浦和フットボール通信

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河合貴子×椛沢佑一 浦和レッズ2014ライブディスカッション 「ルーキー関根の活躍がチームを活性化させる」(2014/5/29)

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レッズ密着取材を続ける河合貴子氏に、本誌・椛沢編集長が浦和レッズの現状や選手達の思いを訊く「レッズ2014月刊ライブディスカッション」。リーグ前半戦を首位で終えた、好調のレッズの現状について、河合さんにお話を訊いた。(浦和フットボール通信編集部)

ルーキー関根の活躍がチームを活性化させる。

椛沢:森脇選手についてはどうでしょう。

河合:森脇選手は良い時と悪い時の波が激しくて、何なんだろうと思うことがあって、私もきつい言葉で森脇選手に質問をしたりしてしまったことがあるけども、森脇選手は、終始にこやかな顔で話をしてくれて、話を聞くと、そんな思いでやっていたのかと思うこともあるんだけども、その様子をみて、興梠選手が「モリさんの縦パスとか、すごく良いパスを送ってくれた時は鳥肌が立つような良いプレーがある。そこを認めてやってくださいよ」と言われて、そうだねと思った。

椛沢:リスクを負ったプレーをしているから、安定感がないということもあるんでしょうね。

河合:平川選手はチャレンジする時と、しないときの選択は絶妙。だから安定感があるんだろうと思う。あのプレーはベテランの域だなと思う。

椛沢:関根もすごく良いですよね。彼がボールを持つとスタジアムが盛り上がります。おそらく、彼がボールを持つと分かりやすくて、仕掛けてくれるという思いがサポーターにあるんだと思います。

河合:面白いよね。そこ一枚はがせよ!という思いがみんなあるんだろうね。プレーに期待感があって、しかも浦和の子ということがサポーターにとっては、盛り上がる要素としてあるんだろうね。何回も諦めずにチャレンジをするし、それだけではなくて様子を見ながら下げたり、チーム戦術も理解をしている。

椛沢:彼みたいな選手が出てきてくれると若い選手は使わないんじゃないかという雰囲気を壊してくれて良いですよね。関根が活躍して試合に使ってもらっていれば、他の若手の選手も手を抜けなくなる。

河合:確かに、去年からそんな話があったけれども、だったらウガを見てよと私は言っていた。宇賀神選手はダメになりかけた所を這い上がって出てきた。ウガは自分のことを雑草だと言っているけれども、まさにそんな感じがする。若手では、阪野選手とかにも頑張って欲しいね。彼は、出来る子だから、李選手とも興梠選手とも違うワントップが出来ると思う。今は誰が出ても同じサッカーをすると言っているけれども、それプラス個性という所で、あの高さは魅力だし、ヘッドですらすこともできる。面白い存在になると思う。

椛沢:そういう意味でも、関根の存在は刺激を与えるんじゃないかなと思いますね。選手内でも関根を使うのかという話になったと聞きます。

河合:矢島慎也選手もデビューイヤーでは使われているけれどもね。ミシャさんからすれば使える選手を使うという当たり前のことをやっているだけだと思う。ただ、GKのポジションは厳しいね。

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椛沢:味方になればなるほど、西川はすごいGKだと思いますね。

河合:彼の壁を越えるのは相当、厳しいね。横浜戦で、1対1になった時に、わざと股を広げて誘って、打つ瞬間に股を締めて止めたシーンがあって、それを見たときに鳥肌が立った。あれは自信がなければ出来ないプレーだったと思う。私は西川選手に、ワールドカップメンバーに選ばれただけで満足をして欲しくなかったので、GKというポジションは特殊だけども、ワールドカップで試合に出るために何をしなければいけないのかと思っているか聞いた。彼は「いつもどおりの準備でブラジルの環境をイメージしないといけない。暑さや芝生の状態、スタジアムなどを、それを頭に叩き込んで、いつも通りのプレーをする。本番まで時間があるので、ディフェンスラインの選手とコミュニケーションをしっかりと取る」と答えてくれた。あとはあなたの武器はと聞いたら「ポジティブな所ですかね。ポジティブな所を武器に、ビルドアップとフィードをぶれずに世界で試していきたい」と言っていた。川島との正GK争いをポジティブに捉えてやっていくんだろうと思う。

椛沢:欧州遠征は西川が守っていましたから、充分にチャンスはありますよね。川島もさいたま出身の選手ですから、どちらにも頑張って欲しい気持ちはあります。

河合:川島選手は大宮時代に取材をさせてもらったことがあるけども、すごくいい奴なんだよね。川島選手も西川選手も人柄が良い選手なんだよね。川島選手は、今、何をしなければいけないかという判断力がある選手。川島選手にも頑張ってもらいたいんだけど、私は今、浦和を見ていますから西川選手に出てもらいたい気持ちが強い(笑)。チームでは、加藤選手も山岸選手も腐っていないところが面白い。去年、山岸選手がずっとサブの時から何をすべきかを踏まえて準備をしていて、突然試合にでて、あの活躍をしたように、今も同じようにずーっと調整をしている。練習が終った後にもランニングは欠かさないし、自分が足りないところを磨いている。山岸選手はすごいよ。加藤選手もコツコツとロングフィードの練習をしたり、意識が高い。その中で、西川選手に敢えて、いちゃもんをつけるとしたら、もう少しシュートを打たさないようにコーチングをしなさいと言いたいね。

相当な覚悟で新潟から復帰した濱田水輝

椛沢:水輝も良いですよね。新加入選手発表の時の彼の表情で、相当覚悟して帰ってきたんだなと思いましたが、その覚悟をピッチで見せてくれているような気がします。

河合:水輝はメンタル的にすごく成長をした。レンタル移籍で、出戻りで帰ってくる時は、引き取り先が、必要がなくなって戻ってくる場合と、所属チームが、どうしても困るので戻ってきて欲しいという場合がある。濱田選手は新潟で途中から、全く試合に出られなくなった。新潟の監督は戦力としては必要ないと判断した。敵チームの選手をベンチに入れたりして育てる必要はないわけだからね。そこで水輝は出られなくても、1対1の強さと4バックで何をしなければいけないのかということやフィードの部分を、相当、新潟で学んできたみたいです。ベンチからも外された、苦しい何ヶ月の中で、水輝は自分を見失わずにしっかりと学んできて、浦和に戻ってきた。相当な覚悟があると思う。あとはメンタル的な弱さがあったのが強くなった。水輝は、いつも「レッズサポーターに成長した姿を見せたい」というのは、去年の鳥栖戦で豊田にやられて情けなくて悔しくて泣いたりして、色々な思いがあった中だからこそ、新潟で苦しい思いをしてメンタル的にも強くなって、技術的も磨けた。そして、その姿を絶対にサポーターに見せたいという思いでピッチに入っている。これからもたのしみです。

椛沢:見ていてそのたくましさを感じますよね。

河合:ディフェンスでは、坪さんも紅白戦でワントップの李を完全に抑えたりしていて、すごいよ。坪井選手は足が速いし、ポジショニングが良いから、何も出来なくなる。

椛沢:監督が目指しているサッカーとプレーがあっていないですからね。

河合:ディフェンスラインを高くしてしっかり守るという時は、坪さんは有効だと思うけどね。その坪さんも攻撃に出る意識が芽生えているからね。昔は坪さんが前に上がるだけでスタジアムがどよめいたけどね(笑)

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興梠は素晴らしいシャドーになる。

椛沢:興梠もポジションがシャドーになって苦しんいるようですね。

河合:苦しんでいるよ。「どう動いて良いか分からない」と言っている。でも彼はサッカー指数が高いんだよね。本人にそれを伝えても「ぼくは、小学校5年生からサッカーを始めて、中学では真剣にやっていなくて、高校に入って本格的にやり出したんだ。身体能力だけでここまで来ているんだよ。コツコツ努力してきたことはなかった」と言っているんだよね。確かに身体能力は高いと思うけども、私は、サッカー指数も高いと思う。これは鹿島で培われてきた能力なのかなと思う。

椛沢:ベーシックな部分をしっかりやれるように鹿島で、育てられてきたのかもしれないですね。でもそれを本人は気付いていない?

河合:気付いてない(笑)。シャドーの動きを見ていても「の」の字を描いて動いている。この「の」が今は縦の動きだけなんだけど、それが左右の動きも出てくると良いのかなと思うけども、動きすぎてバランスを崩すなとも言われていると思うから難しいところではある。

椛沢:ミシャは興梠が良いシャドーになると言っているそうですが、どういうシャドーをイメージしているんでしょうか。ボールが収まる所が評価されているんですかね。

河合:それだけではなくて、ボールを受ける動きとか、サッカー指数の高さを評価しているんだと思う。

椛沢:シャドーに入った分、ゴールを狙う動きは減っていると思うのですが。

河合:どちらかと言えば李選手を生かす、黒子の動きになる。ピッチの中では性格が出ると思うんだけども、興梠選手はチームプレーを大事にするタイプの性格なんだと思う。だから黒子に徹することが出来る。あとは、シャドーは運動量が求められる。大事なところで体力が残っていないことがある。走れなくなると夏は厳しい。ワントップは楽しかったとも言っていてゴールに対しての意識も高かったので、目標として何ゴールくらい決めたいのかと聞いたら「去年の13ゴールよりも獲らないといけないと思っている」と言っていました。

椛沢:ストライカーとしての意地もあるんでしょうね。鹿島時代も点を獲るストライカーの横にいたというイメージはありますが。

河合:マルキーニョスと2トップを組んでいたからね。ちょこちょこ動くタイプのFWで邪魔だなと思った印象がある。鹿島の3連覇を決められた試合で、ヘディングを決めたシーンが忘れられないよね。大宮戦でのワントップの動きを見ると、興梠選手がワントップでも良いんじゃないかなとも思うけども。

椛沢:李は広島時代もシャドーをやっていましたからね。私もフリックパスもうまく李がシャドーに入って興梠がワントップでも面白いのではないかと思います。

河合:元気がワントップをやった時に苦しんで、その後にシャドーになって、ワントップで苦労したことを感じながらプレーをしている。逆に興梠選手が去年ワントップをやって、今はシャドーをやっている。この2人がワントップをやった時のことを感じて動いているというのも面白い。理想はこのトライアングルの誰がワントップをやっても良いように動くと良いのかと思う。

椛沢:ミシャはあまり流動的なことを求めてないんですよね?

河合:そうだね。求めてはいないけども、やるなとは言っていない。良い動きであればブラボーと誉められる。ピッチ上では選手の判断だからね。興梠選手はシャドーの位置で危険なプレーになっていくと言っていました。

椛沢:興梠は今回の件でゴール裏の今後についても気にしてくれていましたからね。その気持ちが嬉しかったですね。そんなこともあって、彼には期待をしたいです。

河合:彼は人間的にも、すごくいい奴だよ。今年は、トップチーム、レディースのアベック優勝を狙っても良い。そんな夢を見ても良いんじゃないかと思っている。今季はレディースもすごく良い。ただ、レディースの場合はリーグのレギュレーションが変わって、レギュラーシリーズを戦った後に、エキサイティングシリーズがあって、そこから1位から6位までの上位リーグと7位から10位までのチームに分かれて争うことになるので、今は上位リーグに入れるようにして、そこから優勝を目指して欲しい。

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椛沢:去年、苦労したチームが一年で復活したのでしょうか。

河合:吉田監督は「男子も女子も大事なことは走ることだ」と言っていて、走り負けない身体を作ると、シーズン前は徹底的に選手が悲鳴をあげるくらいに走らせた。あとは選手達に自信をつけさせたことも大きい。本当に走って、走って、前からプレッシャーをかけてショートカウンターを狙う。吉田監督は「前から奪ってショートカウンターをすれば戦術も何もない。相手の陣営が整う前だし、相手も守りずらいだろう」と。それがダメだったら違うやり方を採るという考えを持っている。すごく分かりやすい戦い方をしている。あとは若いチームなので今は良いし、波に乗りやすいけども、去年のように、落ちた時に立て直すことが出来ないかもしれない。だから、まだまだ余裕はないと話をしていました。あとは、個の精度の問題をもっと高めていかないといけない。チャンスは作れても点が取れないで泣くことが増えてしまう。中断期間はそれを高めていく必要があると話しをしていました。突き詰めればサッカーはそういうことなんだろうと思います。

椛沢:ワールドカップの中断期間で、トップチームもレディースもチームを整えて、好調を維持して優勝争いに最後まで食い込んで、アベック優勝を狙いたいですね。ありがとうございました。

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