浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「新たなスタートライン」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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監督に選手を信頼して欲しいと思うし、また選手も監督の信頼を勝ち取って欲しいと願う

ベストアメニティースタジアムに試合終了を告げる笛が鳴り響いた瞬間、FCソウル戦から張り詰めて来た糸が切れて、心身共にドッと疲れが押し寄せて来た。

J2降格圏内の鳥栖に0-0。負けなかったが、勝てなかった。

鳥栖は、上位の浦和相手に5-3-2と守備ブロックを作り、負けないサッカーをしてきた。

勝ち点1でも御の字だった鳥栖は、あわよくばカウンター、もしくはセットプレーからゴールを狙い守り切るプランであった。浦和は、攻めて、攻めて、攻めまくっても堅い鳥栖の守備を最後まで崩せなかった。

120分の死闘を繰り広げPK戦までもつれ込んだFCソウルに敗戦を喫し、ACLラウンド16敗退した。選手たちの精神的なダメージと肉体的な疲労は、想像を越えるものが確実にあった。

身体能力が高い興梠慎三選手が、右足の内転筋を攣る姿を初めて目の当たりにした。試合後、ロッカールームを引き上げて取材エリアのミックスゾーンを通る選手たちは、興梠選手だけでなくどの選手もボロボロで疲労困憊の状況であった。

そして、90分で得点を決められなかったこと、ミス絡みで失点したこと、延長のアディショナルタイムの失点、PKを決められなかったこと、PKを止めることが出来なかったこと、詰めが甘かったこと、各自が自分の役割を果たせなかったことに責任をもの凄く背負って、ソウルワールドカップスタジアムを後にしたのだ。

それでも選手たちは、ソウルから帰国して中3日で迎える鳥栖戦に疲れた身体をケアしながら気持ちを奮起していった。だが、疲れ切った身体は思うように動かない。精密なロボットだって、エネルギーが切れれば動かなくなる。勝ちたい気持ちがあっても、あと1歩が出ない。心身共に疲れ切っている選手たちの判断ミスやキックミス、わずか数㎝合わないパスのズレを見るといたたまれなくなってしまった。

鳥栖戦の前日に、梅崎司選手は「僕は、120分試合に出ていない。チームを助けないといけない」とチームメイトの疲労を知っているからこその言葉であった。ピッチで闘う選手たちの表情が、TVの画面にアップで映し出されると辛くなり、ミシャ監督を恨めしく思ってしまった。もっとベンチに入っている選手や帯同出来なかった選手たちを信頼しても良いのではないか・・・。

ミシャ監督は「単なるターンオーバーのターンオーバーは意味がない」と言い続けて来た。そして「常に試合に勝つためのベストメンバーで挑む」とミシャ監督は断言してきた。そこには、監督の信頼が得られず熾烈なポジション争いから残念なことに外れてしまった選手たちがいる。

だが、練習を見ているとベテランらしく冷静に流れを読む平川忠亮選手だって、人に強く左足から精度の高いクロスを上げる橋本和選手だって、1対1に強い典型的なDF加賀健一選手だって、空中戦に強くフィジカルコンタクトにたけている那須大亮選手だって、独特なリズムでゴールを狙う石原直樹選手だって、あげればきりがないがどの選手も主力組に劣らない個性を発揮している。

誰だって試合に出場したい。そのために、プロ選手としての意地と誇りで必死になって取り組んでいる。こういう時だからこそ、信頼して欲しいと心底思う。

もし問題があるとしたら、それは試合勘だと思う。試合から遠ざかっている選手は、どんなに優れた選手でも試合勘が鈍ってしまう。ピッチに送り込む恐さがあることは否めない。疲労困憊しながらも、何とか鳥栖の堅い守備を打開しようと最後まで諦めずに闘った選手たちを誇りに思う。負けなかった。貴重な勝ち点1をアウェイで獲得した。でも、本当に欲しかったのは勝ち点3である。このような状況に陥ったのは、全て監督の責任である。

リーグ戦は5年ぶりに開催されるキリンカップのために一時中断され、代表に選出された西川周作選手、槙野智章選手、遠藤航選手、柏木陽介選手がチームを離れる。そして、6月11日鹿島戦から再開される。14節を終了して、川崎が勝ち点31で首位に浮上し、勝ち点30で鹿島2位。ACLの関係で2試合少ない浦和は、勝ち点27で3位だ。充分に1stステージ優勝を狙える射程圏内に入っている。

しかし、浦和にとって大きな壁は、鹿島戦から始まる残り5試合の過密日程である。大一番となる鹿島戦のあとに、アウェイのG大阪と広島が続く。そして、ホームに帰りFC東京、神戸と対戦する。アウェイの2試合は、浦和に戻らずに関西方面に止まり移動の疲労を軽減させる。

だが、全て中3日で行われるこの過密日程をどう乗り切って、浦和を1stステージ制覇に導くのか監督の手腕に掛かっている。この過密日程の5試合で、怪我人が出たり、出場停止の恐れもある。だからこそ、念入りな準備が必要であり、選手をもっと信頼して起用して欲しいと思ってしまう。

浦和が目指すところはどこなのか?!もう一度、原点に返り見つめ直す。監督に選手を信頼して欲しいと思うし、また選手も監督の信頼を勝ち取って欲しいと願う。

ACLラウンド16で敗退した時、また来年この舞台で闘いたいと悔しさを噛み締めながら誰も思った。だが、来年のACLに出場出来る保証など何処にもない。チーム一丸となって、自分たちで勝ち取るものだ。

まずは、これから始まる過酷な5連戦を浦和は、乗り越えて行かなければならない。乗り越えることが出来なければ、この先はない。今、浦和は新たなスタートラインに立たされている。栄光を掴み取るために・・・。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

川久保整形外科

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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