浦和フットボール通信

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【無料記事/河合貴子の試合レビュー】ACLグループリーグ第1節・シドニーFC戦<永田、阿部、柏木、武藤、西川、興梠、ペトロヴィッチ監督、アーノルド監督(シドニーFC)コメントあり>(2016/2/25)

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今日のポイント「勝って課題が見えるも「ホームで初戦を勝つ!」という気持ちがプレーに込められていた」

シーズン最初の試合で歌う勝利の歌は格別なものがあった。どんな形でもACL初戦のホームでの闘いを白星で飾る重要性を選手たちも浦和を愛する人々も感じていた。

シドニーFCのアーノルド監督は「チャンスは同じぐらいあった。大きな守りのミスをしたために、2失点してしまった」と話した。浦和にも失点に繋がるようなミスはあった。だが、浦和の場合はそのミスをしっかりとカバーして失点しなかった。前半の永田充選手のゴール前のカバーリングや後半の西川周作選手の顔面セーブなどチームを救ってくれた。あそこで失点をしていたら、ゲームの流れは変わっていただろう。

永田選手は「守備の部分でスライドが良かった。退くだけでなく、ボランチとの連携もチームとして取れていた」と手応えを感じていた。

ただ、勝利を収めた中でも課題は見えた。相手DFラインが高いことを上手く利用してDFの背後を狙う浦和らしいテンポの速いリズミカルなパス回しで効果的な崩しが出来るはずである。

阿部勇樹選手が「早い時間帯に点を獲って、後ろで回すことが多くなり、足下になり背後への怖さが無かった。ゲームの中での立ち位置や狙いを変えないといけない。勝ったから課題が見えた」と話した。

また、柏木陽介選手は「ボランチが落ちたまま(DFラインに)で相手の守備が嵌めやすくなっていた。阿部さんや青木が中に入って回せたら、もっと良くなる。チャレンジのパスが入れられる。今日は、無難なプレーになっていた。相手に読まれると一発サイドは難しい。中があるから外、外があるから中と認識して自分もやっていきたい」と話した。

もっと攻撃のバリエーションの使い分けを上手くしていけば、流れの中で追加点が奪え、楽にゲームを進められたと思う。

流れの中で得点は奪えなかったが、失点に繋がるようなミスをきっちりと決めた浦和と決められなかったシドニーの差が勝敗を分けた。「ホームで初戦を勝つ!」という気持ちがプレーに込められていた。

ACL初戦、シドニーFCをホームで撃破

寒波の影響により冷え込みが増した2月24日。ミシャ監督体制になりACL出場は、3度目にして初めてのホーム開幕となったシドニーFC戦は、吐く息白い気温6℃の中19時30分キックオフで行われた。浦和は、前日練習で好調な動きを見せた青木拓矢選手と永田充選手がスタメンに名を連ねた。

シーズン開幕を告げる笛が、高らかに冬の夜空に響き渡り、シドニーFCのキックオフで試合が始まった。シドニーFCは、両ワイドが下がり5DFとなりワントップにスメルツ選手を置き、5-4-1とブロック作り守備的な布陣となった。

開始8分、先制点は意外な形で浦和に転がり込んできた。梅崎司選手のクロスに合わせて斜めに走り込んでいた武藤雄樹選手が、相手DFに当たったクロスの零れ球素早く拾い冷静にゴールへと流し込んだ。

武藤選手は「ウメさんがクロスを入れたけど、あのタイミングで入れてくれっと前から言っていた。そういう意味で蹴る瞬間に動き出せていたことで、詰められたと思う。相手に当たって良いところにこぼれてきたと言うこともあるけど、そういう狙いがあったからこそのゴールだと思う。最初の試合なので、しっかりと良いプレーをして、9番を着けて良かったと思わせるぐらいのプレーを見せられたらと話していたが、実際に結果を残せた。9番は、常に結果を求められる。決めてホッとした」と安堵の表情を浮かべながら嬉しそうに話していた。

13分、関根貴大選手のクロスを武藤選手がゴール前に飛び込みダイレクトでシュートを放つも決まらず、主導権を握りながらも追加点を奪えずにいた。優位にボールを保持する中で26分に阿部勇樹選手のパスミスをフール選手が見逃さずにつけ込みシュートを放つも、永田充選手が上手くカバーしてゴールを死守した。

阿部選手は「ミスもあって、危ないシーンもあった。その中で守れたのは良かった。練習試合を通じて0が無かった。0で終われて良かった」とホッとした表情を浮かべていた。

しかし、ここからの5分間ほどシドニーのFKやCKの脅威にさらされてしまった。ミ

シャ監督は「190㎝の選手が相手に何人もいる。それに対応するのは、簡単なことではない。相手の20mぐらいのFKであれば、出来るだけラインを下げないことが必要だ。セットプレーでギリギリの駆け引きで対応することは、精度を上げていきたい」と試合後の記者会見で言っていたが、永田選手中心にハイボールに対して身体を寄せて厳しく競り合いしっかりと対応することが出来た。

永田選手は「相手にセットプレーを与え過ぎた。ああいうところで相手に流れを持って行かれる可能性がある。今後は注意したい。ハイボールに関しては、僕も触れないけど相手にも自由にやらせない守備は出来た」と話した。

前半は、主導権を握るもののシドニーFCの統率されたラインの高い5DFに6回ものオフサイドとなり追加点が奪えず1-0で折り返した。

後半、最初に決定的なチャンスを作り出したのは浦和であった。49分、シドニーの高いDFのラインを逆手に取って槇野智章選手がズラタン選手へとロングパスを送るとズラタン選手が相手DFに競り勝ち、そのままペナルティーエリア内へと持ち込みシュートを放つが、枠をとらえることが出来なかった。

一方、同点に持ち込みたいシドニーFCは、53分ナウモフ選手の右CKがゴール前で混戦となり、最後はアンダーソンが至近距離からシュート!このシュートを西川選手が顔面でブロックしピンチを乗り切った。

西川選手は「動かないことを意識した。1-0の状況で失点していたらゲームはどうなっていたか分からない。GKのセーブで流れが変わる。ドッシと構えた気持ちが良かった。オフに手術したし、不安なところもあったが、アップの時にサポーターの声援を久しぶりに聞けて嬉しかった」と動じずに構えていたことが功を奏した。

そして、61分に梅崎選手に代わって興梠慎三選手を投入。森脇良太選手のアーリークロスのこぼれ球を拾った興梠選手がGKと1対1となり倒されてPKを獲得。65分に興梠選手が自らPKをゴールど真ん中の高い位置に思いっきり蹴り込み2-0とした。

興梠選手は「形の中でゴールを決められるのが理想だけど、1-0で厳しい試合の中で追加点が獲れて良かった。モリからスルーパスをもらおうとしたら、逆サイドの相手に当たりたまたま、こぼれたボールを拾ってGKと1対1になった。PKは、阿部ちゃんか僕が蹴ることになっていて、阿部ちゃんに蹴らしてくれって言った。構えた時に、GKが動いていて気合い満々だから、絶対に飛ぶと思ったから真ん中に蹴った。GKの残り足に当たらないように、真ん中に浮かした」とニヤリと笑った。

そして「ベンチから見ていたら、ボールを回す位置が後ろ過ぎて守備で嵌められている感じだった。後ろの組み立てを手伝えるかと思って退き気味にプレーした。もっと相手DFの裏を取りたかった。今日は守備しかして無かったなぁ・・・。ボールを持った時に周りが見えていたから、もう少しボールを触りたかった。初戦は、こんなもんかなぁ」と興梠選手は物足りなそうな感じであった。

2点リードした浦和に対して、シドニーFCは70分に2枚替えをして攻撃的な選手を入れ、4-4-2とシステムチェンジを図ってきた。浦和は、75分に青木選手に代えて遠藤航選手、87分に柏木陽介選手を投入しトリプルボランチとし、両ワイドを下げて5-3-2と中を固めてしっかりと対応し、最後まで集中した守備を見せた。

柏木選手は「トリプルボランチだったけど、前ぽっく(シャドー)行った。一番動けるからね。汗かかずに終わった。足は、痛くない。だいぶ良い。柏戦に照準を合わせた。駒井にアップを上げろと言っていたが、呼ばれたのが俺やった」と笑みがこぼれた。

浦和は、2-0でシドニーFCに完封勝利し、ミシャ体制で初めてACL初戦を白星スタートすることが出来た。

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