浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「笑顔の裏に~西川周作選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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”鉄壁”の裏にある、守護神・西川のこだわり

苦しい試合を乗り越えて、今シーズン開幕から13勝6分けと19戦負けなしで、浦和は無敗記録を更新している。大宮が2013年に樹立した13勝8分けの21戦無敗記録まで、あと2試合と迫っている。

大宮の無敗記録は、2012年9月1日浦和対大宮戦の埼玉スタジアムから始まった。前半11分に原口元気選手が先制点を叩き出し、18分にノバコビッチ選手が退場となり数的優位になった浦和であったが、前半のアディショナルタイムに東慶悟選手の思いっきりの良いミドルシュートが決まり同点とされてしまい、その後、攻め続けた浦和だがゴールポストに3回も嫌われたこともあり、1-1の引き分けだった。この引き分けから始まった大宮の無敗記録は、シーズンをまたいでの記録である。だが浦和は、1シーズンで記録を更新中である。

浦和が、目指すところは『真の日本一』であり、無敗記録更新で無いと分かっていても、浦和から始まった大宮の無敗記録を打ち破りたい思いが強い。浦和が、無敗を更新することで、2ndステージ制覇と年間王者の道へ確実に繋がる。無失点で対戦相手を押さえることが出来れば、絶対に負けない。そんなことは、浦和の幼稚園児だって知っている。浦和を愛する人々の思いを背負ってピッチに立っているのは、ゴールを守る最後の砦である守護神の西川周作選手だ。19戦無敗は、西川選手のファインセーブやビルドアップにどれだけ助けられたか分からない。

19戦中、無失点試合は7戦であった。もちろん、西川選手はピッチに立つ以上、無失点に拘り続けている。毎試合、西川選手はアップの時に、芝生が長いのか、短いのか、湿っているのか、乾いているのか、芝生が絡み合っているのかなど細かいところまでコンディションを確認している。また、キックオフ時間によって太陽光線による影響や照明のライトの位置、天候まで試合前から常に気にしている。

試合前日に西川選手に話を聞くと「明日は雨だから~」とか「ピッチに水を撒かないと思うからボールが止まる」「ライトの位置が低いからクロスのキャッチング」「ゴール前の芝生が禿げているからバウンドが変わりやすい」などと具体的にピッチコンディションの情報を頭に叩き込んである。西川選手にとって、無失点で相手を押さえるために重要な要素の1つなのだ。

もちろん、無失点のためには相手にシュートを撃たせなければ良いが、1本もシュートを撃たせなかった試合は、私の記憶の中では無い。GKが1人で守っている訳ではないが、やはり最後の局面はGKだ。

GKの基本は、ボールとゴールの中心を結んだライン上にポジションを取る。西川選手は「どんな状況にも対応できるように、足を止めずに細かいステップを踏んでいるんですよ」と教えてくれたが、西川選手のポジショニングは、凄く正確で判断力も良い。そればかりか、驚くほど身体が柔らかい。まるで、柳の枝のようである。その柔軟性を維持するために、練習後は必ずストレッチを欠かさない。

浦和のGKはシュートストップだけでなく、多種多様なことが出来ないと務まらない。浦和は、出来るだけDFラインを高く保ちコンパクトにするために、GKの守備範囲が広い。そして、試合の流れの中ではバックパスをもらって攻撃の組み立てに一役買う。「自分はリベロの役割もしないといけないからね」と西川選手は笑う。

西川選手共に一緒にGK練習をして、試合中も西川選手から業を盗もうとしている大谷幸輝選手は「普通にビルドアップが上手いと思う。しっかりと相手が寄せる前に見えていないと蹴れないし、見えていても蹴れる技術がないと蹴れない。本当に凄いですよ!半端じゃない!!」と興奮気味に話すほど、西川選手のビルドアップは定評がある。

ゴールキックやパントキックの精度も高く、キーパースローからも攻撃のチャンスを作り出す。だが、その精度をより正確なものにするために、西川選手は必ず居残り練習でキックの練習を繰り返している。2ndステージ開幕戦前日も、いつも通り居残り練習でキックの練習をしていた。しかし、この日はいつも違い、タッチライン上にボールを置いてしていた。西川選手は嬉しそうに「新しい練習方法を見つけた!」とタッチラインの白線で自分のフィードにどれだけブレが出たのか、良く分かる西川流正確なキック練習を編み出したのだ。その姿に心を奪われて、手にしたNikonの一眼レフで連写していた。

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すると西川選手が「良い写真、撮れました?」と話しかけて来たのだ。「カメラの性能が良いからね~」と練習を終えた西川選手に撮れた写真を見せると「すげ~!ホームが良く分かる」と真剣にカメラを覗きこんだ。余りの真剣さに「この連写、プリントしてあげる」と言うと「本当に?!マジ、嬉しい」と満面の笑みを浮かべたのだ。自分にあった練習方法を考え、連写した写真で自分のホームを確認する。その貪欲な姿勢が、正確なビルドアップを生み出していたのだと実感した。

「僕が笑っていれば、周りが笑顔になる。幸せになれる」と西川選手の座右の銘は『笑門福来』である。浦和が、無失点で勝利を収めた時の西川選手の笑顔は、最高だ!そして、西川選手の笑顔で、浦和を愛する人々もまた笑顔になる。西川選手は、自分が笑顔になるために、そして周りの人々を笑顔にするために、とことん拘り妥協を許さない。

2ndステージ開幕前に「無失点試合を多くしていくのが2ndだ!」と西川選手は誓った。西川選手は、惜しみない努力を笑顔の裏に隠して、無敗記録更新と共に真の日本一を目指す!

A. 前十字靱帯損傷の予防はあるのでしょうか?

Q. 前十字靱帯損傷は凄く多く、特に女性は男性よりも3倍も怪我しています。その中で、女子のバスケットチームやサッカーチームは、予防プログラムを活用しています。アジリティーでスピードや敏捷性をあげたり、あとはバランスです。バランスは、片足でジャンプしたり、バランスボールに乗って膝を曲げたりします。怪我をする時は、足首が外に向いて膝が内側に入ってしまうので、ジャンプの着地の時に膝が内側に入らない動作を指導します。そして、筋トレなど予防プログラムで発症頻度が減ったと言う統計があります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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