浦和フットボール通信

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ハイライト動画付き【河合貴子の試合レビュー】守備を固める甲府を攻略。梅崎「冷静にゴールを狙っていた」Jリーグ1stステージ第8節vsヴァンフォーレ甲府<柏木、武藤、梅崎、高木、関根、ズラタン、西川、ミシャ監督コメントあり>(2015/4/30)

今日のポイント!

退いた相手を崩すのは、本当に難しい。ミシャ監督が試合後に話していたように、前半に数的優位を作る動きや効果的な縦パスは必要であった。しかし、それは冷静な判断と勇気が無ければ出来ない。ピッチの中で、イライラが募る選手たちを声で落ち着かせていたのは柏木選手だ。柏木選手は「前半の甲府の守備は、良かった。両チームとも前半と後半では別のチームになっていた。前半に我慢した分、後半になって自分たちのペースになったと思う」と話した。そして、険しい表情で「ガンバの2トップは強烈だ。今日のようなカウンターを喰らったら、確実に決めてくる。2人で攻める繋ぎは上手い。リスクマネジメントをちゃんとしないといけない。今日は、良いシミレーションになった」と試合直後には、甲府戦での反省点を活かしてG大阪戦をイメージしていた。開幕当初と比べて、ボランチも板に付いて来た。柏木選手が、チームの舵取りをしっかりとして、勝利へとチームを導いてくれた。

守備を固める甲府に対して、イライラの展開が続いた

新緑が眩しい甲府の山々に囲まれた中銀スタジアムに、浦和の歓喜の歌声が木霊した。4月29日、リーグ戦5勝2分けと首位に立つ浦和は、1勝6敗と最下位に沈む甲府とアウェイで対戦。取りこぼすこと無く、しかも無失点で勝利を収めた。

前節・名古屋戦でイエローカード累積により、宇賀神友弥選手が出場停止となり、左のワイドを梅崎司選手に任せて、シャドーの一角に高木俊幸選手を起用。試合前日練習で好調な動きを見せていたビブ組がそのままスタメンを飾った。試合開始前から、守備を固めてカウンターを仕掛けて来ると予想されていた相手に、守備の要である那須大亮選手は、水上マネージャーに気合いの一発を背中に入れてもらってピッチに送り込まれた。

甲府のキックオフで始まった試合は、開始早々に予想に反して、甲府が攻勢をかける。阿部拓馬選手がペナルティエリア内にスルーパスを出し、槙野智章選手がクリア。甲府にいきなり右CKを与えた。阿部翔平選手の右CKをズラタン選手がクリアするも、こぼれ球を石原克哉選手が放ったヘディングシュートは枠を捉えることが出来なかった。

立ち上がりの奇襲で、甲府は攻撃的に来るのかと思いきや、5-4-1としっかりとブロックを形成して守備を固めて来た。浦和は、ボールを保持して大きなサイドチェンジを織り交ぜながらピッチを広く使い攻撃を仕掛けた。7分には森脇良太選手から右斜めのロングフィードが高木選手へ通ると、高木選手はエリア内に走り込んだ武藤雄樹選手を狙うもDFがクリアしてシュートまで持ち込めなかった。

武藤選手は「なかなか、最終ラインの突破が上手くいかず、相手のDFラインを崩して決定的なシュートまで行くチャンスがなかった。前半に思い通りにボールが入らずイライラしたが、陽介さんが0-0で大丈夫だからと声をみんなにかけていた」と柏木選手が周りを落ち着かせてコントロールしていた。

試合後、柏木陽介選手は開口一番「疲れてる」と疲労困憊していた。そして「前半は、相手が退いていてしんどかった。パスコースは無かったし、無理に入れても相手はカウンター狙いだったから、サイドを使っていったが、サイドに入れても狙われていた。無理に運んでもリスクを考えて、入れたら一端は逃げる感じで前半は我慢だった。行ける、行けない、駆け引きがあった。周りは、みんなイライラしていたが、僕はイライラしないで出来た。昨年の自分だったらイライラしてたと思う」と前半は落ち着いてゲームをコントロールしていた。

ミシャ監督「チームの出来に満足していない」

13分、またも森脇選手から斜めのロングフィードが高木選手に通り、高木選手はワントラップしてシュートを狙うが、甲府の身体を張った守備に阻まれてしまった。カウンターを虎視眈々と狙う甲府は、14分に山本英臣選手がDFの裏を狙い、それに反応したアドリアーノ選手が抜け出すが、森脇選手が必死に戻りカウンターを阻止した。

浦和は、ボールを保持するものの退いた甲府を崩せず、決定的なシーンが作れず苦戦しいられてしまった。前半の浦和らしい展開は41分、梅崎選手が武藤選手とワンツゥーで抜け出したクロスに、ズラタン選手がニアーで合わせたシーンだけであった。

ミシャ監督は「チームの出来は、満足していない。特に前半、相手が守備的に来る中で、横パスが多すぎた。効果的な縦パスが入らなかった。後ろから運んで、数的優位を作って守備を剥がす動きがなかった」と厳しい口調で話した。浦和が前半に放ったシュートは4本、甲府は2本と数字を見ても、浦和にとって如何に難しい試合展開だったか分かる。

梅崎が先制点「冷静にゴールを狙っていた」

ハーフタイムにミシャ監督の檄が飛んだのか、浦和は後半の立ち上がりから主導権を握り積極的に仕掛けて行った。54分、高木が左からドリブルでカットインし、思いっ切り右足を振り抜くも無情にもクロスバー直撃!移籍初ゴールはお預けになってしまった。

高木選手は「叩いただけで、点になっていない。惜しかっただけだ」と悔しがった。そして「予想通り難しい展開になった。前半の我慢が後半に繋がったと思う。前半から、無理してドリブルするシーンが出来たら、相手のDFは崩せたと思う。反省だ。フリックに拘りすぎたし、ボールをもたされながら、ミスして危ない場面があった。プレスに来ない相手に対して、難しいことを遣らずに、シンプルに繋げば良かった。ボールを貰う前の動きや質が課題だ」と話した。

63分には高木選手に代わって李忠成選手を投入。そして74分、関根貴大選手がドリブルで持ち上がり、ペナルティーエリア手前の柏木選手へ預けると、柏木選手が左足のアウトで回転をかけた浮球をゴール前へと送り、そこへ走り込んで来た梅崎選手が角度の無い所からニアーを狙い、待望の先制点が生まれた。

柏木選手は「ズラでも良かったし、ウメちゃんが走り込んで来たのは見えていたけど、角度が無いなぁって思った。GKとDFの間を意識して、アウトサイドで狙った。ウメちゃんが上手いこと決めてくれた」と満足気な表情でアシストを振り返った。ゴールを決めた

梅崎選手は「相手の守備にやられてしまうシーンが多く、反省点がある。悪い中でも冷静にゴールを狙っていた。結果に結び付いて良かった。角度が無かったが、GKとの駆け引きで、GKがニアに撃つと意識をしていなかったので、ニアを狙った」とニヤリと笑った。

GKの動きをしっかりと読んで冷静に狙ったシュートであった。77分には、先制点を叩き出した梅崎選手に代わり、橋本和選手を投入。

そして79分、積極的にドリブルで仕掛けた関根選手が、阿部翔平選手にエリア内で倒されてPKを獲得。関根選手は「みんなにシミレーションだって言われたけど、メチャ痛かった。腿かん(腿の打撲)が入った」と左太腿をアイシングしていた。「痛くって倒れているのに、邪魔でPKが始められないって言われて寂しかった」と話し「ズラは最初外したが、決めてくれて良かった」と嬉しそうに話した。

負傷した関根選手に代わり平川忠亮選手が急遽ピッチへと送り込まれた。「中2日でガンバ戦だけど、コンディションを整えます。昨シーズンは余り試合に出れず、連戦の経験がないので、試合を乗り越えて行けば成長出来る。好調を維持したい」と腿かんにも負けずに関根選手は、G大阪戦へ意欲を燃やした。

ズラタン選手は「慌てることなく、点が獲れた。自分を信じて、冷静に得点を決められた」と話した。

最後のピンチも西川が防ぎ、シャットアウト勝ち

浦和が2点リードをしたが、甲府は最後まで諦めずに反撃して来た。80分とアディショナルタイムに伊藤純也選手が抜け出し決定的なシュートを西川周作選手がしっかりとセーブした。

西川選手は「前節の名古屋戦の教訓が生きました。ゴールライン際を抜けてきたやつは(80分)、コースが無かったけど先に動かずにいたら、胸に当ってくれた。1対1は(90分+2)、ポジショニングと距離間で自分の所にボールが来ると思った」と話した。

浦和が2-0と甲府を下し、がっちりと首位をキープした。

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