浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「違いが分かる男~興梠慎三選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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浦和はまだ「CHAMPION」ではなく「WINNER」なのだ

最後の笛が鳴った瞬間、ピッチの男たちは両手を高らかに天へ突き上げた。アウェー神戸の地で「WE ARE REDS」のコールが響き渡り、ベンチにいた選手たちもピッチへとなだれ込み、みんなで歓喜の輪を作って飛び跳ねた。1stステージ1試合を残して無敗のまま、浦和の優勝が決まったのだ。

ピッチには「ROAD TO GLORY」と書かれた赤いゲートが、浦和の優勝を讃えていたが、そこには現実を突きつけるように「WELCOME TO THE 2015 J.LEAGUE CHAMPIONSHIP」と小さく書かれ、選手たちの前には「1st Stage WINNERS」と書かれた白いボードが置かれた。その英語文字が胸に突き刺さり、無敗の1stステージ優勝の喜びもあっという間に掻き消されてしまった。

ホーム&アウェーで行なわれる2ステージ方式でも無い。浦和は「CHAMPION」では無いのだ。あくまでも「WINNER」なのだ。単なる通過点でしかないことを素直に喜べなかった。歪な2ステージ制としか、どうしても思えず周りの喜びから置き去りになっている自分がいた。だが、その思いは私だけでは無かった。興梠慎三選手もそのひとりであった。

村井満チェアマンから、チャンピオンシップの招待状がキャプテン阿部勇樹選手へと手渡されると、浦和のゴール裏から地鳴りのようなブーイングが巻き起こった。浦和を愛する人々を撫だめるように、見かねた武藤雄樹選手が「まぁ~まぁ~」といった感じに手を振っていたが、ブーイングが鳴りやまぬことは無かった。

武藤選手は「僕にとっては、初めてのタイトルなので素直に嬉しい」と喜んでいた。今シーズン、仙台から移籍した武藤選手の気持ちも分かる。ミシャ監督と共に掲げられたトロフィーは、本当に眩しく輝いていた。1stステージ優勝のトロフィーを手にする選手たちの姿を見ると、ここまで積み上げてきた成果なのだから、喜んで当然である。選手たちは、ユニホームから優勝Tシャツへと着替えて、順番にトロフィーを掲げながら浦和を愛する人々と喜びを分かちあっていた。もちろん、森脇良太選手がトロフィーを掲げると、お約束のようにブーイングが巻き起こったが、みんなが嬉しそうに笑顔であった。

しかし、ピッチではあんなに喜んでいた選手たちであったが、ユニホームを脱ぎ移動用のスーツに着替えると様子は一変していた。一番その落差を感じたのは、興梠選手であった。微妙な表情を浮かべて「優勝って言われもね・・・」と複雑な心境だった。「誰かが、ガンバが引き分けたって言ったから、最後の笛が鳴る前に優勝したことは知っていた。優勝よりも無敗記録を伸ばしたい方が、気になった。でも、後ろが耐えてくれていたから安心して見てた」と優勝が決まった瞬間を淡々と話した。そして「年間優勝した時と、トロフィーの重さが違った。半分だった。だから、喜びも半減で、どう喜んで良いのか分からなかった。ルール上は、優勝なんで素直に嬉しいが・・・。自分が喜んでいない姿を見せるのは失礼だと思って、トロフィーの重さも喜びも半減していたが、優勝を喜んだ」と率直な自分の気持ちを話してくれた。

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鹿島時代にJリーグ3回、ナビスコカップ2回、天皇杯2回優勝の経験があり、鹿島の黄金期を支えた興梠選手は、「CHAMPION」と「WINNER」の違いを知っているのだ。真の日本一を掴んだ者だけが、重みを知り喜びを知っている。だから、興梠選手はその違いが分かるのだ。一昨年、2ステージ制移行の話しが持ちあがった時も、興梠選手は反対を表明していた。「1年間通してのチャンピオンだ!年間で勝ち点1位でも優勝が決まらないっておかしいでしょう?!1stと2ndで闘い方も変わるかも知れない」と様々なことを懸念していた。

それでも興梠選手は「攻守の切り替えが昨年よりも早くなった。失点は昨年の方が少ないが、得点が獲れているのは、連携が良くなっている。今年、チームに入って来た人たちが、フィットしていることが、勝利に繋がっていると思う」と昨シーズンとの違いを話しながら1stステージ優勝を振り返った。

そして、身を引き締めるように「怪我でチームに出遅れて迷惑を掛けた。ゴールで恩返ししたかった。得点が伴っていない」とストライカーとしてのゴールへの思いを話したのだ。昨年の鹿島戦での右足腓骨骨折で離脱し、G大阪戦で強行出場し悪化させた怪我により、今シーズンのチーム合流も遅れた。あの怪我以来、興梠選手はちょっとした怪我にも敏感になっている。良いコンディションで試合に臨むために、普段ならプレーを続けるような接触も、練習中はプレーを止める。神戸戦の前日練習もそうであった。接触による打撲で、途中で練習を離脱したのだ。

昨シーズン、優勝争いしていた時の離脱した思いが秘められていたのだ。真の日本一になるためには、絶対に無理はしない、ベストコンディションで試合に臨みゴールを決める強い意志を感じた。

興梠選手は「ダメなのは、気が抜けて次に負けることだ!どこまで無敗記録を伸ばせるかが楽しみだ」と話した。「CHAMPION」と「WINNER」、重み違いの分かる男の目は『完全無欠優勝』を狙っているようにギラギラしていた。本当に心から浦和を愛する人々と喜びを分かち合える日を目指し、興梠選手はゴールに挑む。

Q. どんなプレーの時に、前十字靱帯を損傷しやすいのでしょうか?

A. 一番多いのは、カッティングと言って方向転換をする時です。例えば、左膝を軸にして方向を変えようと身体を捻じった時に、膝がねじれて内側に入ってしまうと靱帯を損傷します。あとは、競り合ってジャンプして、バランスを崩し着地をした時に膝が内側に入ってしまったり、相手のスパイクの上に落ちてしまい足を捻った時に膝も同時に捻ってしまうことがあります。膝に自分の体重の負荷がかかってしまい切れてしまう非接触型の怪我です。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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