浦和フットボール通信

MENU

【河合貴子の試合レビュー】2016プレナスなでしこリーグ1部 第7節vs伊賀フットボールクラブくノ一<高畑、長船、吉田監督コメントあり>(2016/5/7)

今日のポイント

待ちに待った嬉しい初勝利!!

パスも繋がらず、苦しい展開の中で後半セットプレーの崩れから良く北川ひかる選手のクロスを高畑志帆選手が決めた。勝ちたい気持ちの執念のゴールであった。

その虎の子の1点を身体を張って良く守り切ったと思う。浦和が放ったシュートは、前半は2本、後半は1本と内容を見ても決して良いとは言えない内容であった。だが、今の浦和に取って勝利こそが一番大事であった。

吉田監督は「いやぁ~勝って嬉しいが、今の状況で喜んで良いとは言えない。内容よりも勝つことを意識した。内容自体は、良くない。ボールも動かせず、精神的にも難しかった。今日は、勝つことだ。そのためにセットプレーの練習をしてきた。相手も高い選手を入れて来たが、勝ちきることだけを考えて後ろに人数をかけて安定させた。理想するサッカーからは遠く、動かして崩せなかった。一回、勝っただけじゃダメだ」厳しい口調で話していた。確かに吉田監督の言う通りである。

高畑選手は「GK含めて、声を掛け合い最後まで粘り強くやれたことが無失点に繋がった」とこぼれ落ちそうな涙を我慢しながら笑顔を見せた。長船加奈選手は「今までで一番嬉しかった。思わず涙がこぼれた。今日みたいに粘り強い闘いが出来れば勢いに乗って勝てる」と話した。最後の笛がなるまで守り切って、勝てないプレッシャーが大きかった選手たちは、そのプレッシャーから解き放たれて嬉し涙がこぼれた。

だから、今日だけはこの勝利をみんなで喜びあいたい。勝つことが、浦和レッズレディースにとって何よりも良い薬となっただろう。内容よりも勝ちに拘った勝利であった。この1勝を次節ジェフ市原・千葉戦に繋げて価値ある1勝にしたい。浦和レッズレディースは、ここから這い上がって行く!!

次節ジェフ市原・千葉戦はホーム浦和駒場スタジアムで5月15日17時キックだ!浦和の女たちの反撃が始まる。

1勝の喜びを噛み締めて!!

ゴールデンウィーク終盤の5月7日、風香る青空が浦和駒場スタジアムの上空に広がった。試合終了の笛が高らかに浦和レッズレディースの初勝利を告げると、選手たちは安堵と共にピッチに泣き崩れた。苦しく、歯がゆく、長いトンネルの暗闇に迷い込んだ中で、やっと手にした1勝であった。

チームの中心選手である猶本光選手は、前節の仙台戦で左足首を負傷、スピードを生かした得点力ある清家貴子選手も昨シーズン痛めた右膝を悪化させて戦線離脱していた。開幕戦の日テレ戦を引き分けてから7連敗。「今日こそは~!!」と心に誓い、ホーム浦和駒場スタジアムに伊賀フットボールクラブくノ一を迎えた。

試合は、伊賀のキックオフで始まった。5分、楔のパスを受けた白木星選手が加藤千佳選手へ、加藤選手はオーバラップしてきた北川ひかる選手へ、北川選手のクロスを吉良知夏選手と柴田華絵選手がゴール前へ飛び込むが僅かに合わなかったが、立ち上がりから浦和がゴールに向かう積極的な姿勢を見せていった。

伊賀は、テクニックがあり対人にも強いローレン・ボハボーイ選手を前線に置いて、運動量のある杉田亜未選手が衛星のように動き、DFラインを高めに設定しボールサイドに早いスライドをする守備から攻撃を組み立て来た。

長船加奈選手は「今日は、相手の狙いがわかりやすく、当ててくるところをチャレンジ&カバーで上手く守れた」と笑顔を見せた。

一進一退の攻防の中で、17分北川選手のドリブル突破からのクロスを白木選手がヘディングシュートを放つもゴール左へと逸れてしまった。

浦和はDF裏を狙うが、少し攻め急いでしまい攻撃の組み立てが噛み合わずポゼッションが上手くいかない展開になってしまった。

29分には、小川志保選手がゴールライン際に抜け出してGK平尾知佳選手と1対1のシーンを作り出されたが、平尾選手が冷静に対処してゴールを死守した。

前半に浦和が放ったシュートはたったの2本、伊賀が放ったシュートは7本と苦しい時間を守りきり前半を0-0で折り返し、試合の行方は後半勝負へと流れていった。

後半も伊賀に主導権を握られながらも、ボールを奪い攻撃の糸口を見つけて前へと行く姿勢を見せる浦和であったが、ラストパスやクロスの精度とタイミングが悪くシュートまで持ち込めない展開になってしまった。

先にベンチが動いたのは伊賀であった。61分に運動量が落ちてきた下條彩選手に代えてサラ・ジャクソン選手を投入して攻撃の活性化を図って来た。浦和も噛み合わない攻撃にテンポを付けるために、64分加藤選手に代えて塩越柚歩選手を投入した。

70分、北川選手の左CKの零れ球をニアで拾った長船選手が拾って、北川選手へと戻すとこれがまるでショートCKのような形となり、北川選手のクロスに高畑志帆選手のヘディングシュートが炸裂!!右ポストに当たりながら、ゴールへと吸い込まれ浦和に待望の先制点が生まれた。

ゴールを決めた高畑選手は一目散にベンチへと駆け寄り喜びを押さえ切れなかった。高畑選手は「北川から良いボールが上がって来て、触るだけだった。何よりもホームで決められて嬉しかった。試合は、終っていなかったが気持ちが高ぶりました」と話した。

何としてでも勝ちたい浦和は、75分に乗松瑠華選手に代えて臼井理恵選手を投入し5バックを作りゴール前を固めた。77分には、杉田選手が直接FKを狙うも平尾選手がガッチリと押さえた。浦和は5バックになり、マイボールになるとボールサイドが1枚上がり4DFとなり攻撃を試みるも伊賀の激しい守備でシュートまで持ち込めずにいたが、守備面では崩れずに伊賀の攻撃を押さえ切った。

浦和が後半に放ったシュートは、ゴールが決まった高畑選手の1本のみと厳しい試合であったが、値千金のゴールで1-0と伊賀を下して初勝利を手に入れた。

ページ先頭へ