズですから、この試合で連敗を是が非でも止めなければならない。自分たちのサッカーを展開するために、しっかりと走る。球際で負けない。個々の選手達の勝負でまずは勝って、試合の流れを手繰り寄せたいところです。

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