浦和フットボール通信

MENU

<ハイライト動画付き>【河合貴子の試合レビュー】「相手は浦和との戦い方を研究してきている」Jリーグ2ndステージ第5節vs甲府<柏木、高木、西川、岡本、那須、武藤、興梠コメントあり>(2015/7/30)

今日のポイント!!

甲府は、堅守でゴール前を固めて、負けない戦い方をしてきた。そして、カウンターを虎視眈々と狙い、見事にモノした。甲府のフットボールが良いかと聞かれたら、正直なところつまらない。だが、浦和を相手に勝ち点を獲るには、捨て身の守備からのカウンターしかないのだ。

柏木陽介選手は「思うようにいかなかった。内容は悪くなかった」と言った。確かに、内容は悪くなかった。内容が悪くないが、勝ち切れない。高木俊幸選手は「前半の崩しが、後半は継続出来なかった。後半は、崩しが少なかった。退いた相手に遠目からのシュートやダイレクトに叩いてのコンビネーションプレーも良いが、突破の仕掛けやドリブルが必要だった」と話していた。

後半、同点になってから焦りが選手たちにあり、また暑さと疲れからプレーが雑になったり、判断力が低下してしまったように感じた。それこそ、相手の思うツボだった。

西川周作選手は「2ndに入って対戦した相手の戦い方が似ている。浦和にボールを持たせて、カウンターを狙う。自分たちがボールを持っている時に、攻から守に変わり、もったいない失点をしている。相手は浦和との戦い方を研究してきている」と話した。決定機を活かせずに、甲府のゲームプランにハマってしまったことは否めない。

攻めても、攻めても、決まらずに引き分けとなった甲府戦

日中の暑さと比べて、気温27.6℃と夜風が涼しさを運んで来た7月29日。しかし、ピッチの中は無風で湿度が83%と蒸し風呂状態の中で甲府戦が行われた。2ndステージ開幕し、浦和も甲府も1勝1分け2敗と共に浮上のきっかけを掴みたい両チームの対戦となった。

浦和は、前節の名古屋戦で出場停止となった森脇良太選手に代わり岡本拓也選手が7試合ぶりに先発起用された。また、試合前日に左膝を接触し大事をとって練習を離脱した西川周作選手も「大丈夫でした。来るなって思って退いたんで、半減した。そもそも、半月板ないし、後十字靱帯も怪我した経験あるから慌てないことが大事!元気よく試合に臨めました」と笑顔を見せていた。

甲府のキックオフで始まった試合は、立ち上がり西川選手とDF陣の連携が合わずにバタつくシーンが見られたが、ボールを保持しながら落ち着きを取り戻して行った。

岡本選手は「最初は慎重に入り過ぎたが、徐々に自然にプレーが出来た」と話した。予想通りに甲府は、自陣に退き籠り5-4-1とブロックを形成して来た。浦和は、最終ラインから縦パスやサイドへとボールを散らしながら甲府のDF陣に揺さぶりを掛けて行った。

16分には那須大亮選手から興梠慎三選手へと縦パスが入り、興梠選手の落としのボールを高木俊幸選手が甲府のブロックの隙を突く動きから放った左足のミドルシュートはクロスバー直撃!

高木選手は「今まで、ゴールを決めるチャンスあったから、落ち着かせないといけないと、止めてしまったり悪循環になっている。“見えたら撃つ“を考えて行く。途中で投げちゃうのは良くない。クロスバーを叩いたシュートは、入れ~って感じのシュートだった。そういう部分なのかなぁ・・・。確信を持ってシュートを撃ち切れていない。次は、無心でひたすらシュートを撃つ!それが、自分の原点だ」とシュートシーンを振り返った。

20分には、柏木陽介選手から興梠選手がエリア右に流れてパスを受けて折り返すも、ゴール前に飛び込んで武藤雄樹選手と僅かに合わずチャンスは作るが甲府ゴールを抉じ開けることが出来ずにいた。そして21分、那須選手が稲垣祥選手と接触して顔面を押さえて倒れ込んでしまった。一端はピッチの外に出たが、すぐに戻りそのままプレーを続けていた。試合後にロッカールームから出てきた那須選手は鼻をアイシングしたまま「たぶん折れやすくなっている。鼻が曲がっていたんで、ロッカールームでドクターに元に戻してもらった」と痛そうにしながら話していた。

その後も浦和は、主導権を握り攻め続けるがラストパスがあわなかったり、身体を張った甲府のDF陣を前に苦戦を強いられてしまった。30分から立て続けに得たCKのチャンスも生かせずにいた。37分、ゴールライン際で高木選手が仕掛けてエリア内で関根選手、興梠選手へと細かいパスが繋がり、オーバーラップした岡本選手のクロスをファーサイドで武藤選手が折り返しゴール前で関根選手が相手DFとヘッドで競り合い、その零れ球を岡本選手が狙うも阿部翔平選手に倒されPKを獲得。阿部勇樹選手が冷静にゴール右隅に流し込み待望の先制点が浦和に転がり込んだ。

岡本選手は「その前にもエリアで倒れたから、PKは合わせ業だ。しっかりと後で繋げていたので、監督から高い位置を取れと言われていた。結果オーライだった」と照れながら話した。1点を追う甲府は前に出ずに守備を固めてチャンスを覗っていた。浦和も追加点を奪えずに前半は、1-0で折り返した。

ミシャ監督は「後半、守りに入らないように、集中力を持って攻守の切り替えを早く、慌てないでプレーをすること」と指示を出して選手をピッチに送り込んだ。一方、佐久間監督は「アンラッキーな失点だったが守備は問題ない。攻撃に入った時に、選手の距離を短くする。慌てず、粘り強く闘い続けること」と指示を出していた。

後半も試合の主導権を握ったのは、浦和であった。後半立ち上がり、岡本選手のクロスをゴール前に飛び込んだ武藤選手がシュートを放つも枠を捉えることが出来ない。

武藤選手は「甲府は前半から、ほとんど前から追って来なかった。チャンスを決めなければいけなかった。守備に人数を掛けられていて、ゴール前に人がいて、決め切れなかった。浦和らしい攻撃でチャンスも作ったし、最後に入らないのは、残念だった。凄く中を締められていて、縦に入り辛かった。でも1stで甲府と対戦した時よりもチャンスは多かった。パスを受けて、ターンして仕掛けて行こうとイメージをしていた。左からの崩しのシーンで、岡本のクロスを外した。1stでは、決めていたのに、ここで決められないのは力不足。自分の責任を感じている」と決定機を外したことを悔いた。

57分にも阿部選手からのアーリーパスを武藤選手がヘッドで逸らし、関根選手が豪快なシュートを放つもGK河田晃兵選手のファインセーブで決定的チャンスをものに出来ないでいた。何度もチャンスは作り続けるが、追加点が奪えない。

64分には、武藤選手からパスを受けた興梠選手がシュートを放つも決まらず、河田選手のクリアーボールを拾った津田琢磨選手が冷静に下田北斗選手へ、下田選手はカウンターチャンスを見逃さなかった。下田選手からパスを受けた伊東純也選手は、岡本選手と選手と競りながらドリブルで切れ込みシュート!西川選手の手をかすめてボールはゴールへと吸い込まれて行った。

伊東選手と接触した際に、岡本選手は古傷の右肩を脱臼し青木拓矢選手と交代を余儀なくされた。「肩が外れた。もったいなかった。中に行かすようにして最後は着いて行けたと思ったが、最初のポジションが悪かった。反省しないといけない。みんなに申し訳ない。自分のミスで失点した。相手から良いボールが出て来てし、ポジションが良くなかった。悔しいですね。しっかりとボールを保持しながら、縦に入れるところ、回すところを慎重にやっていて良い流れの中で一発でやられた。やってはいけないミスだった」と脱臼した肩よりも心の方が痛かった。

西川選手は「DFにはDFの考え方があり、カバー出来るのはサッカーだ。自分が止めないといけなかった。触ったんですけどね・・・。勝ち点3で、みんなが笑顔で帰れたのに・・・」と話した。

ボランチの位置に入った青木選手は「もう少し運んで、楔を入れても良かったと思う。うやっていることは悪くないと思う。これを継続して続けていくことだと思う。気持ちも部分だと思う」と前を向き、那須選手は「追加点を取れなかった。カウンターは想定内だったが、止めるか、止めないかだ!失点は悔しい。ポジティブに考えれば、連敗を止めた。勝利は付いて来ていないが、我慢してやり続けることだ。最後、決めることが必要で拘って遣っていく」と必死に気持ちを切り替えていた。

73分には、柏木選手に代えてズラタン選手を投入。柏木選手は「ちょっと内転筋。ちょっとどうなるか分からない。(代表に)行きたい気持ちはある。3試合あるし、出来るならやりたいが、代表で迷惑が掛かるならここに残る」と話した。内転筋の痛みはいつからあったのか、柏木選手は明言を避けて「自分なりにチームの試合が大事だと思った」と甲府戦の勝利を考えていたようだ。

ズラタン選手をワントップして、興梠選手をシャドーへ、シャドーの武藤選手を選手をボランチに下げて反撃を試みた。75分には、槙野選手がゴールを狙うが決まらず、浦和は最後の交代カードを興梠選手に代えて梅崎司選手へと切った。攻め続けても流れの中から決められず、セットプレーに期待が掛かるが不発に終わってしまった。

アディショナルタイムには、またもやカウンターの脅威に晒されるが、得点を許さず1-1の引き分けと終わった。

興梠慎三選手は「それなりにチャンスもスペースもあった。調子の悪い時は、サイドから崩して行くことを試合前から監督と言っていた。真ん中からのコンビでもチャンスはあった。自分もチャンスがあって決め切れずに1-1で終わった」と悔しがり「良い時期から悪い時期は、どこのチームにもある。FWがコンスタントに点が獲れれば良いが、波がある。チームが勝てないのは自分の責任だ」と自責の念に駆られていた。選手全員それぞれが、勝てなかったことで自分を責めていた。下を向くのは、まだ早い。中断期間にしっかりとチームの立て直しを図りたい。

ページ先頭へ