浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「自分へのリベンジ~宇賀神友弥選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

エコパでの借りをエコパで返した。宇賀神選手はさらに一回り大きくなる

清水戦後のヒーローインタビューを終えて、独りでゴール裏に挨拶に向う宇賀神友弥選手は、右手を上げながら喜びを噛みしめていた。

背番号3の後姿は頼もしく輝いて見えた。それは、同じエコパで行なわれた磐田戦とは、全く違う姿であった。

7月31日磐田戦で、試合終了間際に劇的な逆転勝利を収め、皆が勝利に酔いしれる中、宇賀神選手は暗い顔をして「チームが最後まで諦めずに闘って、勝ってくれたことが全てだと思う。個人的には、なかなか喜べない」と話した。それもその筈である。試合立ち上がりに、宇賀神選手は単純なコントロールミスをしてしまい、そこから本来のプレーが影を潜め自分のプレーを取り戻せないで途中交代となった。

「最初のミスで慎重になり過ぎてしまった。全てのプレーにおいて、自信なさげにやっていた。これ以下は無い」と自分の不甲斐なさに憤りを感じていた。

宇賀神選手は「選手には、引退せざる負えない状態で引退する選手と山さん(山田暢久選手)みたいにずーっとトップにいて引退して行く選手といると思うけど・・・。ダメになって、このままずるずる行って、試合に出られなくなって落ちて行く。どんどん落ちて行って、引退せざる負えない選手ってこうやって落ちて行くんだなぁって思った」と磐田戦後の心境を正直に話してくれた。

だが、宇賀神選手は落ちて行く自分を奮い立たせて、何とか踏み止まった。ミシャ監督から清水戦の前のミーティングで「全員が質を上げないといけないが、特にウガは、ちゃんとやらないといけない」と名指しされた。土田コーチから「お前、期待されていて良いなぁ!」と言われ、「期待されているのかなぁ?!と思いつつ、逆に考えて、出来る人にしか言わないと思った。いろんな人が声をかけてくれて、下を向きながらやってもしょうがない。自信を持ってやれば良い」と宇賀神選手は気持ちを切り替えていったのだ。そして、「大学時代にプロの試合を見ていて、何で仕掛けるプレーをしないんだろう?と思うことが多かった。自分がプロになって勝負の場面に来たら、見ている人が『行け!』と思うプレーがしたい。局面で仕掛けるプレーをしないのは、ボールを相手に奪われるよりも悪いプレーだと思う。これが、自分の原点だ」と宇賀神選手は、自分の原点に返り練習に取り組んだ。「ボールを持ったら、先ずは前!」ミスを恐れずにチャレンジを繰り返し、自分自身を取り戻していった。

そして、宇賀神選手は「不甲斐ないプレーをしたエコパで、不甲斐なかった自分に対するリベンジ」と思って清水戦に臨んでいたのだ。「チームとして勝つのは勿論だったが、独りで、エコパに勝手に因縁つけていた。磐田戦で全く自分のプレーが出来ず、エコパということで、凄く緊張した。ナイーブになっていた所もあった。勝利に貢献出来て、得点に絡めた」と満面の笑みが零れた。清水戦で宇賀神選手は、同じポジションをこなす梅崎司選手とは全く違うプレースタイルを見せて、チームを勝利に導いた。見事に、自分へのリベンジを果たした。

リベンジを果たした宇賀神選手であるが「中に入って仕事するのも勿論だが、もっとサイドのライン際で存在感を出したい気持ちが強い。外で仕事が出来ない時でも、そこで突破出来る圧倒的な力が欲しい。ただ突破するだけでなく、左なら槙野と元気とコンビネーションで起点を作ったり、周りとの連携は自分の良さでもあると思う。存在感を発揮したい。右も左も今まで以上に遜色無くプレー出来ていると思うし、ドリブルもかなりスムーズになってきている。右も左も出来ることは自分の強みだと思うが、スペシャリストになりたい」と満足すること無く、志を高く掲げた。

「最終的には、ヒラさん(平川選手)みたいに、常に安定したプレーでどちらかのサイドのスペシャリストになりたい。早くヒラさんの域に近づきたい」と話した。

試合で失った自信は、練習で取り戻すことは出来るが、それは本当に取り戻したことにはならない。確固たる自信を取り戻すには、試合のプレーに掛かっている。磐田戦後の暗い情けない顔をした宇賀神選手は、もういなかった。相手は違っていたが、宇賀神選手は同じスタジアムで不甲斐なかった自分にリベンジを果たしたことで、選手として、次なる1歩を踏み出した。それは、浦和が強くなって行く大きな1歩になる。

uga201305Photo by(C) Kazuyoshi Shimizu

Q.筋肉痛ってどうして起こるのでしょうか?

A.運動することにより、筋肉が硬くなります。硬くなった筋肉で運動を続けていると、筋肉が壊れてきます。すると壊れた筋肉の周りが腫れて、筋肉の中にある血管が圧迫されます。圧迫されると、筋肉に浮腫みが生まれ、さらに血管の圧迫が強くなります。血管のそばには必ず神経があるので、浮腫みによる圧迫により、神経が押されて痛みが発生します。筋肉に柔軟性があると、運動したあとも筋肉が硬くならず、筋肉痛は起こりにくくなります。まれに、激しい運動で筋肉が大量に壊れて発生する横紋筋融解症という病気があります。筋肉が壊れて、激しい筋肉痛、筋硬直、発熱などを伴い、筋肉の酵素が沢山出て腎機能障害を起こすこともあります。熱中症の熱痙攣もこれと同じ状態です。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科クリニック
整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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