浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「熱い魂の炎の戦士~那須大亮選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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那須選手のプレーには、怪我を恐れず、勝利に拘りを持つ熱い魂を感じる

川崎F戦の試合前から、不吉な予感はあった。ひょっとしたら、90分間ピッチで闘うのは無理があるのではないか?!それを払拭するように那須大亮選手は笑顔で「違和感は無い。間に合いました」と試合前日に笑顔で話していた。

死闘を征したFC東京戦後、那須選手は鼻骨骨折だけでなく、右足の違和感を訴えて別メニューでずっと調整をしていたのだ。「年間首位が掛かっている。高ぶる気持ちを力に代える」と那須選手は、年間首位を目指して目を爛々と輝かせていた。

だが、迎えた川崎F戦で、不吉な予感は的中してしまった。後半40分過ぎごろから、那須選手の動きが止まった。那須選手が、右のストッパーのポジションに代わって、オーバーラップして攻撃参加した後であった。守備に戻った時、急に足を止めて右足太腿裏を気にする仕草をしたのだ。
那須選手の動きの異変に「右足ハムストリングの肉離れでは?!」と誰もが思った。ハムストリングの肉離れは、良く癖になると言われているぐらいである。肉離れの度合いにもよるが、損傷して約2週間で復帰した場合に再発する選手が多い。FC東京戦からちょうど2週間経っていた。

ミシャ監督も那須選手に無理をさせたく無かったのだろう。那須選手に代えて、高木俊幸選手を投入する準備までしていた。だが、1-1で前半を折り返し拮抗した試合の流れや展開を考えてミシャ監督は、最後の交代枠をズラタン選手に代えることを選択した。

これが、那須選手にとって裏目に出てしまった。もしも、後半30分で那須選手を交代させていたら、那須選手にとって悲劇は起こらなかっただろう。ハムストリングの肉離れを経験したことがある人なら分かると思うが、ハムストリングが肉離れを起こすと、その軽度によるがジャンプはおろか走ることも痛みで出来ない。走ろうとすると激痛が襲う。

交代枠は、既に3枚使いきっていた。走ることなんて痛くて出来ないはずなのに、那須選手は「足がどうなってもチームに結果が出れば良いと思った」と最後の笛が鳴るまで必死に闘っていたのだ。

3枚の交代枠を使い切り、ピッチの中の選手にアクシデントが起きた場合は、やむを得ずに10人で闘うことを選択することが多い。だが、那須選手はピッチを去ろうとしなかった。

那須選手は「自分にアクシデントがあったが、最低限のことが出来た。1人いなくなるのは厳しいし、最後まで闘ってやり切ろうと思った」と試合後に話していた。

自分からピッチを去ることも出来たはずなのに、残り約5分+アディショナルタイム4分を那須選手は、痛みとも闘い強いメンタルティーを見せ付けた。どんな時だって、那須選手は、闘う強さを持っている。FC東京戦のアディショナルタイムでは、前田遼一選手の肘が那須選手の鼻に直撃したときも、鼻から血を出しながらプレーが切れるまで遣り続けていた。

試合後に鼻をアイシングして那須選手は「選手を守ってもらうのは、審判しかいない。出血しているのに・・・。ちゃんとプレーを見てもらいたい。久しぶりに頭に来た。担架なんて、いらねぇ!!って感じだった。相手のサポーターがブーイングして来たが、こっちは出血しているんだって頭に来たら、頭に血がのぼってしまい。「落ち着け」とトレーナーさんに言われたが、「落ち着けるかぁ!」って無理やり鼻に詰め物をした」とファールの判定を取らなかった審判としっかりと状況を把握しないでブーイングを浴びせたFC東京のサポーターに対して怒りを露わにした。

この時も、鼻骨骨折をしながら最後まで闘っていたのだ。相手チームのストライカーと激しく競り合う那須選手は、何度も鼻骨骨折をしている。鼻骨骨折について那須選手に話を聞いた時「もう何度もやっているからねぇ。何回、鼻骨骨折したか、覚えてないよ。フェースガード?!そんなの必要ない!視野が狭くなるし、邪魔だ。鼻の骨折なんて、ディフェンダーにとってみたら勲章みたいだ」と笑って話していたことを思いだした。FC東京戦で、また1つ那須選手の勲章が増えた。

しかし、いくら那須選手が勲章と言っても、選手たちには怪我をして欲しくない。出来ればベストコンディションで闘って、ベストなパフォーマンスを見せて欲しいと心から願っている。だが、残念なことにピッチでの怪我によるアクシデントは、避けようが無いものである。怪我を恐がったプレーでは、闘えないのだ。

那須選手のプレーには、怪我を恐れず、勝利に拘りを持つ熱い魂を感じる。まさに、熱い魂の炎の戦士だ。那須選手の熱い魂の炎の戦士の姿が、浦和を愛する人々を熱くする。その熱い声援で、那須選手はもっと熱く燃える。

Q.選手から、最初は乳酸が溜まり走れないが、その後は走れるようになると良く言いますが、何故ですか?

A.ブドウ糖を分解してエネルギーを発生させた時に出来た乳酸は、筋肉が動くことで血液の中に流れていきます。最初は乳酸で疲労感を感じますが、血液によって流れていくことで疲労感は薄れて走れるようになります。これが、急性疲労です。ただ、乳酸がどんどんと蓄積されてしまうと慢性疲労となりオーバーユースです。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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