浦和フットボール通信

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【河合貴子の大原なう番外編】レッズレディース皇后杯決勝で敗れる<吉田監督、柴田、後藤、堂園、清家、臼井コメントあり>(2015/1/1)

皇后杯全日本女子サッカー選手権大会決勝で日テレベレーザに破れる

小雪舞い散る元日、味の素スタジアムにてレッズレディースは2冠を目指し皇后杯決勝を日テレベレーザと対戦した。レッズレディースのスターティングイレブンは、GK池田、DF高畑、堂園、和田、乗松、MF斉藤、岸川、柴田、加藤、FW吉良、後藤と準決勝とメンバーは変わらなかった。対するベレーザは、キャプテン石清水梓選手や坂口夢穂選手を中心にこちらも準決勝とメンバーが変わらずに挑んで来た。

両チームとも前からプレスを掛けるスタイルで、女の意地の張り合いが予想された。しかし、試合はゲームの立ち上がりからベレーザが主導権を握り、レッズレディースが得意と
する前線からの嵌めこむ守備で、奪ってから早い攻撃の組み立てが出来ずにいた。そんな展開の中、19分に阪口選手が攻撃の起点となり、田中美南選手に縦パスが入りドリブル突破をDFが止めるもこぼれ球を籾木結花選手に拾われドリブルシュートを撃たれてしまった。籾木選手のシュートは、GK池田咲紀子選手がクリアーしゴールを死守するも、不運にも田中選手の目の前にボールがこぼれてしまい、冷静に田中選手が決めて先制されてしまった。

先制点を決められてしまい、苦しい展開となったレッズレディースは、中盤のバランスを崩してしまいバタついたが、ベンチから吉田靖監督が「落ち着いて!大丈夫だから!」と選手たちに声を掛け、28分に準決勝のジェフ戦で2ゴールを決めた清家貴子選手を投入し反撃を試みた。38分には、相手陣内で柴田華絵選手がインターセプトしてドリブルシュートでゴールを狙うもののゴールネットを揺らすことは出来なかった。前半の終了間際には、主導権を握れたレッズレディースだったが、流れの中でシュートまで行けず0-1で前半を折り返すこととなった。

逆転勝利を目指すレッズレディースは、後半から左サイドバックを和田奈央子選手から、臼井理恵選手に代えて、サイドを起点に相手DFに揺さぶりを掛けた。61分には、岸川奈津希選手が思いっ切り良いミドルシュートを狙うもゴール僅か上に外れてしまった。左サイドで加藤千佳選手と臼井選手のコンビネーションで何度も崩すしチャンスを作るが、ベレーザの守備も堅くシュートまで持ち込めずにいた。83分、右サイドバックを堂園彩乃選手から石井咲希選手に代えて両サイドからの崩しでゴールを狙い、最後の笛が鳴るまで諦めずに最善を尽くし闘ったレッズレディースであったが0-1で惜敗。

1ゴールの重みに泣いた。レッズレディースを下したベレーザは、第36回皇后杯を1回戦から無失点記録で優勝を決め、通算11回目の優勝に花を添えることとなった。
2015年、皇后杯優勝で輝く年明けを迎えることが出来なかったが、悔しさを噛みしめ零れ落ちた涙は、2015年シーズンに向けての誓いの涙となった。

吉田監督「苦しいゲームだった」

試合後、吉田靖監督は「苦しいゲームだった。前半、ベレーザにペースを握られたが、選手交代でペースを変えようと思ったが、思うように出来なかった。ボールを奪ってからの展開で、思うようにボールを動かせず、ベレーザも攻守の切り替えが早く、良い形が作れなかった。前半、1点獲られてからDFの裏を突くことも出来ず、追加点を奪われそうだったので早めに清家を入れる決断をした。清家を入れたことは、縦へのメッセージだったが、縦1本は、岩清水とかいたから難しかった。試合のポイントとして、阪口と原、籾木を自由にさせないことだった。そこを自由にすると両サイドバックが出て来るから、圧力を掛けるプランだった。点を獲られてから、行けずに押し込まれてしまった。押し込まれたのが早すぎた。猶本のボールの収まりや前への推進力がいなかったのは、大きかった。柴田が右サイドでボールアクセントになるが、柴田を中で使うしかなく、2つの良いところが消えてしまった。最後までしっくりと来なかった」と悔しそうに話した。怪我で猶本光選手を欠き、リーグ終盤から柴田選手をボランチで起用し苦肉の策で決勝まで勝ち上がってきたが、決勝の舞台では通用する相手ではなかった。

柴田、後藤、堂園、清家、臼井コメント

柴田「勝ち切る強さを身につけたい」

ボランチのポジションで悪戦苦闘した柴田華絵選手は「上手く主導権が握れずに厳しい試合だった。前線から嵌めに行けなかった。中盤で、セカンドボールを負けないでやろうと思っていたが、原さんや阪口さんにやられないようにと思っていた。ボランチのポジションでサイドを上手く使って大きく展開し、周りを上手く使うようになりたい」と唇を噛んで下を向いた。そして「今シーズン、やって来たことを継続してやる!積み上げて来たものを継続して、勝ち切る強さを身につけたい。チームとして勝つ!」としっかりと前を向いた。

後藤「サポーターと喜び合いたかった」

キャプテンの後藤三知選手は「最初のゲームの入りでいつも通り主導権を握ろうと入ったが、相手コートでプレーする時間が作れずに失点してしまった。前線からのプレスで、前向きにボールを奪って、決定的な形まで持って行けなかった。後半、臼井さんが入ってゴールに向う勢いが増した。クロスからシュートまでの展開を狙ったが、ゴール前の固い守備を破るまで行かなかった。ベレーザの細かいパス回しやゴールに向う勢いがあった。その勢いを得点に繋げたのは、ベレーザだった。ベレーザは、自分たちらしさを発揮していた。サポーターの方々と一緒に勝って、喜びを感じることが出来たらと思っていた。それが出来なかったのが、今の私たち・・・。今シーズン、優勝が掛かった試合で勝ち切れないのが、今の私たち・・・。土台を継続して、上に積み上げて色付けして行く。もっと、もっと、レディースが魅力的で強いチームになって行けるかだと思う」とこの敗戦をバネに来シーズン、しっかりとレベルアップして行くことを誓った。

堂園「感謝の気持ちでいっぱい」

堂園彩乃選手は「セカンドボールの回収と走る量が、ベレーザの方が上回っていた。粘り強い守備も出来ていたが、決定的なところで決めて来るのがベレーザ。流石だった。チャンスもあって、おしいシーンもあったが、決め切れず力の無さを感じた。最後まで闘った結果をしっかりと受け止めたい」と敗戦を真摯に受け止めた。そして「1年通して、あっという間だった。目の前の一戦々の積み重ねでリーグ優勝が出来た。悔しい思いも経験出来た。中身の濃い1年だった。今日で今シーズンが終了した感謝の気持ちで一杯です」と今シーズンを振り返って話した。

清家「1点が遠かった」

清家貴子選手は「どんどん裏に飛び出して行けって監督から言われてピッチに入ったが、相手も警戒して、DFラインを下げて対応して来て上手く行かなかった。リーさん(臼井選手)が仕掛けて1対1の局面を勝って攻撃の起点を作ってくれて良かった。行けるって思ったが、1点が遠かった。相手の隙を突こうと思ったが、岩清水さんが周りの選手にコーチングして警戒して来て厳しかった」とシュートが1本も撃てずに終わり悔しさを募らせた。しかし、清家選手には落ち込んでいる時間は無い。明後日の1月3日から全日本女子ユースサッカー選手権大会が始まる。2015年シーズンは、レッズレディースに昇格が決まっている清家選手だが、レッズレディースユースの選手として日本一を目指す。

タカネェの今日のイチオシ!!「臼井選手」

後半から出場した臼井理恵選手!!左サイドを加藤千佳選手とのコンビネーションから崩し、果敢に攻め込む姿勢でチームに攻撃のリズムをもたらした。臼井選手は「前半は、相手のペースで翻弄されていて、ピッチの中でみんな慌てていた。早い段階で、「清家行くぞ!」って監督から清家さんに声が掛かり、「このままだったら、後半の頭から行く」と言われていました。監督から『縦への推進力』を求められていた。ミスがあっても点を獲りに行くしかないって思った。何度も良い場面が作れたと思う」と笑みが零れた。しかし、ゴールに結び付けられなかった。「この寒い中、期待してもらったのに、その気持ちに応えられなかった。悔しい!負けて始まった今年だが、一からチームを作ろうと話し合った。今年は、笑顔になれる時が、多いような年にしたい」と気持ちを切り替えていた。
ミスを恐れずに果敢に攻める臼井選手のプレーは、苦しい試合の中でも希望の光を照らしていた。

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