浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】2016プレナスなでしこリーグ1部 第9節vsジェフユナイテッド市原・千葉レディース<柴田、乗松、塩越、北川、猶本、吉田監督コメントあり>

今日のポイント!

浦和は、セーフティーにタッチラインにクリアーし守備をセットし直して千葉の攻撃を封じたり、インターセプトしても大きく前に蹴り出してDFラインを押し上げる時間を作ったり、繋げることが出来ると判断したらしっかりと繋いでいく、この3つを上手く使い分けることが出来ていた。

吉田靖監督は「余裕がないので、はっきりしたサッカーをした。余裕がある時は、ボールを動かすことを指示した。球際の厳しさも良くなった。基本は負けないことだった。後半の半ば過ぎて1-0なら守るイメージだった」と負けないことを意識して明確なスタイルであった。

選手たちの能力を考えると、前プレスから嵌めてボールを奪ってテンポの良い崩しで点を獲ることが出来るはずである。だが、今のチーム状況を考えると1戦、1戦勝ち点を積み上げて行くことが重要である。負けないサッカーでしっかりと勝利を収めることが出来た。

前節の伊賀戦もセットプレーからの1点を守り切った。だが、1勝したことで選手たちに自信が戻って来た。試合内容も伊賀戦よりも良くなって来ている。

吉田監督は「得点は、セットプレーだけだ。セットプレーの練習はやって来た。流れの中で点が獲れるようにしていきたい」と話した。

負けないサッカーで、流れの中で得点が生まれればもっと自信が付くはずである。少しづつであるが、浦和レッズレディースらしさが戻って来たことを感じられる試合であった。

次節は、アウェー新潟戦である。そこで、勝ち点を積み上げ5月28日ホーム浦和駒場スタジアムで長野を良い形で迎え撃ちたい。

内容よりも結果に拘り、ホームで2連勝

穏やかな日曜日の午後、日差しが西に傾き始めると浦和レッズレディースの選手たちは、ホーム2連勝を目指してピッチへと走り出した。

前節伊賀フットボールクラブくノ一に1-0で今シーズン初勝利を上げた浦和は、2勝3分け3敗と開幕ダッシュが出来ずに苦労してきたジェフユナイテッド市原・千葉をホーム浦和駒場スタジアムに迎えた。

仙台戦で左足首を負傷した猶本光選手は、木曜日にチーム合流したばかりで左足首に不安を抱えながらもスタメン入りしたものの、試合前日練習で高畑志帆選手が頭部を打撲してしまい大事を取って欠場することとなってしまった。

吉田靖監督は「頭を打って、CTを撮った。頭部の打撲だが、頭は生命に関わるので無理はさせられない。高畑は、自宅で静養している。僕が監督になって、高畑を代えたことが無かった。声を出せて統率出来る選手だ」と話した。そして、ゲームキャプテンを柴田華絵選手に初めて任せた。

浦和のキックオフで始まった試合は、序盤から浦和はリスクを追わずタッチに蹴り出したり、クリアーを思いっきり前線に蹴り出してDFラインの押し上げを図って行った。ゲームの入りを落ち着かせた浦和は、徐々に中盤を支配していった。

柴田選手は「相手が、大きく蹴って来るから、DFの裏を取られない。零れ球をチーム全体で遣ろうとゲームに入った」と話した。しかし、球際厳しくセカンドを拾ってもクロスやラストパスのタイミングが合わずシュートまで持ち込めない展開になってしまった。

久しぶりにセンターバックを任された乗松瑠華選手は「プレーのところでは、代表でもやっていたから問題は無かった。センターバックは昨年。フネさん(長船加奈選手)と組むのは初めてだった。自陣のゴール近くでプレーするので、緊張感があった。相手の楔に対してインターセプト出来たら前向きに良いボールの配球を意識した。ジェフは、FWが起点になり、もう一人はスピードがある。ゴール近くにポジションを取ることをいつも以上に意識した」と話した。

17分には、菅澤優衣香選手のポストプレーから三橋明日香選手がシュートを放って来たが、平尾知佳選手がしっかりと抑えていった。

千葉も前線の菅澤選手が孤立するシーンもありお互いにシュートまで持ち込めない展開の中で、24分に筏井りさ選手の右CKをニアーで吉良知夏選手がヘッドでファーサイドに逸らして、柴田選手がシュートを放つも枠を捉えることが出来なかった。

流れが掴めない中で、34分には柴田選手が相手DFと接触して脇腹を痛めてタンカーで運ばれるシーンがあった。

吉田監督は「献身的にやっている柴田を代えようと思ったが、『やります』と言った。柴田は強い」と柴田選手の強さが心強かったようだ。

柴田選手は「打撲かなって感じだった。出来るところまでやろうと思ってピッチに入りました」と笑みがこぼれた。そして「笑わせないで下さいよ~」と脇腹を押さえた。「プレーしている時は、気にせずに思いっきりやれた。本当に良かった」と言いながらもかなり打撲した脇腹が痛む様子であった。

前半終了間際の44分、西川彩華選手のスルーパスを受けた深澤里沙選手がスピードに乗ってシュートを放って来た。浦和も45+1分にDFラインの裏を突く吉良選手が起点となり、北川選手からクロスが入るもゴール前に飛び込んだ白木星選手と柴田選手に僅かに合わなかった。前半、浦和が放ったシュートは2本、千葉が放ったシュートも2本とお互いに決定機を作れずに0-0で折り返した。

照明灯に明かりが点り、お互い先制点を目指した後半が始まると、立ち上がりから積極的な姿勢を見せて行ったのは浦和であった。

50分には、塩越柚歩選手のアーリークロスに吉良選手が合わせるも決まらず、54分には、前プレスから北川選手がインターセプトからシュートを狙うも決まらず、58分にも白木選手のスルーパスから塩越選手が狙うも山根恵里奈選手のセーブで決めきることが出来なかった。

塩越選手は「攻撃はどんどん意識して、瑠華さん(乗松選手)に行って良いですか?と声を掛けた。瑠華さんが、今は行かないでとか行って良いとか細かく指示してくれた。行けるときは、どんどん縦に走って行った。クロスも多く入れられたが狙いがズレて合わなかった。シュートも撃てた。サイドバックでも攻撃出来るから楽しい」と嬉しそうに話した。

主導権を浦和に握られた千葉は、61分に三橋選手に代えて小澤寛選手を投入し攻撃に変化を付けて来た。65分に山根選手の狙い澄ましたパントキックが前線の菅澤選手へ、菅澤選手がDFと競り合いながらも放って来た。浦和が、一番警戒していた千葉の攻撃であったが決めさせず、その1分後にも菅澤選手の鋭いシュートも平尾選手がファインセーブを見せてゴールを死守した。

そして69分、北川選手のCKをファーサイドで思いっ切り右足を伸ばして振り抜いた柴田選手のダイレクトボレーがゴールネットに突き刺さった。

柴田選手は「たまたまかなぁ~。外にいたから、ボールが流れて来て当てるだけでした。GKの動きも見えていなかったし、2、3人DFがいたが、強いシュートが撃てた。入るかなぁと思った。勝ちたい気持ちです」とゴールシーンを振り返った。

CKを蹴った北川選手は「アップの時に、1本良いボールが蹴れたから、りささん(筏井選手)にお願いして蹴らせてもらった。実は、狙いはフネさん(長船選手)だった。ハナさん(柴田選手)はブロックだったけど、その裏を突いてフリーになっていた」と少し照れながら話していた。

待望の先制点が生まれた浦和は、73分には加藤選手に代えて臼井理恵選手を投入し5DFとし、前線に白木選手を残して、5-4-1とツーブロックを形成して守備を固めていった。

そして78分、足に不安がある猶本選手に代えて栗島朱里選手を投入。

猶本選手は「100%のコンディションではないが、やれるところまでやって欲しいと監督に言われた。今、出来ることを全力でやった。攻撃より守備の舵取りで声を掛けた。良い奪い方が出来れば、攻撃に繋げようと思った。5DFになって、守りのオーガナイズの声掛けが重要だった」と足に不安が有ったが、中盤で守備の意識を高く持ってプレーをしていた。

試合終了間際には、白木選手に代えて後藤三知選手を投入しキッチリと時間を使い手堅い采配で虎の子の1点を守り切り、千葉を下して2連勝とした。

ホームで連勝を飾ったものの未だ最下位を脱出出来ず、浦和にとって気の抜けない闘いがまだまだ続くこととなった。

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