浦和フットボール通信

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<ハイライト動画付き>【河合貴子の試合レビュー】明治安田生命Jリーグ1stステージ第9節vs名古屋グランパス<柏木、遠藤、武藤、興梠、伊藤コメントあり>(2016/4/29)

今日のポイント!

試合後の記者会見で、小倉隆史監督は「もう完敗と言うしかない内容で、非常に悔しい」と開口一番に話したように、浦和の完勝であった。小倉監督から「完敗」と言う浦和を称賛する一言が全てを物語っていた。

ACLグループリーグ突破を決め、首位攻防戦となる川崎との天王山を征して、集中力とモチベーションを維持することは非常に難しい。前半、良いゲームの入り方をしながらも、ボールの失い方が悪く本来の浦和のコンビネーションのリズムが生まれなかった。

柏木陽介選手のゴールで先制しながらも、個人能力の高いシモビッチ選手のゴールで同点に追いつかれてしまった。柏木選手は「前半、集中力が足りなかった。1失点したことが、良い方向に結びつけてくれた」と話していた。この失点により、浦和本来のサッカーが目覚めたのだ。

後半、名古屋に決定的なチャンスを作らせずに、名古屋DFを翻弄する浦和の強さを見せつけた。また、浦和はDFラインを高く保ち、名古屋の攻撃の起点となるシモビッチ選手をゴール前から遠ざけて、名古屋の良さを消した。

シモビッチ選手を上手く押さえた遠藤航選手は「シモビッチは、勢いをつけてジャンプするのではなく、身体を付けながら落下地点に入って逸らすので、最初から落下地点で優位に立てるポジションを取るか、ヘディングで逸らした胸コントロールを狙った。前線からのプレスも素晴らしく、リスクマネジメントが出来て、後半の45分は完璧だった」と嬉しそうに話した。

4-1の完勝であったが、内容を見れば7-1でもおかしくないぐらいの試合であった。前半の決定機を生かせず同点とされた後に、後半の立ち上がりから攻守のバランスも良く見事なコンビネーションを魅せた。過去の浦和だったら、集中力が途切れたままズルズルと行ってしまうパターンであったが、ハーフタイムできっちりと立て直して後半を闘った。

武藤選手は「後半、良くなった。走ること、球際に負けなかった」と話し、柏木選手は「負けたくない強い気持ちだ」と話した。負けたくない強いメンタルで後半の闘いを立て直し、走り、球際に厳しくゲームを支配して、浦和らしいサッカーで名古屋に完勝することが出来た。

名古屋に完勝!!首位キープ

雲一つ無い青空が、埼玉スタジアムの上空に広がっていた。強い北風に煽られながらも元気よく旗が棚引いていたが、スタジアムの中ではグルグルと風が舞っているようであった。

1stステージを6勝1敗1分け首位で折り返した浦和は、身長199㎝のシモビッチ選手を初め、高さとスピードを持ち味にしている11位の名古屋に挑んだ。

名古屋のキックオフで始まった試合は、風上に陣地を取った浦和が立ち上がりから攻撃的な姿勢を見せていった。遠藤航選手のロングボールに武藤雄樹選手が抜け出しゴールを狙ったりと、良いゲームの入りが出来ていた。

ミシャ監督は「サイドチェンジだったり、相手のDFラインの裏側を一発で狙うビルドアップだったり、強風の影響で精度が上手くいかない。上空を風が舞っていたり、地上と風の強さが違いやりにくかった部分もあるが、選手たちは立ち上がりから非常に良いゲームの入りをしてくれた。特に、遠藤から武藤に長いボールが一発で入って、2回のシーンを見てもらえば分かると思うが、その時点でリードをしてもおかしくないシーンであった」と話した。

ボールを保持して展開するも名古屋のボールサイドにスライドし、球際に厳しい守備に苦戦して自分たちのリズムが掴めないでいた。

武藤選手は「水はピッチに撒いてあったが、ボールが滑らずに芝に食われてパススピードが落ちて引っかかってしまった。もっと距離感を良くしようと話した」と話し、遠藤選手は「失い方が悪かった。ボールが入ったところをタフに来て奪われたシーンがあった。風は一回掴めばやりにくくなかった」と話した。

先制点は、早めのリスタートを仕掛けた柏木陽介選手の判断から始まった。「クイックスタートは意識してプレーしていた」と柏木選手はニヤリと笑った。

梅崎司選手からのマイナスのクロスに上手く利き足とは違う右で合わせた柏木選手のシュートがGKの頭上を越えるようにゴールへと吸い込まれていった。そして「風のお陰で決まった。風に感謝したい」と言いつつも「武田君(GK武田洋平選手)が決めてくれた。たぶん風で難しかったと思う。(風が)上で舞っていたから、トラップした瞬間に右足でニアーに撃とうと思った。撃つことを意識してバイタルエリアに入っていった」と柏木選手はゴールシーンを振り返った。

追加点を狙う浦和は、34分には、前線のコンビネーションから梅崎選手がシュートを放つもクロスバー直撃!

36分、李選手からの鋭いDFの間を通したパスに興梠選手が抜け出し、GKと1対1のビックチャンスを得るも、ペナルティーエリア内でGK交わし、DFを手玉に取りながらも最後はボールを持ちすぎてチャンスを生かせなかった。

興梠選手は「遊び過ぎたぁ~。最初、シュートを撃てるところでGKを抜いて撃とうと思った。そしたら、DF2枚が来て・・・足下にボールが入り過ぎてしまって撃てなくなった。ホームの広州戦でも似たようなシーンがあって外したから、ループを撃とうと思ったり、考え過ぎた。少なからず今日は、3点は自分は獲れた。得点王を獲る選手は、必ず決めている」ともの凄く反省していた。

浦和がビックチャンスを生かせず追加点が取れない中で、名古屋はワンチャンスを見逃さなかった。39分、古林将太選手がヘディングで右に流れたシモビッチ選手へ、そしてシモビッチ選手が胸トラップから豪快に右足を振り抜き、強烈なシュートをゴールへと叩き込んだ。

遠藤選手は「撃ってくるとは思っていたが、自分のポジションでは寄せきれなかった。あの位置から枠に持ってくる力がある選手だった」とシモビッチ選手のゴールを褒めた。

前半、浦和のゴールキックはたったの2本に対して名古屋は6本、コーナーキックは浦和は6本に対して名古屋は0本と如何に浦和が支配していたかが分かる。だが、シュートは浦和4本に対し名古屋は2本であった。圧倒的にゲームを支配しながらも、ボールの失い方が悪く、少ないチャンスを生かし切れず前半は1-1で折り返すこととなった。

ミシャ監督は「攻守の切り替えをもっと早くする。後半、もっと勝利への気持ちを出して行こう。アグレッシブにプレッシャーを掛けていこう」と檄を飛ばして選手たちをピッチへと送り出した。一方、小倉隆史監督は「ディフェンスの時の集中力を最後まで切らさないこと。相手の裏に抜ける動きを意識すること」を指示を出した。

後半も立ち上がりから主導権を握ったのは浦和であった。梅崎選手から大きく逆サイドの関根選手へと展開し、関根選手のクロスにニアで興梠選手が潰れ、ファーで武藤選手がゴールを狙っていった。

また、相手の初めてのCKの零れから浦和がカウンターを狙うシーンもあったが、槙野智章選手が倒されファールの笛で止められてしまった。

流れが良い浦和は、56分、関根選手が森脇良太選手とワンツーで抜け出してゴール前へと送った鋭いクロスを李選手がダイレクトで綺麗に合わせてゴールへと叩き込み2-1。

62分、武藤選手がペナルティーアーク付近でボールを奪われるも、すぐに柏木選手が奪い返してエリア内の興梠選手へ、興梠選手がシュートのタイミングを見計らって放ったシュートが決まり3-1。

柏木選手は「前半は、集中力が足りなかった。後半は集中して行こう。負けたくない気持ちが強かった。名古屋の守備は、前にも来ないし、後ろにも下がらずにバランスが悪かった。2点、3点目が獲れて理想的な展開だった。前からのプレスは、浦和のストロングポイントだ。高い位置でボールを奪って得点に繋がった」と嬉しそうに話し、武藤選手は「僕のパスミスを柏木さんがすぐに取ってくれて、切り替えが早かった」と安堵の表情を浮かべた。

3点目を叩きだした興梠選手は「(前半のチャンスで決めきれず)あれで、火が点いた。絶対に決めてやろうと思った。後半は、凄く良かったし、チャンスもあった。ワンタッチで前に行って、DFが2枚ぐらい居たが、交わして振り抜いた」と話した。

3点目が決まっても攻撃の手を緩めること無く、その3分後の65分には途中出場の駒井善成選手から興梠選手へ、興梠選手はターンしてキックフェイントを入れながら、フリーの武藤選手へ、武藤選手は冷静にゴール左隅へと流し4-1と名古屋を突き放した。

試合が決定的となった4点目が入ると、ミシャ監督は73分に柏木選手に代えて伊藤涼太郎選手を投入。Jリーグデビューを飾ることとなった伊藤選手は「デビュー戦、緊張したけど楽しく出来た。点差が開いた時に、自分が呼ばれるのではないかとワクワクした」と笑顔を見せたが、「自分のプレーをやろうと思ったが、上手くいかなかった。次は、結果を残したい。今日の試合に出たことを無駄にしたくない」と力強く話した。

点差が開きながらも、浦和はさらにゴールを狙って行った。77分、2点目の李選手のゴールシーンと同じ形で、関根選手のクロスに李選手が合わせるが枠を捉えることが出来なかった。後半は、攻守に渡り浦和が名古屋を圧倒していった。最後まで、攻撃的な姿勢を貫いた浦和が、4-1と大差で名古屋を下して首位の座に君臨した。

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