2位の岡山湯郷ベルに４－１で逆転勝利

夜の帳が下り、眩いばかりの照明灯にピッチが照らされた。10月10日、エキサイティングシリーズ第４節浦和レッズレディース対岡山湯郷ベル戦が、浦和駒場スタジアムにて午後18時キックオフで行なわれた。 浦和は、前節の千葉レディースに勝利して勝ち点11と伸ばして首位に立った。対する岡山湯郷は、勝ち点10で２位。譲れない女の直接対決となった。 スターティングイレブン 浦和は、ＧＫ平尾　ＤＦ堂園　乗松　高畑　和田　ＭＦ柴田　猶本　岸川　加藤　ＦＷ吉良　後藤。湯郷は、ＧＫ福元　ＤＦ加戸　北浦　水島　高橋　ＭＦ葛間　中野　宮間　浅野　ＦＷ有町　松岡。   浦和のキックオフで始まった試合は、「絶対に勝つぞ！」と気合が入る浦和の出鼻を挫くように、前半８分ゴールライン際を有町選手にドリブルで粘れ、マイナスのパスを松岡選手が上手くニアーで合わせ、岡山湯郷の先制点が決まった。 しかし、１失点をしても浦和は、落ち着いてボールを保持しながら、積極的に攻撃を仕掛けていった。13分には、ゴール前に岸川選手が飛び出し、14分には、柴田選手のスルーパスに吉良選手が飛び出すも合わず。何度もゴール前にチャンスを作り、岡山湯郷に脅威を与える攻撃はするものの、なかなかゴールネットを揺らすことが、出来ずにいた。そして、漸く23分、和田選手のアーリークロスのこぼれ球をエリア内で吉良選手が身体を張って拾い、加藤選手に横パスを出すと、加藤選手の落としを走り込んで来た和田選手が右足を振り抜き同点ゴールを決めた。     その後も浦和ペースで試合が進むが、チャンスを生かせずに１対１で前半を折り返した。追加点こそは奪えなかったが、浦和ペースになれた要因としては、岡山湯郷のキープレーヤーであるなでしこジャパンキャプテン宮間選手の対応がチーム全体で上手く行っていた。 後半も前半と同様に浦和ペースで試合が進むが、決定的なチャンスを生かせない。 吉田監督は、72分に吉良選手から清家選手へ、77分に加藤選手から大滝選手を変える采配で攻撃の活性化を図った。85分に猶本選手がドリブルでエリア内へ相手ＤＦを引きつけながら侵入していたクロスに柴田選手がファーサイドへ飛びこみ逆転。その後、反撃を仕掛ける岡山湯郷に対して、清家選手のワントップでカウンターを狙った。85分には大滝選手のパスを受けた清家選手がドリブルで仕掛けてＰＫを得ると自ら決めて３点目。更に清家選手は、86分にダメ押しの４点目を決めて試合を決定付けた。残り約５分に斉藤選手を入れて５ＤＦでしっかりと守り切った。 再三の決定的なチャンスをものに出来なかった浦和であったが、終わって見れば４対１の快勝で２位岡山湯郷を突き離して、首位をキープした。

吉田監督「苦しい時間を乗り越えて力を出せるようになった」

吉田靖監督は「最初に先制されて厳しい試合だった。ずっとホームで勝てなかったので勝って良かった」と安堵の表情を浮かべた。そして「宮間に一発でやられてしまうセットプレーは、やばい！やばい！と思っていた。宮間のセットプレーを封じることが出来ないから、良いボールが来てもマークを外すなと選手には言っていた。ハーフタイムには、勝ちに行く！引き分けではダメだ！何としてでも勝ち切ると話してピッチに選手を送り出した。だいぶ、チームとして苦しい時間を乗り越えて力を出せるようになった。成長した」と話し、「中２日での試合（アウェー新潟戦）は、厳しいですが、乗り越えていかないと優勝は出来ない。（レギュラーシリーズ）最後に悔しい思いをしたことが、生きている。今は、自信を持って勝ち点を積み上げて行く」と身を引き締めるように話した。

猶本「先制されても焦りはなかった」

攻守に渡り中盤でバランスをとりゲームを組み立てていた猶本光選手は「先制されたので、苦しい立ち上がりだった。逆転出来たのは良かった。先制されるかもしれないとミーティングで言われていた。先制されても、逆転出来る力があると言われていたので、焦りは無かった。宮間さんをツーボランチが基本的にケアーするが、サイドに流れたりするので、宮間さんが何処にいるかを把握して、宮間さんにボールが渡らないこと、フリーにさせないことを意識した」と岡山湯郷のキーマン宮間選手を自由にさせなかったことに手応えを感じていた。そして逆転ゴールとなった柴田選手へのアシストについて「自分自身で高い位置でシュートを考えたが、ＧＫは（福元選手）ファーが苦手だと思いファーサイドに２人が走り込んでいたのが見えたので狙った」と嬉しそうに笑った。「連戦は、代表戦では当たり前！100％のコンディションで臨めるかが大事。あと２日で合わせて行きたい」と次節の新潟戦に向けて既にコンディション調整に入った。

和田「リーグ初ゴールは嬉しい」

苦しい時間に同点ゴールを決めた和田奈央子選手は「早いサイドチェンジを監督から重点的に言われている。負けていたので、コースを狙って思いっきり行った。千佳に（加藤選手）当たるかも知れないと思った。リーグ初ゴールは嬉しいです。試合に出られずに、どうしたら試合に出られるのか？！ってずっと思っていた。本当に嬉しい」と笑みが零れた。アジアカップで左足首を捻挫した臼井理恵選手に代わり、左サイドバックを前節から任された和田選手にとっては、嬉しいゴールであった。

加藤「同点ゴール、決まったよかった」

加藤千佳選手は「攻撃面で、湯郷からボールを奪った瞬間に相手に隙が出来るから狙っていました。宮間さんのケアとセカンドボールを拾うことを心掛けた。宮間さんに対して、近い人が見て、みんなで声を掛け合っていた」と話した。同点ゴールをアシストしたシーンを「千夏（吉良選手）からパスを貰って、振り向きざまのシュートもあったが、なおちゃん（和田選手）が来ているのが見えたから、落としてみた。そしたら、凄いボールが自分に飛んできて、えっ？パス？と一瞬思ったが、慌てて避けた。決まって良かった。次節の新潟は、いつもギリギリの闘いになる。とにかく、勝ち続けたい」と力強く勝利を誓った。 上位６チームで争うエキサイティングシリーズは、第５節を終了して浦和が勝ち点14で首位。２位の日テレは勝ち点12。３位は岡山湯郷で勝ち点10となった。一戦、一戦、女王を目指して浦和レッズレディースの闘いは続く。次節は10月13日、アウェーで新潟戦がひかえている。そして、10月19日はホームで日テレと直接対決が待っている。

タカネェの今日のイチオシ！！「清家貴子選手」

若さ爆発！清家貴子選手の勢いは誰にも止められない！今日のイチオシは、清家選手！大滝選手とのコンビネーションも確立されつつある。清家選手は「半年経って、やっとアミさん（大滝選手）と合ってきた。ふたりで、練習中はサブ組みでコンビを組んでいるし、タイミングも分かって来ている」と話した。ＰＫを得たシーンも自ら持ち込んで決めたドリブルシュートも大滝選手のキープからのボールであった。そして何よりも、ペナルティーエリア内で相手ＤＦを嘲笑うかのような軽やかなフェイントでかわし、豪快に決めたシュートは、圧巻であった。ＧＫを含めて５人のＤＦ陣を手玉にとったのである。恐るべし、18歳！！