浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】首位攻防戦をガンバに勝利!西川「代表の経験が活かされた」Jリーグ1stステージ第9節vsガンバ大阪<西川、平川、槙野、武藤、ズラタン、李、宇賀神コメントあり>(2015/5/2)

今日の試合のポイント!

1ゴールが物をいう緊迫した試合の中で、遠藤選手のFKを左手指先でコースを変え、試合終了間際に宇佐美選手のシュートを見事に止めた西川周作選手だ。

西川選手は「ヤットさんが助走して入って来たから、FKでいろんなことをして来るのは分かっていた。代表の練習でヤットさんのFKは経験していて、縦回転で狙うのを知っていた。代表の経験が活かされた」と話し、「昨日の練習で、尚史さんが(土田コーチ)考えてくれた練習が試合で生きた。

宇佐美は良いタイミングで撃ってくる。GKのタイミングが取れない時の準備が出来た」と嬉しそうに話した。試合の中で、「もしも」という仮定の話は・・・。だが、もしも遠藤選手のFKが、宇佐美選手のシュートが決まっていたら、浦和の勝利は無かった。試合後に、土田コーチと喜びを分かち合っていた西川選手の姿が、今日の勝利の要因を物語っているように思えた。

首位攻防戦に勝利!!

五月晴れの青空に「WE ARE REDS」の歓喜の雄叫びが響き渡った。昨シーズンの雪辱を晴らし、浦和を愛する人々の心も五月晴れであった。浦和がG大阪に男の意地を見せて0-1の完封勝利を収めた。

6勝2分けで首位に立つ浦和は、僅か勝ち点1差で追うG大阪をホームに迎えた首位攻防戦。両チーム共に、中2日で迎えた連戦5試合目、気温も26℃と夏日となり、選手の怪我やコンディションも厳しい状況であった。前節の甲府戦で太腿を打撲した関根貴大選手はベンチスタートとなった。関根選手は「朝の段階で、スタメンで行けます!って、言ったけど、ベンチスタートでした」と苦笑いしていた。昨日、36歳のお誕生日を迎えた平川忠亮選手がスタメンで起用された。

平川「うまくゲームに入れた」

赤・白・黒の大旗が浦和のゴール裏に表われて、この試合が意味することを誰もが感じていた。選手たちの試合の入りのモチベーションも高く、非常に良いゲームの入り方が出来た。7分、武藤雄樹選手がドリブルで仕掛けるもののシュートまで持ち込めない。G大阪はしっかりとラインコントロールをして、組織だった守備でブロックを形成する守備と前からプレスを掛ける守備を上手く使い分けていた。

平川選手は「リーグ戦に関しては、久しぶりのスタメンでチームの流れが良い中で、上手くゲームに入れた。G大阪がきっちりとしたDFをする中で、我慢して、我慢して闘っていた。相手のメリハリのある守備の中で、前から来ると崩せたし、退かれると難しかったが、試合の流れの中で臨機応変に対応出来たと思う」と話した。

浦和は、ボールをキープするものの、なかなか楔のパスが入らず我慢の時間が続いた。12分、遠藤保仁選手からのパスを受けた宇佐美貴史選手が、ダイレクトで右足を振り抜きゴールを狙って来たが、枠を捉えることが出来なかった。14分には宇賀神友弥選手が倒されて獲得したFKを柏木陽介選手が那須大亮選手のヘッドに合わせるが、こちらも枠を捉えることが出来なかった。

西川「0-0で行けば優位だと思っていた」

西川周作選手は「前半は、0-0で行けばこちらが優位だと思っていた」と冷静であった。G大阪の得点源となる宇佐美選手とパトリック選手に対しても浦和のDF陣が身体を寄せて仕事をさせなかった。

パトリック選手とマッチアップが多かった槙野智章選手は「監督からずっとパトリックの良さを消すことを求められていた。今までの対戦で、パトリックの動きは、サイドに流れてスペースで貰うから、時間とスペースを与えないことを心掛けた。宇佐美とパトリックを守備に回して、ゴール前から遠ざけること、相手を走らせて体力を奪うことだった」と自慢げに話した。

18分にはパトリック選手がペナルティーエリア手前で強烈なシュートを放つも僅かにゴール左に逸れた。前半の宇佐美選手とパトリック選手が狙ったシュートは1本ずつであった。G大阪の攻撃の脅威は、全く感じられなかった。ただ、G大阪の統率された守備に苦戦を強いられてしまった。それでも、堅い守備の中でも相手の隙を突き、22分には森脇良太選手がミドルシュートを狙うなど攻め続けた。決定的なチャンスが作れない中で、44分、宇賀神選手がゴールライン際まで抉り、マイナスのパスを出すもG大阪の守備に阻まれ、45分には、森脇選手のパスで相手DFの裏にズラタン選手が飛び出すもシュートは撃てず、0-0で前半を折り返した。

武藤「ガンバがブロックを作ってきて驚いた」

後半も浦和は立ち上がりから攻め続けた。50分、柏木選手の右CKのこぼれ球に反応した梅崎司選手がゴールを狙うも決まらず、64分には、柏木選手、武藤選手とテンポ良くパスが通り、ズランタン選手にボールが渡るもシュートが撃てず、膠着した状態が続いた。

武藤選手は「個人的には、動けていなかった。ゴール前で仕事が出来ず・・・。ガンバがあそこまでしっかりとブロックを作って来て驚きました。僕が、仙台で対戦をした時に、あそこまで退いてこなかった」とG大阪のしっかりとした守備ブロックに戸惑っていた。

66分、攻撃の活性化を図り平川選手に代わり関根選手が投入されると、関根選手は出番を待ちわびていたかのように活き活きとピッチの中を走り回った。68分、関根選手のクロスのズラタン選手が合わせるが、GKの正面になってしまった。浦和は、ラストパスの精度やゴール前のタイミングが合わずに決めることが出来ない。

70分に梅崎選手に代わり李忠成選手をピッチに送り込むと、G大阪は遂にパトリック選手に見切りをつけて赤嶺真吾選手、大森晃太郎選手に代えて阿部浩之選手を投入してきた。

そして76分、前掛りに来たG大阪に、ペナルティーアーク手前でFKを与えてしまった。遠藤選手が直接狙ったFKは西川選手の左指先でコースが代わり、クロスバーに直撃。浦和は、西川選手とクロスバーに助けられた。1ゴールが勝敗を決める緊迫した状況の中で、遂に均衡を破るゴールが決まった。84分、李忠成選手が右からドリブルで左に流れて、武藤選手へとパスを送ると、武藤選手は冷静に溜めを作りオーバーラップして来た宇賀神選手へ、宇賀神選手は倒れ込みながら、GKとDFの間を狙った早くて低めのクロスを入れると、ニアーで阿部勇樹選手がDFを釣り、ゴール前でフリーになったズラタン選手が右足で合わせて、やっと浦和のゴールが決まった。

ズラタン「素晴らしい連携だった」

李選手は「実は、シュートを撃つタイミングを狙いながらドリブルを仕掛けたがコースが無かった。武藤が、フリーだったのも見えたし、ウガがあがって来ているのも見えていたので、武藤に預けた」と自分が決めたゴールのように嬉しそうに話した。アシストをした

宇賀神選手は「休んだ分、決定的な仕事が出来て良かった。前半に、抉ったときにマイナスの折り返しを取られたから、あのミスがあったからGKとDFの間を狙った。ズラタンも見えていたしね」と前半の44分のプレーが試合終了間際に生きた。

決勝点を叩き出したズラタン選手は「僕の前から素晴らしいアクションだった。李から武藤にパスが出て、自動的にウガがスペースに入り、ダイレクトにクロスがあがり、精度も良かったから正しいタイミングで入れた。ボックス内(ペナルティーエリア)に、5人はいたと思う。カバーがし辛い中で、本当に素晴らしい連携だった」と謙虚に味方のプレーを絶賛していた。

険しい表情で槙野選手は「昨シーズンもゼロックスも80分まで素晴らしい試合をしていても、残り5分、10分でG大阪に決められていた。ゴールを許さなかったのは、気持ちを全面に出したプレーが乗り移ったと思う。周ちゃんにあとで聞いたら、宇佐美のシュートは余裕があったって言っていた。身体を張って守るのは大事だが、最後は和製ノイアーが居てくれた。次の仙台戦が大事な試合になる。質の高い緊張感をもって遣ろうとみんなが言っていた」と話した。

最後まで諦めないG大阪は、90+2分にリンス選手のパスでゴール前に抜け出した宇佐美選手が強烈なシュートを放つが、西川選手のファインセーブで得点を許さなかった。そして、勝利の笛が埼玉スタジアムに鳴り響いた。リーグ戦に限ってのことだが、ホームでG大阪に勝利したのは8年ぶりのことであった。

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