浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.152(8/13)

浦和の”バンディエラ”へ!山田直輝復帰。

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週末は敵地・豊田スタジアムでレッズはグランパスと対戦をしました。全国的に猛暑日のこの日、現地、豊田も例外に漏れず、強烈な暑さでした。さらにお盆休み初日ということで、東名高速道路は混み合っていました。それを警戒して前日の深夜に出発をしたわけですが、それでも都内の山手トンネルから渋滞は始まり、厚木近くまで渋滞は続いていました。その後も各所で渋滞があり、通常4、5時間で到着する豊田まで9時間を要しての遠征でした。ここまでして来たのだから勝ちたいと思うのがサポーター心ですが、残念ながら2-0と名古屋に完敗でした。アウェースタンドを埋め尽くす5000人近いレッズサポーターが敵地に足を運び、蒸し風呂のようなスタジアム環境下ながら、レッズを後押ししましたが、力が及びませんでした。

豊田:かねてより混雑を予想して早々に新幹線予約で参戦した人たちも多かったようですが、名古屋のヒートウェーブはグランパス以上に強烈だったそうですね。テレビ観戦でしたが、猛暑の中をお盆の予定もソデにして駆けつけたサポーターのためにもここでキャリアの差を見せ付けて欲しかった。マルシオの2ゴールで突き放した昨年の瑞穂でもそうだったが、もはやチーム戦術の完成度では浦和はグランパスとは経験値の違う時間帯を過ごしているわけです。私たちが熱望しているクラブとしての蓄積を証明するためにも、序盤のチャンス、モノしておきたかったな。

椛沢:何を当たり前のことを言うんだと言われるかと思いますが、サッカーはゴールを決めて、ゴールを守らなければ勝てない。そんな試合でした。全体的な内容としてはレッズが目指すサッカーが遂行されていたと思います。しかし絶好機のチャンスでゴールを決めることが出来なかった。そして守るべきところで守れなかった。

豊田:那須からの出球を興梠スルー、宇賀神を経て興梠に戻した決定機は出色でした。名古屋の守備網は展開の速さにまったくついていけず、彼が抜け出した瞬間には相手最終ラインの三人はお手上げの状態。フィニッシュまでのイメージはレッズ攻撃陣だけが鮮明に同じ絵を描けていた場面でした。あれが決まっていれば、「もはやグランパスは相手ではない」というイメージを双方に広く植え付ける効果さえある場面だったと思いますよ。

椛沢:こうなってしまっては、勝機は相手に転がってしまいます。選手達はもう一度、この意識を強く持つべきです。優勝するチームには20点近くゴールを奪うストライカーがいると言われていますが、決めるべき所で決める選手の存在が優勝するためには必要になってくると思います。興梠選手には、ぜひその役割を担って欲しいと思います。

豊田:ミスからカウンターの隙を与えてしまった失点シーンも悔やまれます。こう言っては失礼だが、新手の攻めの展開はほとんど警戒不要のピクシー名古屋に対して挽回のチャンスを自ら献上した印象。蹴りこむだけの位置に走った敵エースに燃料を投下してしまいました。

椛沢:名古屋にみすみすチャンスを与えてしまった印象は同じく受けますね。そんな中で山田直輝が久しぶりの公式戦復帰となりました。2点ビハインドの中での投入となり、流れを変えるまでの活躍は出来ませんでしたが、あの場面でミシャが投入したことに、彼への期待が現れていて嬉しい気持ちもありました。サポーターの気持ちも汲んでプレーできる選手ですし、彼がピッチに登場することでの力は今後も出てくるのではないでしょうか。

豊田:もとより彼の持ち味なのだが、プレースタイルそのものがイレブンに活を入れ、スタンドのリズムを呼び起こす動的なタイプ。以前はよくダイナモとか呼称されましたけど、私は個人的にこういう雰囲気を持つバンディエラには目がないです。他の選手に背中でメッセージできる主力として、はやくトップチームでの地位を確立させて欲しい。いや、彼が台頭して来たころに「うちのイニエスタ(バルセロナFC生え抜き)になって欲しい」と評する連中がいたけど、遠からずの理想像と思うんですよ。アヤックスのエドガー・ダービッツやリーズのビリー・ブレムナーも、同類のストライクゾーンとして認識しているんですが(笑)。

椛沢:レッズのバンディエラといえば、言わずもがな“ミスターレッズ”福田正博ですね。どんな時でもなんとかしてくれるという雰囲気があった選手。引退後に話を聞いて、サポーターの気持ちを感じて、それをプレーで表現していたんだなと思った時は、サポーターと築いた信頼関係は、この部分にあるんだと思いましたね。海外では、ミランのストライカーだったインザーギですかね。チームが負けている状態で登場して、絶対に追いつかないボールに対しても必死に追いかけて、それに対してスタンドが一気に盛り上がり、逆転の雰囲気を作ってしまうという……。先日、他チームのサポーターに、「今のレッズサポーターって応援しやすいの?サポーターが求めていることを分かる選手がいないように見える。」と言われて、なんとも言い返せなかった。その存在として、直輝には期待したいですね。さて、今季は好調だったお隣のチームが早くも騒がしいことになっています。セレッソに敗れて5連敗となり、ベルデニック監督を更迭したというニュースが飛び込んできました。ヘッドコーチを務め、今季途中からTDになった小倉勉氏が監督になるのではないかという噂です。このようなお家騒動を見ていると他人事とは思えない……。チームを支える体制が本当に出来ていたのか、監督更迭だけに原因を求めると根本的問題解決にはならないのではないかと、疑いたくなりますね。チームが一丸となって戦える環境を作ることの重要さを、感じる出来事でした。

豊田:本当に驚きました。無敗記録のJレコードを作ったチームが、未体験の上位に順位をおきながらシーズン途中に指揮官の退任を迎える……いくらなんでも不可解な部分が多すぎます。ナクスタ・ダービーで相対したときの大宮のボルテージ、あれはひと時のアダ花だったのでしょうか? 知り合いのフットボールマスコミの方に聞いたのですが、クラブ内の意識統一にも未完部分があるようです。ベルデニック監督の貢献についても評価が分かれている気配があったとか……。これが本当なら組織根幹を揺るがしかねない問題で、一挙に指揮官退任の流れにまで至ってしまう病巣でしょう。監督がエースプレーヤーを主力から外すのと、フロントが成果を出している指揮官を退任に追い込むのとでは、クラブにとっての「事の重大さ」はまるで違いますから。

椛沢:ベルデニック監督就任以降、個の能力は高かった大宮の選手が組織化されて、はまっている感じは受けましたよね。歯車が乱れてからは、まとまりきれない大宮の悪さが出ているように見えました。一丸になることの重要さは一番分かっているはずのクラブですが、話は簡単にいかない部分があるのでしょうかね。今週末は、ホーム埼スタに戻っての大分戦です。現在、最下位に沈む大分ですが、もちろん油断は大敵。守備を固めてくるであろう大分に対して、しっかりとチャンスを作り、ゴールを決めきれないと苦しい展開となる可能性があります。頂点を目指すために、もう一度、気持ちを引き締めなおして勝利を目指してもらいたいと思います。

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