浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「小さな円陣」

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

ハードワークをして必死に闘って勝ち得た、7試合無失点記録達成

アディショナルタイムは3分であった。時計の針が刻々と進むのが、すごく遅く感じていた。バックパスを槙野智章選手から受けた西川周作選手は、ふわりと右のタッチライン沿いの永田充選手へと送った。そのパスを永田選手がトラップをした瞬間に、待ち望んでいた試合終了のホイッスルがポカリスエットスタジアムに鳴り響いた。それは、Jリーグ史上初の7試合無失点記録の樹立を知らせるホイッスルでもあった。

ピッチでは、嬉しそうに仲間の肩を叩き西川選手や阿部選手、那須選手たち守備の中心メンバーが集まり小さな円陣を組んでいた。そこに、李忠成選手も駆け寄り加わっていたのだ。この小さな円陣に前線の選手が加わったのは、私の記憶が正しければ、初めてのことであった。それは、守備陣だけが頑張って無失点記録を樹立したのでは無いことを物語っていた。

昨シーズンの浦和は、Jリーグ最高得点の66ゴールを決める最強の攻撃力を誇っていたのにも拘らず、総失点はJ2降格にした磐田と同じ56ゴールであった。最後のリーグ戦4試合に至っては、0勝1分け3敗で7得点、15失点と崩れ優勝はおろかACL出場権までも逃すこととなってしまった。

「リスクを冒して攻撃しているから、失点は仕方がない」では済まされる問題ではなかった。昨シーズンの課題を基にミシャ監督は「守備の構築」を前面に打ち出して開幕前のキャンプから取り組んで来たのだ。

無失点記録の樹立には、GKである西川選手の加入が大きな要因になっていることは否めない。昨シーズン優勝した広島は、29失点とリーグ最少であった。その広島から西川選手が移籍してきたのは事実である。だが、16節を終えた段階で浦和は、9失点とリーグ1位であり、GKの防御率は約83%である。単純計算しても昨シーズンの広島よりも遥かに少ない失点数になる。浦和の良いところは、ただ単にゴール前で守備を固めてゴールを死守している訳ではないことだ。守備の鉄則として、まずボールを奪われたところからファーストディフェンスが始まり、そこでインターセプトする。インターセプト出来なければ、相手の攻撃を遅らす。遅らすことで、セカンドディフェンスが来て数的優位になれる。また、連動して相手のパスコースを限定させることも重要である。浦和は、前線からの激しいチェーシングがあり、相手を嵌めこむ攻撃的な守備をする場合としっかりとブロックを形成する場合の使い分けがチームとして出来ていると思う。

西川選手は「ゴールの中心とボールを結んだライン上は、常に意識しています」とGKの基本に忠実である。相手のパスコースを限定することで、シュートコースも限定することが出来るから、よりゴールを守り易くなっている。ゲームの流れの中で、基本の3バックが、5バックや4バックにもなる。無失点記録は、チーム全員が同じイマジネーションで守備をした証である。

記録は、いつか破られるものである。記録更新が永遠に続くもの出無いことも分かっている。ディフェンスラインをコントロールしている那須大亮選手は「記録に関しては、興味が無い。勝つことが最優先!ハードワークしてゼロで押さえたそれだけだよ。特に記録は、後から付いて来る」と浮かれることなく話した。無失点記録の樹立は、勝利を目指しハードワークした副産物であることを心得ていた。

それでも、試合終了のホイッスルと共に出来る小さな円陣の姿を見ると嬉しくなる。西川選手は「無失点の儀式みたいですよね。ディフェンス陣だけの頑張りではないんです。みんなで押さえた無失点なんです」と小さな円陣を少し照れながら話した。森脇良太選手は「ワー!とかやったね!とか、なんかね~みんな小学生のころの気分なんだよ」と小さな円陣を組んでいる時の様子を教えてくれた。その円陣に自分も加わりたい気持ちになる。

もちろん無失点勝利は嬉しいが、ただ単にそれだけでは無い。小さな円陣は、試合中継やカメラやファン・サポーターを意識して生まれたものでは無かったからだ。ピッチの中で選手たちが、湧き起こる感情をありのままに表現し、自然発生的に生まれたものであった。

何よりも大切なことは、勝ち点3を積み重ねてその先にある栄光を手中に収めることである。小さな円陣は、ハードワークして必死になって闘い、無失点勝利を手にした者だけが味わえる至福の時の象徴なのだ。

Q.半月板損傷など無い正常な状態では、水が溜まることは無いのですか?

A.全く何でも無い人が、スポーツをすることで膝に水が溜まることは、あまり有りません。ただごく稀に、関節の袋に襞があると炎症をおこして水が溜まったり、子供で過度の運動で次の日に水が溜まることがあります。過度の運動により、関節に負担がかかり関節の中が熱くなってしまい、血液の中の水分が外に浸み出してしまい水が溜まることもあります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科クリニック 整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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