浦和フットボール通信

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レッズ戦無観客試合の衝撃Vol.2「重鎮はこう見た」【ホーム浦和からのメッセージ】 轡田隆史(2014/9/10)

件の横断幕で掲げられた「Japanese only」は、私たちが愛するフットボールの精神の真逆に位置するメッセージ。いわば〝天に唾する”言葉です。相手があってのスポーツでしょ? 他国と交流し、学び、鍛錬してきた地元の伝統が、いまの浦和レッズ、大宮アルディージャという財産となって受け継がれているんです。たとえば浦和サッカーの起源を調べてみて欲しい。埼玉県サッカー協会初代代表松沢さんが、日本代表メンバーとして、ミャンマー人の留学生にコーチしてもらったという記録が残ってますから(笑)。

とにかくホームタウン住民としては許せない事件です。ただ、この不始末を「一部のサポーターの行為」「いや、クラブの管理責任」と他者に押し付ける気持ちは毛頭ない。レッズがJリーグを戦っている埼玉スタジアムは、私たち自身、つまりホーム浦和を映す鏡なんです。こういう不始末を生んでしまう環境は、どういう要素に起因するのか……サポーターもクラブも市民も、謙虚に反省し検証して行く努力が必要でしょう。

レッズに限らず、日本代表や他のJ選手を見ていても思うのだが、テクニックは凄いのに「サッカーを通じて自身に蓄えてきたもの」が感じられない気がします。欧州のようにプロとしての歴史がないと言えばそれまでだけど、自分が育まれた土壌の上に自分のプレーが成り立っている……という気概とかインテリジェンスが見えないのね。そういう技術以外の部分でベッカムとかの英国連中にまだまだ遅れをとっていると思う。選手たちが「日本代表や欧州プロになるための踏み台」なんて考えているようなら、我々の宝であるJリーグも浦和レッズも衰退してしまうと思いますよ。

サッカーほど知性が求められるスポーツはない、が私の持論です。そして我らがレッズのホームタウン浦和は、多くの才能を生み出してきた知性ある街。だからこそサッカーへの情熱も続いていると考えます。同じ過ちをくり返さない、この街らしい浦和レッズの復活を望みます。(談)

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轡田隆史(くつわだ・たかふみ)
1936年東京生まれ。埼玉大学附属中学、県立浦和高校、早稲田大学の学生時代を通じサッカー選手として活躍。 特に浦高1年時には国体、高校選手権の二冠を達成。語り継がれる69連勝の立役者となり、同校 サッカー部の黄金時代を築く。なお川淵三郎氏は早大サッカー部(ア式蹴球部)の後輩にあたる。 早大卒業後は朝日新聞社に入社。社会部デスク、欧米・中東特派員、論説委員などを歴任。『ニュースステーション』『スーパーJチャンネル』の名コメンテータとしても人気を博した。 著書『「考える力」をつける本』ほか多数。

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