浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「ピッチへの思いを託して~興梠慎三選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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興梠慎三が、信じる仲間たちに思いを託し、エールを送る

苦しんで、我慢して手に入れた横浜FM戦の勝ち点3で、浦和は優勝に向けて大きく1歩前進した。

貴重な勝ち点3を手に入れた指揮官であるミシャ監督に「一言、おめでとう!って言いたくって・・・。ここを通るよね?!会えるよね?!ここを通らなかったらどうしよう・・・」と記者会見場から少し離れた階段の下で松葉杖に身体を預けながら興梠慎三選手は、少し不安げな表情を浮かべてミシャ監督を待ちわびていた。

試合後の記者会見でミシャ監督は「ハーフタイムになって、選手の様子を観察したら、気持ちの入った強い目をしていた。いつものような美しいサッカーではないが、泥臭く1点を獲る強い意志を感じることが出来た。必ず点を獲ってくれると思ったし、実際にそうなった」と安堵の表情を浮かべ嬉しそうに話していた。

そして会見が終わり、ミシャ監督が階段の上に姿を見せると、興梠選手は「ミシャ!!おめでとう!!」と人目もはばからず、物凄く嬉しそうに声を掛けたのだ。「オウ!!シンゾウ!!」とミシャ監督は、腰の悪い身体を左右に揺さぶりながら急ぎ足で階段を下りると興梠選手と抱き合い喜びを分かち合った。怪我さえしていなければ、自分がピッチに立ってチームの勝利に貢献したい思いは、興梠選手の胸の中にはあっただろう。だが、そんな思いを微塵も感じさせないぐらい、興梠選手は純粋にチームの勝利を喜んでいたのだ。

サッカー選手にとって、怪我はつきものである。怪我で長期離脱している選手は、チームの成績が悪いと「こんな大事な時に、怪我してチームに迷惑かけて何をしているんだろう。申し訳ない」と自分を責める。「少しでもチームの役に立ちたい」と思う。興梠選手もそんな思いをしていたのだ。だから、横浜FM戦でアップ後の選手たちに気合いを入れた。

「慎三が、自分でアウェイにまで来てくれて、ロッカーにも顔を出してくれた。サポーターの前にも顔をだしたりして、この試合の重大さを分かっていた。みんなで、勝利を掴もうって気持ちがあった。慎三が、伝えてくれた。みんなで闘って、勝利した」と横浜FM戦の勝利を振り返り槙野智章選手は、興梠選手への感謝の思いを口にした。

鹿島戦で負傷交代を余儀なくされた興梠選手は右足をグルグルにテーピングして「とにかく痛い!」と言っていた。まさか、この終盤に来て右足腓骨骨折で戦線離脱するとは思いもよらなかった。怪我して、レントゲンを撮った直後に李忠成選手に興梠選手は電話を入れていたのだ。電話を受けた李選手は「お前の分まで、俺はやってやるぞぉ!!」と心に誓っていた。「自分も1年間怪我していたことがあった。怪我して、試合に出られない悔しさは分かる。それで、チームが負けたらもっと悔しいんだ。慎三の分まで、俺は絶対にやってやる!」と真っ直ぐに前を見つめて李選手は話してくれた。李選手は、気迫に満ちた目をしていた。

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西川周作選手は「慎三から、頼むぞ!って良く言われた。慎三が、この時期に怪我してプレー出来ない悔しさは、分かる。自分も経験がある。慎三が、戻って来るころには良い順位でいたい。残り2節で戻って来るかなぁ?!」と興梠選手の復帰を待っている。

宇賀神友弥選手は「慎三君が、いなかったからダメだったと言われるようでは、ダメ。確かに、慎三君がいなくてマイナス面は多いが、いなくて良かったじゃんという内容を見せたい」と興梠選手に心配を掛けたくない思いで敢えて自分に気合を入れて話した。

興梠選手は、戦線離脱するまでリーグ戦全30試合に先発出場を果たし、12ゴールとチームトップの得点源でもあった。得点力だけでなく、前線で身体を張ってボールをキープしたり、前からプレスをかけたりと献身的なプレーでもチームに貢献してきた。その興梠選手の離脱は、チームにとっては大きな痛手であるが、優勝が掛かった試合にピッチに立てない興梠選手の気持ちを思うと、辛くなる。

だが、興梠選手本人は、笑顔で仲間にエールを送る。自分の思いを信じる仲間に託し、エールを送るのだ。思いを託された仲間も、必死にその思いに応えようと勝利を目指している。ピッチには、思いを背負い闘う男たちがいる。だから、みんなで闘って、優勝の栄光を掴もう!!そして、栄光の凱歌を声高らかに一緒に歌おう!!

Q.タナ障害になってしまった場合は、どうすれば良いでしょうか?

A.炎症を抑えるのには、アイシングや安静が必要です。タナは膝を伸ばす筋肉である大腿四頭筋と同様の作用をする膝関節筋という筋肉に停止していますので、もも前の筋肉のストレッチをして柔軟性を獲得し、タナが引っかかりにくくなるようにします。またお皿が過度に動かないように、テーピングやサポーターをしてお皿を安定させます。タナ障害の症状がひどい人は、階段を下りることも出来なくなったり、膝の曲げ伸ばしも出来なくなります。このような場合には。ステロイドの注射で腫れ改善させる方法もあります。 症状が強く、何度も再発するケースや頑固な痛みが取れないケースは、タナ切除と言って内視鏡でタナと取ることも出来ます。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
川久保整形外科クリニック 整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション http://www.kawakubo-clinic.jp/

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