浦和フットボール通信

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【河合貴子の大原なう】改めて共通意識付けをチーム全体にさせる1時間半のトレーニング(2015/12/11)

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スペースを意識してスプリント!

爆弾低気圧の影響で昨夜から降り続いた激しい雨は、練習が始まるころにはすっかりと止んだ。12月10日、新都心の高層ビル群が雲に霞む中、選手たちの明るい声が響いた。

リラックスしたムードで始まったアップが終わると、選手たちは真剣な表情へと変わりハーフコートでのミニゲームに取り組んだ。ビブ組は、GK西川、DF槙野、阿部、森脇、MF宇賀神、青木、柏木、平川、武藤、李、FW興梠。ビブなし組は、GK大谷・岩舘・福島、DF岡本、永田、加賀、MF橋本、那須、鈴木、茂木、高木、梅崎、FW石原。

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U-22日本代表カタール遠征の為に関根貴大選手は不在。また、昨日の練習中に左足首を負傷したズラタン選手は、軽い捻挫のため大事をとって別メニューで調整となり、来週あたりからチーム合流出来そうだ。ビブなし組のGKは大谷幸輝選手からスタートし、岩舘直選手、福島春樹選手と交代でゴールを守った。ミニゲームに参加しなかった斎藤翔太選手は、天野コーチの下でパス&ゴーからのシュート練習などに取り組んでいた。

1本目、立ち上がりから主導権を握ったのは、ビブなし組であった。高木俊幸選手のゴールに向かう攻撃的な意識が高く、素早いショートカウンターから高木選手がシュートを放っていった。

ビブなし組の勢いに押し込まれそうになったビブ組は、西川周作選手の「押し上げろ!!」の檄に、3バックの真ん中に入った阿部勇樹選手がDFラインを高くして、柏木陽介選手からサイドの高いポジションを取った森脇良太選手へとパスが通り、森脇選手から逆サイドの宇賀神友弥選手へと大きく展開して幅を使った攻撃から、宇賀神選手の落としを槙野智章選手が興梠慎三選手へと縦パスを入れたり、攻撃のリズムを作り始めた。

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すると、退き気味の李忠成選手を追い越す柏木選手の動きから、前線に飛び出した柏木選手にボールが収まり、柏木選手の落としのボールを森脇選手が豪快なシュートを決めた。

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その後、波に乗るビブ組であったが、ゴール前を固めるビブなし組の堅い守備をなかなか崩せずにいた。

ミシャ監督は、フリーズを掛けて「運べる時は前に運べ。相手の前からのプレスを一枚剥がす。相手がスペースを消したところから、DFを引っ張り出さないといけない」と指示を出した。

ビブなし組は、攻守の切り替えが早くビブ組みに決定的なチャンスを作らせなかった。しかし、柏木選手からバイタルエリア右側に流れた李選手へとパスが通り、李選手のクロスを興梠選手が胸トラップからボレーシュートを放ちゴールへと叩き込んだ。

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2本目が始まる前に、前線の3選手を入れ代えてミシャ監督から「常にスペースを意識しろ」と指示が飛び、両ワイドの平川忠亮選手と宇賀神選手にも中を突く動きからDFの裏を突く意識付けがされていた。

また、ボランチの青木拓矢選手がDFラインに下がり攻撃の組み立てを作る際にも、高木選手がDF裏を突く動きをすればパスコースの選択肢が増える説明が行なわれていた。前線の3選手が入れ代わってもビブなし組の守備は堅く、ビブ組は攻め詰まりを見せるシーンがあった。

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すると、槙野選手が「トシ~やり直しても良いんだぞぉ!」と声を掛けてサポートに回っていた。ビブなし組は、堅い守備からの速攻を見せ、加賀健一選手がゴール左前に流れた興梠選手へとロングボールを出すと、これを興梠選手が身体を半身にしながらダイレクトに右足で合わせて見事なゴールを決めた。

 

興梠選手のスーパーゴールに刺激されたのか、ビブ組は梅崎司選手の縦パスに抜け出した石原直樹選手、梅崎選手のクロスに高木選手、高木選手のドリブル突破から梅崎選手へと立て続けにゴールが生まれた。

3本目は、前線の3選手を1本目と同じに戻して行なわれた。3本目のミニゲームが始まる前にはミシャ監督から「奪った後に縦を意識しろ!」「オープン!」「スプリント!」と檄が飛び、パスが出てから走り出すのではなく、味方がボールを奪った時点で全員が縦を意識しながら素早くスペースを作り、使う共通意識で攻撃の選択肢を増やすことを求められていた。

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3本目も主導権を握ったのは、ビブ組であった。ビブなし組の堅い守備をスペースを作る・使う連動した意識で崩しに掛かった。だが、ビブ組みの手の内が分かり切っているビブなし組は、永田充選手を中心として、焦って無理に飛び込まずにじっくりと仕留めに掛かっていた。

ビブなし組のちょっとした隙を上手く突いたのは青木選手であった。青木選手はボールを奪うとすぐに興梠選手へと縦パスを入れ、興梠選手がDFを背負いながらターンして切れのある動きでゴールを決めた。そして、ラストゴールは流れるようなパス回しから生まれた。興梠選手に楔のパスが入り、DFを釣るように李選手へと預け、李選手が一端ボランチの柏木選手へと下げ、柏木選手がDFの裏を突く動きを見せた武藤選手へ、武藤選手のダイレクトシュートが決まった。実に観ていて本当に小気味良いパス回しからのゴールであった。

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約1時間半の練習であったが、ミニゲームではミシャ監督が何度もフリーズを掛けて共通意識付けをチーム全体にさせていた。選手全員が、スペースを意識してスプリントしていた。練習が終わるころには、雲の切れ間から太陽の日差しが零れ、選手たちを温かく包みこんでいた。

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