浦和フットボール通信

MENU

【This Week】週刊フットボールトーク Vol.155(9/4)

田中達也、埼スタに凱旋。興梠の虎の子の決勝点を守り切り、新潟に勝利。

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週末はホーム・埼玉スタジアムでのアルビレックス新潟戦でした。前節、横浜に完敗しているだけに、連敗だけは避けなければならない重要な一戦でした。そんなレッズを後押ししようとレッズサポーターも多く駆けつけて40,372人がスタジアムに集まりました。今季から新潟に移籍した田中達也の初の凱旋試合でもありました。試合前の選手紹介では通常はブーイングで迎えるレッズサポーターもレジェンドに対しては、多くのサポーターが拍手で彼を迎えました。達也らしいプレーが見られましたが、柳下監督は調子が悪いと判断をして前半の途中で交代。レッズ側としては助かったと思った人が多かったのではないでしょうか。

豊田:私も「ラッキー!」と思った一人です。交代を告げられる直前、バックラインの裏に抜け出して左からGKと1対1になった場面……何ともいえない瞬間でした。「こんなの入れられたら、またぞろ歴史の1ページ」とキモを冷やす自分と、「達也には決めさせてやって」と心の中で神頼みしてしまった自分(笑)。全盛期の達也なら、ネットを破らんばかりのグラウンダーがレッズゴールを揺らしていたのでは?

椛沢:達也には決められたくないという思いと決めて欲しいという気持ちが共存したのが、なんとなく分かります(笑)。新潟は横浜同様に前線からプレッシャーをかけて、レッズのビルドアップを遮断してきました。それに対抗して、この日のレッズは横浜戦での敗戦を生かし、ロングボールを使い、相手のプレッシャーを回避しました。しかし、これにより攻撃部分ではチャンスをほとんど作ることが出来ずに、前半は0-0で折り返します。

豊田:本当に達也がピッチを去るあたりまでの守備陣はぎこちなかった。強風でボールの収まりもままならず、ゲームを通してパスカットからのピンチに再三持ち込まれていました。新潟のフィニッシュ精度のなさに救われたけれど、サイドを振りちぎられてフリーで折り返される場面のたびにスタンドはフリーズ状態でしたよ。ただ豪快に飛び込んでくる敵エース・川又選手を、横浜戦ではよれよれだった那須選手が意地の守りで自由にさせなかった。このあたりは課題は残したままとはいえ、よく横浜戦のダメージから立ち直ったと思います。

椛沢:勝利が欲しいレッズは後半勝負に出ます。鈴木啓太に代えて原口元気を投入。柏木をボランチに下げて攻撃的布陣をとります。この交代が功を奏して、59分、原口がドリブルの仕掛けからシュートを放ち、このシュートはGKに弾かれますが、このプレーで一気に流れが変わったと思います。その数分後、柏木が裏に抜けた興梠にスルーパス。これを受けた興梠がGKと一対一になり、浮かせたボールでGKを交わしてゴールを決めました。

豊田:原口はあの場面以外は見せ場がなかったですが、よく打ったと思います。彼の立ち位置からすれば、出たからにはトライが肝心。スタジアム全体が膠着する中、ミシャのカード選択も元気のシュート選択も正解だった。埼スタは、空気から変われる場所だから……。あと、興梠が持っているシュートまでの引き出しの多さは特筆すべき。これはプロとしての意識の問題でしょう。ミスターレッズ福田正博さんも、インサイドキックだけはどんなメニューの後でも徹底して毎日やったといっていたが。。。。興梠君にも浦和に来るまでの苦しい鍛錬の積み重ねがあったはずです。阪野君や元気も、ナマで見られるお手本の努力は体感して欲しい。補強はこのような「周囲への影響」も大きな意味を持つことを示して欲しいです。

椛沢:苦しい展開の中での貴重な先制点。スタジアムが喜びで爆発しました。その後も新潟の攻撃を受けますが、スタジアムが一体となって、なんとか虎の子の一点を守り抜いて勝利。この試合は結果に拘ったサッカーで、勝ち点3を難敵新潟からもぎ取りました。リーグ戦も余すところ10試合。首位横浜、広島が破れたため、浦和は首位横浜と勝ち点1差での2位に浮上。振返った時に新潟戦の勝利は大きかったと言える試合になるかもしれません。

豊田:今季も勝負どころで「PRIDE OF URAWA」のチャントがくり出される時節に来ました。試合後のイレブンのユニ・メッセージも「王座奪還」。カタチの上では横浜戦の完敗が帳消しにされる結果です。当面のライバルたちが敗れたタイミングで3ポイントを確保したことは起点になる。

椛沢:リーグ終盤戦になり、柏のネルシーニョ監督の突然の辞任が発表されました。昇格一年目での優勝を果たすなど、柏を蘇らせた監督もあっという間の幕切れでした。ACLの試合も残しているだけに、不可解な部分もあります。クラブの組織的な問題があったのか、大宮に続いて興味深い事象です。

豊田:不可解といえば両チームとも本当に不可解。よそ様を気遣っている場合ではないですが……連敗を止めたとはいえアルディージャは未知数に戻ってしまったし、Jの最後の砦である柏のACL挑戦にも暗雲が漂う事態と思います。双方のサポーターや地元ファンは、このようなクラブのプロセスをどのように受け止めているのでしょう。

椛沢:さて、今週末はリーグがお休みで、ナビスコカップ準決勝1stレグ川崎戦です。レッズが2003年に初優勝してから10年目の大会。ぜひ決勝に進出して、久しぶりに優勝を果たしたい大会です。川崎にはアウェイで0-4の大敗も喫していますから、このリベンジも果たしたいところです。

ページ先頭へ