浦和フットボール通信

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URAWA TOWN MEETING第7回「2013シーズンを振り返って」(1)

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浦和レッズ×浦和フットボール通信 第7回「2013シーズンを振り返って」(1)

■ゲスト:橋本光夫代表、松本浩明(広報部長)
■司会:椛沢佑一(浦和フットボール通信)、豊田充穂
■ 日時:12月25日(水)
■場所:酒蔵力 浦和本店

ファン・サポーターはじめ、浦和の街と共に浦和レッズをしっかりとサポート出来るように、クラブ側とお互いの意見交換が出来る場を設け、しっかりとしたコミュニケーションを図りながら、クラブとファン・サポーター、浦和の街の方々が三位一体となれるようにと開催されている「URAWA TOWN MEETING」。「2013シーズンの浦和レッズを振返って」をテーマに開催された第7回の模様をリポートする。

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2013シーズンの総括について

椛沢:年末のお忙しい中にお集まり頂き、ありがとうございます。開会の前に、浦和レッズ橋本代表から一言ご挨拶を頂きます。

橋本代表:ホームタウンのタウンミーティングが7回にもわたって開催され、私も4回参加させて頂いていること、ありがたく感じております。日ごろから浦和レッズにご声援を賜り、この場を借りて御礼申し上げます。チームは早いシーズンオフを迎えてしまい、リーグ最終戦の翌日の12月8日が解散式。いまは2014年1月15日からのチーム始動を考えている最中です。始動からすぐ17日から27日まで、宮崎での1次キャンプを行い、2月2日には浦和駒場スタジアムでレッズフェスタ開催を企画しております。その際に、来シーズンの陣容についても、明確にご案内できると思いますので、楽しみにして頂ければと思います。

椛沢:まず橋本代表、野田選手の名前は?(笑)

橋本代表:野田紘史君ですね。その件につき最終戦の後に、挨拶で彼だけフルネームで呼ばなかったことで色々と話を頂いたのですが(苦笑)山田選手と永田選手は同じ名前の選手がいるので、フルネームで呼んだということです。

椛沢:状況、理解しております。場を和らげるための質問でした。さて、まずは浦和レッズトップチームの2013シーズンについて振返りたいと思います。2013シーズンは、17勝7分10敗(15勝10分9敗) 勝ち点58、6位、66得点56失点という結果でした。昨季と比べても失点が増えた印象があります。シーズン終盤まで優勝争いを演じましたが、終盤の試合で3連敗と失速して6位に終わった形となりました。その今シーズンについて、クラブとしての総括、また今シーズンの課題についてはどのように考えているかをお聞かせ願えますでしょうか。

橋本代表:クラブのチームに対する総括は、強化部でしっかりとするように話をしています。来年初めにクラブ全体としてチームの成績内容に関する総括をしようと考えています。その結果を踏まえてシーズン開幕の前に2013シーズンの総括と来シーズンに向けての話をしなければなりません。1月15日にチームは始動しますが、その前に監督、全てのコーチ、チームスタッフと、クラブスタッフは私と部長以上の全メンバーが一同に介し、総括と来季に向けての話をする機会を持つ予定です。細かい総括については強化部が行い、その内容についてはクラブとして共有する必要があると思っています。私自身も最後の数試合で10点以上の失点をしてしまい、失点が多かったという印象があります。解散式でその場で全選手に言い渡しましたが、今季は残念なシーズンであったということです。ここで勝てれば首位に立てるという試合が何試合かあった。ここで勝てばタイトルが取れる試合もあった。メディアからはそういうゲームを落とすということは、メンタルの問題があったと言われています。

椛沢:はい。

橋本代表:しかし私自身はメンタルの問題もあるけれども、第一に浦和レッズとしてはゲーム中の厳しい状況の中でも100%自分達が狙っているサッカーができることがポイントと考えています。技術的にしっかりと裏づけされたチーム力を持つことが必要であって、その部分を100%追求し続けているチームが、最後にメンタルが大事だという話になってくると……。勝てなかった要因をすべてメンタルが弱かったということだけに捉えずに、チーム力が技術的にどうなのか、戦術の理解度がどうだったのか、個々の能力がどうだったのかを、振り返ることが大事ではないかと話をしました。私から今お伝えできることは、そのようにチーム力としてまだ不足していると冷静に考えるべきではないかということです。

「継続が重要」が基本的な考え方

椛沢:クラブとしての総括はこれから出てくるということですが、今季を鑑みて、来季に向けての補強などの動きは、既に動かれているのでしょうか。

橋本代表:早い段階で「ミシャ監督続投」はクラブ内で討議して決めました。その経緯の中で強化本部長とミシャ監督が現チームの陣容と新たに補強したい戦力についての意見交換をして、候補選手のリストアップもしています。これは試合が進む中でチーム状況は変化もするし、シーズン終盤が近付くと夏時点での要求と変わってくることもある。それも当然のことと思いますので、何度も話し合いを持ちました。ミシャ監督としっかりと情報共有し、クラブの状況も考えた上で候補選手のリストアップをしている現状にあります。

椛沢:ミシャ続投の決定が早かった分、戦力補強の動きについても早かったということですね。終盤の失速などを見ると、その決断が早すぎたのでは?という意見もありますが、それでもクラブはミシャに対する信頼があると捉えて良いですか。

橋本代表:私どもには2011シーズンの低迷を考え合わせ、クラブの運営そのものにも課題を抱えているという反省があります。ミシャ監督を迎えた時点での基本的な考え方は「継続が重要」と考えた上のことなので、よほどの支障が無ければ継続させるという判断をすることになります。最終的にはチームの成績だけではなくて、チームが進化をしているかどうか、チームとクラブの関係がうまく回っているかという多角的な評価を加味して、来季もお願いすることを決めたわけです。

椛沢:分かりました。また、今季に関しての具体的な反省点としては『失点の多さをどのようにとらえているのか?また、守備面の強化についてGMとはどのような話をしているのか』という質問も頂いています。

橋本:これについても、もう少し回答の時間を頂きたいと思います。強化としてどう考えるかということを最終的に整理した上で、当然チームの指導人と強化部の見方のすり合わせもしますし、それを経た上でコメントさせて頂きたいと思います。

椛沢:クラブ総括については、どのような形で公開して行く予定でしょうか。

橋本:総括と来シーズンに向けての話については、発表をオフィシャルサイトに掲載をする予定です。

レッズが目指しているチーム作りは何か

椛沢:『ミシャ監督の下、クラブが目指しているサッカーは、どのようなものなのか』という質問も頂いております。

橋本代表:去年と今年のサッカーというものはミシャ監督が目指しているサッカーでもあり、クラブが目指すサッカーの方向性が出ていると思います。個の力は不要としているわけではないが、それに頼らずチーム全体で勝利を収められる体制にしたいということです。そして攻撃的なサッカーをしたいです。ポイントは最終ラインから上げてくる攻撃力があるかということ。それがミシャ監督の基本指向と思います。クラブもその考えを支持しますし、それを進化させていきたいと思っております。

豊田:代表のお話にあった通り、ピッチ上で起こっている技術的なものに関しては、ミシャが考案してそれを強化部が調整した後にクラブ方針が打ち出される。そういう流れと思いますし、それ自体は妥当と考えます。しかし今日来ている方たちもそうなのですが、浦和のサポーターは長い間レッズを見ている面々が多い。シーズン終盤の失速に際し、多々聞こえてきたのが「レッズらしい」という言葉です。いわく「ここ一番で勝負弱い」「山場のラスト20分で踏ん張れない」「リーグ制覇の行方が決まる終盤戦で自滅的な大敗」……まことに悔しく残念なのですが、橋本代表よりも長く20年間レッズを見てきたサポーターたちの間では、これらの台詞のオンパレードとなりました。

橋本代表:なるほど……。

豊田:そこでレッズのトップである橋本代表にお聞きしたいことがあります。このタウンミーティング第1回は、代表とスポーツのメンタルの共有について、代表のラグビーの実績に照らし合わせて理解しあえた会だったと思います。代表は三菱自工京都で、ラグビー社会人の日本一に2回なられている。その「スポーツのメンタル」が欠かせない苦しい局面を戦ってきた方です。同様の状況下で最後の1点で勝負が決まるという戦いにレッズのメンバーは繰り返しさらされています。橋本代表の現役当時の相手はリコーや新日鉄釜石、神戸製鋼などの社会人強豪チーム。これらのフィフティーンは大学のスター選手を集めたスター軍団でした。それに対して代表の三菱自工京都は高校卒業のメンバーを鍛えそれに立ち向かうというスタンス。私はそこに深く共鳴をしていたわけです。

橋本代表:ありがとうございます。(頷いている)

豊田:グラウンド上で闘った自工京都の高校卒業の選手たちは、あの強豪たちと彼ら自身の力だけで互角のゲームを演じたわけではないですよね。そこには彼らを支えバックアップした組織力、メンタルまでを支えるノウハウがあったと思うのです。浦和レッズ20年の歴史で、このように絶えず起こってしまう勝負弱さ、メンタルの甘さはラグビーでの経験をお持ちの橋本代表は、どのように捉えておられるのでしょうか。見解をお伺いしたいです。

橋本代表:私は最終戦の翌日に選手たちに話をしたと先ほど話しましたが、試合直後にスタジアムで、ミシャ監督とも1対1で同じ話をしました。あの時の三菱自工京都が本当の意味で力があったのかどうか分かりませんが……。私の経験は、あくまでもアマチュアの企業スポーツチームのものということも以前にもお話をさせてもらいました。(経験もなく若い)高卒の選手を使っているチームが、日本代表を揃えた大卒の選手で集めたチームにどのように立ち向かうのかといったら、普段の練習をどういう意識でやっていて、そのことを試合に出ているメンバーが、どれだけ共通認識を共有して戦術として高められているかということが勝負だと思っていて、チームとして大切なことはその部分だと思っています。私の経験からいって、ラグビーの決勝戦に出ていった瞬間に、私自身も今日は勝てると確信をもったことはあります。相手チームを見たら、ウインドブレーカーを着た試合前練習をやっている。我々は短パンジャージを来て、みんなで大声を出して、練習から全力でトップスピードを出していた。それを見て勝てると確信をもったことがあった。それでも普段から100%しっかりと技術の積み重ねをやった上で、最後はメンタルが重要だという話です。ロスタイムでの失点をメンタルが弱いからだと片付けるのか、その時に声をかけるチームリーダーがいないということなのではないか。守り方がクラブ全体で共有できていないということに着目すべきではないかという話をさせてもらったつもりです。

豊田:メンタルにおいては、橋本代表が考えているイズムが、コミュニケーションの継続の中で、これから浸透して行くというお答えですね。では我々もそこを信じてサポートして行きたいと思います。代表の構想では、現状はミシャ=レッズという考え方でピッチ上でのレッズのゲームを捉えていると感じました。ですが問題は、ミシャ監督がいつまでレッズで指揮をとってくれるか分からないという事実。サポーターから聞こえてくるのは、ミシャ体制が変化して行く時の準備をクラブ内部で出来ているのかという疑問です。それは来季だけに限らず、その後も継続していく問題点。この点に関してクラブ内で行われている準備がありましたらお聞きしたいです。

橋本代表:これはクラブとして非常に重要かつ難しいテーマだと思っています。2011シーズンの反省としてサポーターの皆さんに明言させて頂いている内容のひとつは「強化部門の強化」です。クラブとしての重要な課題だとクラブとして謳わせていただいています。それを12~14年の三ヵ年で、なんとか確立しようと進んでいる途中段階であることをご報告します。その手当てが具体的に何なのかという点は、現状で皆さんから見て不十分だと思いますが、その認識は持っているということだけはご理解を頂きたいです。どういうチームにするかというテーマは、指揮官である監督が占める比重が高くなるのは、やむをえない事実と思います。その監督に対してサポートするコーチ陣の役割などについても議論する必要があります。それらアカデミーのユース、ジュニアユースをどうするのか、今年スタートしたジュニアから、どう取り組むのかという、一貫したスタンスが流れて、その成果が見えて、しっかりとした柱に出来上がるものだと思います。時間はかかると思いますが、クラブとしてはこの考え方を維持し、持ち続ける必要があると認識をしています。

(以下、次号に続く)

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