浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「苦しみの中で~レッズレディース」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

20160430-03-(C)Rimako Takeuchi

自信を持って、前へと走れ、球際に厳しく闘え、最後の笛が鳴るまで決して諦めるな!

前へと闘う姿勢を全面に出して、浦和レッズレディースは果敢に挑んでいった。力の差がある対戦となれば、自陣に引き籠もりゴール前を固めてカウンターで一発を狙う戦術もある。

だが、浦和の女たちは勇気を持って前線からプレスを掛けて走り続けた。それが、自分たちがサッカーのスタイルであり、やるべきことであった。

しかし、相手にリードを許してしまうと若さ故にガックと肩を落としてしまう脆さがあった。

なでしこリーグ開幕戦は、昨シーズン優勝の栄光を手にした日テレベレーザを相手に立ち上がりから前プレスを掛け続け開始早々に先制点を叩きだした。後半は、フィジカル的なことを考えてブロックを退く守備に切り替えて闘ったが、追加点を奪えずに追いつかれてしまった。試合終了間際には、決定的なチャンスを作り出すも決めきれずに引き分けで終わった。

女王・日テレに勝つことは出来なかったが、充分に苦しめることは出来た。そして、何よりも手応えを感じることが出来た試合となったはずだった。

ところが、第2節のホーム開幕戦となった新潟レディースでは、前プレスを浦和が掛けると新潟が蹴り出して浦和の得意とする守備が嵌まらなかった。ボールを繋いで来る相手には、コンタクトをしやすいが、前プレスに行った瞬間にDFラインから蹴られてしまうと中盤にスペースを与えてしまいセカンドボールも拾えない状態に陥ってしまった。

流れを変えることが出来ないまま、FKのセットプレーから失点。新潟の守備ブロックを崩せずに追加点を奪われてホーム開幕戦を白星で飾ることが出来なかったのだ。新潟戦から悪い流れを変えることが出来ずに5連敗してしまった。

経験豊富なベテラン選手や中心となる選手がチームを離れた2013年、浦和は、残留争いに巻き込まれてしまい、立て直しを図るために監督交代が余儀なくされた。シーズン途中からチームを率いた吉田靖監督は「若いチームだが、ポテンシャルが高い選手が揃っている。勝つことで自信を取り戻したい」と1戦1戦を慎重に手堅く闘い残留へと導いていった。

そして、2014年には“浦和陸上部”と言われるほど、闘い走れる身体作りをして開幕戦を向かえた。

開幕戦は、当時女王に君臨していたINAC神戸であった。試合が動いたのは後半であった。53分に加藤千佳選手のゴールで先制すると、67分には高瀬愛実選手のゴールで同点にされるも、73分に猶本光選手が決めて再びリードし、試合はこのまま浦和が勝利と思われた88分に仲田歩夢選手のゴールで振り出しに戻されてしまった。だが、アディショナルタイムに勝ちたい執念の猶本選手の豪快なミドルシュートが決まり、3-2で浦和が開幕戦の死闘を制し白星スタートを切った。

女王・神戸は、4年ぶりの開幕黒星スタートであった。この試合で自信を付けた浦和は、波に乗り勢いづいた。なでしこリーグ初のレギュラーシリーズとエキサイティングシリーズとなる中で、レギュラーシーリーズを3位から這い上がりエキサイティングシーリズを征して優勝に輝いた。

この時、吉田監督は「強いか?と聞かれたら、決して強くはない。若いチームだから、崩れやすい。もっと彼女たちは出来るし、まだまだこれからだ」と厳しい口調で話していた。

若いチームだからこそ、勢いよく波に乗れば、活き活きとした若葉ように輝く。だが、流れが悪くなるとズルズルと行ってしまう。4月30日に行われた神戸戦は、日テレ戦と同じようにボールを繋ぐ神戸に対して前プレスの姿勢を貫き先制点を奪った。

だが、神戸に追いつかれてリードを許すともろくも崩れてしまった。今シーズン、開幕戦日テレに引き分けた勝ち点1のまま5連敗となりと未勝利のままである。

ロッカールームへと引き上げて行く選手たちの悲しげな姿に、胸が締め付けられてしまった。「苦しい」「勝ちたい」彼女たちの思いが手に取るように分かる。

まずは、1勝だ!1勝すれば、勝てない重圧から少しは楽になれる。勝ちたい気持ちも痛いほど分かる。だが、勝ちたい気持ちが、勝たないといけないと変わると、若さ故の空回りする恐れもある。空回りをすれば、バランスを崩してしまう。

大切なことは、自信を失わないことである。自信の無いプレーからは、何も生まれない。自信があれば、相手にリードされても慌てずに、焦らずに、チームを落ち着かせることが出来る。自信があれば、空回りしてバランスを崩すこともなく闘える。

若い浦和には、残念なことに百戦錬磨を闘い抜いたベテラン選手がいない。流れが悪い時に、チームを落ち着かせて流れを変えることが出来る選手の存在がいないならば、チーム全員でゲーム流れを感じ取って修正すれば良い。

残留争いしていた2013年の思い出して欲しい。あの時、どうやって残留したか・・・。そして、翌年の2014年の勢いを思い出して欲しい。選手の入れ代わりは多少あったが、大きな違いはさほど無い。残留の苦しみから優勝へと変わっていった原点は何だったのか・・・。

それは、チーム一丸となって基本に立ち返り走り続けたことだ。前線からプレスを掛けて良い守備からボールを奪い、攻守の切り替え早く走りゴール前へと襲い掛かった。味方が必ず点を獲ってくれると信じ、DF陣が身体を張ってゴールを守ってくれると信じて、自信をもって闘っていた。

今は、苦しみの中で、もがいている状態だ。だが、この苦しみを脱却することが出来たら、浦和の女たちは本当の強さを手に入れることが出来るだろう。だから、自信を持って、前へと走れ、球際に厳しく闘え、最後の笛が鳴るまで決して諦めるな!そして、みんなで勝利と共に輝く笑顔を届けよう!!

Q. 疲労を溜めないためのストレッチを教えてください。

A. ストレッチには、静的と動的があります。例えば、運動前に行うストレッチは筋肉を起こしてあげて怪我の予防になります。しかし、運動前に静的なストレッチを行うと筋肉がダランとしてパフォーマンスが上がらなくなります。運動直前のストレッチは動的ストレッチ、運動直後のストレッチは筋肉をほぐして緩める静的なストレッチで疲労を溜めないようにしましょう。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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