浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】明治安田生命Jリーグ1st第5節vsヴァンフォーレ甲府<興梠、柏木、遠藤、宇賀神、李、高木、森脇コメントあり>(2016/4/2)

今日のポイント!「強い気持ちと判断力と熟練された連携で、貴重な先制点を決めた興梠選手」

甲府の5-4-1の堅い守備を焦らずに揺さぶることで、甲府は激しい守備から退場者を出してしまった。しかし、一人少なくなってより守備の意識を高めて5-3-1となった甲府に対して本当に我慢強く闘っていたと思う。また、遠藤選手と阿部選手の距離感が非常に良く、甲府にカウンターをさせない守備が出来ていた。

また、65分にズラタン選手に合わせるクロスを警戒して引き分け狙いで、甲府はクリスティアーノ選手に代えて畑尾大翔選手を投入し6DFとして来た。一人少ないとは言え、25分も試合時間が残されている中で、甲府は引き分け狙いで来た。しかし、この捨て身の引き分け狙いの甲府に対して浦和の選手たちの闘争心に火が点いた。

興梠慎三選手は「クリスティアーノを下げて、DFが入って6枚になった時は、どうしようかと思った。でも、クリスティアーノを下げると言うことは、あのまま守り切ると言うことだし、逆に1点獲れれば向こうは何も無くなる。あんな面白くないサッカーする相手に負けたくない。ずっと勝ててない悔しさがあった。こんな退いたチームに引き分けは、やっている俺らも悔しい。ミシャのサッカーが通用しないのが悔しかった。ミシャのサッカーで崩したかった」と話した。ミシャ監督の下で培ってきた見事なコンビネーションで先制点を興梠選手が先制点を叩きだしたのだ。

武藤雄樹選手に代わって投入されたズラタン選手は、そのままシャドーのポジションに入った。ズラタン選手のワントップを警戒している佐久間監督の裏をかく意図があったと思われる。だが興梠選手は「監督はズラが入ったとき、俺がワントップだったが、やっぱりズラがワントップの方が良いとやりながら思ってポジションを代えた」とピッチの中で的確な判断の下でプレーしていた。

強い気持ちと判断力と熟練された連携で、貴重な先制点を決めた興梠選手のプレーが勝利を浦和に呼び込んだ。

我慢の闘いの中で、甲府に勝利

日中との気温差が激しい4月1日、夜桜も見頃となったが花冷えのする夜になってしまった。ACL広州戦の日程を考慮して金曜日開催となったJリーグ第5節、堅い守備を誇る甲府をホーム埼玉スタジアムに迎え19時30分キックオフとなった。ホーム埼玉スタジアムでの甲府戦は、甲府の堅い守備に手を拱き苦戦を強いられて3年連続ドロー試合となっている。ミシャ監督も選手たちも甲府の堅い守備の壁を打ち破るべき準備はして来た。

甲府のキックオフで開始した試合は、予想されていた通り5-4-1とブロックを形成して自陣に引き籠もり甲府が守備を固めて来た。

佐久間悟監督は「サイド攻撃を受ける状況になると思い、クリスティアーノのワントップ、サイドに河本入れてより現実的に試合に挑んだ」と話していた。

堅い守備からカウンターを狙う甲府に対して浦和は、焦らずにじっくりとサイドと中を有効に使い分けて揺さぶりを掛けていった。

柏木陽介選手は「難しかった」と開口一番に話した。そして「我慢するしかなかった。1点獲れれば勝てると思った。無理するところはボールを下げて、チャレンジするところは行った」と柏木選手は話した。

遠藤航選手は「相手はブロックを退いてきたが、立ち上がりから縦に入れたり、横に流したりした。縦パス入れた後のプレスのバックを狙っていった。阿部さんと自分でボールを持ちながら縦に入れたり、ミスを恐れずに行くのが大事だった。また、陽介君に簡単に預けた方がプレーがしやすく、ワンタッチで出すシーンがあった。ワンタッチで甲府のDFを動かし、また運ぶところは運べた。前半にミドルシュートを撃てば良かった」と反省しながらも相手のDFを揺さぶる攻撃の起点になっていた。

12分にはこぼれ球を拾った梅崎司選手がミドルシュートを放ち、左CKを獲得。このCKを蹴った柏木選手のボールをゴール中央で槙野智章選手がヘディングシュートを放つもクロスバーに直撃!その直後にも遠藤選手の縦パスを受けた李忠成選手がヒールで柏木選手へ流し、柏木選手のシュートはGKの正面。

17分には、柏木選手のクロスがファーサイドへと流れ、宇賀神選手、槙野選手、武藤選手、李選手と細かいパスでリズムを作り、最後はDFの裏を抜ける興梠選手の動きの中からヘディングシュートを放つも決まらず、24分には梅崎選手の仕掛けから速いクロスを送るも飛び込んだ武藤雄樹選手にはわずかに合わなかった。

28分には柏木選手が狙ったFKは右ポストをかすめていった。あの手、この手で甲府ゴールを脅かす浦和ではあったが、なかなかゴールを決めきれずにいた。

そして、31分に甲府のセンターバック山本選手が2枚目のイエローカードで退場となった。退場した山本選手の穴をボランチの新井選手が下がり埋めて、河本選手に代えて保坂選手を投入し5-3-1とした。一人少ない甲府は、さらに守備の意識を高めてチャンスを窺っていた。

ミシャ監督は「我々が高いボール支配率の中でゲームを進め、前半も何回か決定機を作れていたが、なかなか得点することが出来なかった。クリスティアーノが前線に残ってカウンターを狙っていたが、阿部と遠藤がしっかりとケアーとして守ってくれた。一人少なくなったことにより、より割り切って守ってくる状況だった」と振り返った。

遠藤選手は「退場者が出ても後ろは5枚で3ボランチで自分と阿部さんでボールを持てるシーンがあった」と話した。浦和は攻守の切り替えも良く甲府の狙いのカウンターをさせず粘り強く責め立てていった。前半に浦和が放ったシュート10本に対し、甲府が放ったシュートは0本。如何に浦和が甲府の分厚い守備の壁を切り崩そうとしたかが分かる。だが、ゴールは決まらずに0-0で前半を折り返した。

後半もゲームの図式は変わらず、浦和の攻撃の激しさを増していった。数的優位を生かして行きたい浦和であったが、5-3-1でゴール前を固める甲府の守備を打開することが出来ないでいた。

そして、打開策の一つとしてミシャ監督は、62分に武藤選手に代えてズラタン選手を投入。すると佐久間監督は、クリスティアーノ選手に代えて畑尾選手を投入。なんと甲府は、得点チャンスのカウンター攻撃から捨て身の引き分け狙いで6DFとして守備を強化してきたのだ。

佐久間監督は「ズラタンが出て来て、サイドの優位性を生かされて効果的なクロスを入れられるのが嫌だった」と話していた。

宇賀神選手が「甲府の6DFで、慎三君が、これはねぇ~ってジェスチャーしていた。早い時間に引き分け狙いで来て大変だった。でも、5年間積み上げて来たコンビネーションが上回った」と笑みを見せた。

68分、遠藤選手からの縦パスを興梠選手がスルーして李選手へと流すとDF裏を突き、李選手からパスを受けてゴールへと叩き込んだ!!流れるような連携プレーで甲府DFをこじ開けて待望の先制点を叩きだした。

興梠選手は「ゴールは、完璧だった。遠藤から縦に入った時に良い動き出しをしたら崩せると思った。遠藤が持った瞬間に後ろにチュン(李選手)がいるのが分かった。スルーした瞬間にチュンもDF背負っていたから、スペースに出るだけだった。ファーストタッチが上手く行った」と安堵の表情を浮かべた。

アシストした李選手は「先制点が入って良かったけど、時間が掛かった。前半のうちに決めたかった。慎三とは、コンビネーションが良いからね」と嬉しそうであったが「点に絡める自信はあったけど、決めきるチャンスで決められなくって、自分が0点で悔しい。決めないとだめだ」とゴールチャンスを生かせなかった自分自身のプレーを反省していた。

待望の先制点が生まれると、ミシャ監督は71分に梅崎選手と宇賀神選手に代えて関根貴大選手と高木俊幸選手を投入し、サイドからのドリブル突破からの切り崩しとクロスで攻撃の糸口を探っていった。

今シーズン、リーグ戦初出場となった高木選手は「サイドの1対1を攻略すれば、相手は崩れると思った」と80分にドリブルシュートを狙っていった。そして、81分には関根選手のクロスのこぼれ球を拾った森脇良太選手の豪快なミドルシュートが決まり2-0とした。

森脇選手は「胸トラップした瞬間にイメージがあった。蹴った瞬間に良いところに飛ぶと思った。撃たないと入らないし、浮かんだイメージと違うプレーをしていたら、奪われてカウンターを食らったかも知れない」と話していた。

試合はこのまま終了かと思われたが、一瞬の気の緩みからか、90+2分に橋爪選手のクロスに吉野選手がヘディングシュートを放ち浦和のゴールに襲いかかった。一端は、西川周作選手がクリアーするもこぼれ球を稲垣選手に詰められ2-1にされてしまった。

柏木選手は「最後の失点が気持ち悪い。何でもない2-0で終わりきることを一人一人が意識しないといけない」と怒り、森脇選手は「2-0で普通ならこういうゲームを終らせないと行けなかった。セカンドも拾えず、クロスにも寄せられず、中のマークにも付けられなかった。シュウちゃん(西川選手)が弾いたあとにどうにか出来たと思う」と悔やんでいた。

圧倒的にゲームを支配し2-1と4年ぶりにホーム埼玉スタジアムで甲府に勝利を収めたものの、最後のアディショナルタイムの失点で後味の悪いゲームになってしまった。しかし、貴重な勝ち点3を手に入れ、4勝1敗と開幕5試合で好調な滑り出しとなった。

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