浦和フットボール通信

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ハイライト動画付き【河合貴子の試合レビュー】明治安田生命Jリーグ2ndステージ第5節vs鹿島アントラーズ<ズラタン、那須、西川、柏木、李、青木コメントあり>

年間首位を狙うために、鹿島の壁を打ち破る

鹿島スタジアムを吹き抜ける風が、夏とは思えないほど肌寒く感じる7月23日。1stステージを制覇した鹿島であるが、2ndステージは2勝1分1敗と4試合で8失点と今一つ精彩を欠いている。

浦和は、前節大宮に引き分けたものの苦しい中でもしっかりと勝ち点を重ねて、2ndステージ3勝1分けとまずまずの滑り出しを見せた。浦和にとって、1stステージホーム埼玉スタジアムでの屈辱を返す時がやって来た。

リオデジャネイロオリンピックサッカー日本代表で不在の遠藤航選手に代わり那須大亮選手、興梠慎三選手に代わりズラタン選手、累積のため出場停止の宇賀神友弥選手に代わり左ワイドに関根貴大選手を起用した。また、練習で好調をアピールしていた梅崎司選手を右ワイドに。シャドーの一角に今シーズン・リーグ戦初スタメンとなる高木俊幸選手に任せて挑んだ。

一方、鹿島はリオデジャネイロオリンピックサッカー日本代表で不在の植田直通選手に代わりファン・ソッコ選手を起用してきた。

鹿島のキックオフで始まった試合は、鹿島が立ち上がりからハイプレスを掛けてサイドで数的優位に立ち主導権を握っていった。前から嵌め込む守備で攻守の切り替えも早く、3分には柴崎岳選手が強烈なミドルシュート。

15分には土居聖真選手がエリア内で華麗なターンからシュートと浦和ゴールへと襲い掛かって来た。押し込まれた浦和は、攻撃のリズムを作れない展開となってしまった。

ミシャ監督は「前半は、立ち上がりから鹿島が非常にアグレッシブに闘ってくる中で、ボールを持っても早い段階で失ってしまい相手が主導権を握ってゲームを進める展開だった」と振り返った。

ワントップに入ったズラタン選手は「特に前半、難しさを感じた。チャンスも作れなかった。前半、コンビネーションや前でボールを収めたり、繋げることが出来なかった」と悔しそうに話した。

始終、鹿島ペースで進む前半を守備陣が、集中力高く身体を張って死守していた。那須大亮選手は「前半、大分チャンスはなく、最後のところで弾きかえした。ボールを失ってからショートカウンターを食らうこともあったが、最後のところで身体を張れていた」とニヤリと笑った。

苦しい展開の中、27分にようやくこぼれ球を拾った槙野智章選手からエリア内のズラタン選手へとパスが通り、反転してズラタン選手がシュートを放っていった。

更に35分には、高木俊幸選手が思いきりの良いミドルシュート!38分、武藤選手がドリブルで仕掛けて左の関根選手へ、関根選手のマイナスのクロスを阿部勇樹選手がシュート!と少しずつ浦和らしい攻撃を取り戻していった。

しかし、鹿島も反撃の手を緩めずに前半終了間際にポゼッションしながら左右に揺さぶりを掛け、西大伍選手のクロスに金崎夢生選手がヘディングシュートを狙ってきた。前半は、苦しい展開の中、0-0で折り返した。

前半、主導権を握りながらも先制点を決められない鹿島の石井正忠監督は「前半の立ち上がりと同じく、前線からプレスをかけて、相手のプレーを限定しよう。相手のボックス内での精度を高めて行こう」と選手を送り出した。

ミシャ監督は、攻撃の変化を求めてズラタン選手に代えて李忠成選手を投入した。そして「慌てずにもっと落ち着いてプレーしよう」と選手を送り出した。

ワントップに李選手が入ると、後半の立ち上がりから浦和が主導権を握っていった。更に、57分に高木選手に代えて青木拓矢選手を投入し、柏木選手をシャドーへとポジションを代えて攻撃の起点に変化をつけた。

ゲームの流れを掴んでいた浦和であったが、先制点は鹿島であった。60分、山本選手がGKとDFの間を狙ったクロスに土居選手が槙野選手の裏から飛び込みゴールを決められてしまった。

西川周作選手は「失点したとき、中2枚いたが隙があった。マキと関根君の間に(鹿島の選手が)浮いているのが見えて、直感的にやばいと思った。クロスを上げられた瞬間、前に出ようと思った。土居君の頭に合わせるボールをイメージして出て弾けたと思う。一山越して落ちて来て、難しかった」と失点シーンを振り返った。

しかし、その2分後の62分、左のバイタルエリアのスペースへ走り込んだ柏木選手へと梅崎選手が縦パスを送り、柏木選手のグランダーのクロスを李選手が鹿島のDFのマークをずらしてニアへと流し込み同点!!

柏木選手は「ボランチをやっていて、ここやって言うところにスペースが空いてくるイメージがあった。右足で自信が無かったが、丁寧に合わせた。チュンもスピードを変化させて入って来てくれた」と満足げに話した。

李選手は「1点獲られたけど、相手もどん引きしなかったからFWに収めることが出来ていたから1点は獲れると思っていた。スペースも空いていたしね。上手く相手をブロックして、自分の前にスペースが作れた。ワシントンみたいなゴールだった。あのまま突っ込んでいたら、相手に潰されていた。右足の方が、セオリー通りでしっかりニア」と嬉しそうに笑みを浮かべた。左利きの2人が、右足で作りだした見事なゴールシーンであった。

ゲームを振り出しに戻した浦和は、更に仕掛けていった。69分には、関根選手が勢い良くドリブルシュート!その零れ球をフリーで李選手が狙うも決められず。決定的なチャンスを逃した李選手は「回転掛かって難しかった」と話し「2点目の方が簡単だった。やっぱり詰めれば来ますね。あそこら辺だろうな?!と思って予測した。FWは、詰めなきゃね」と笑った。

73分、青木選手が粘って倒れ込みながら武藤選手へ展開、武藤選手が勢い良く放ったドリブルシュートを曽ヶ端準選手がファンブル!こぼれ球を狙って走り込んでいた李選手が、冷静にゴールへと流し込み逆転ゴールを決めたのだ。

青木選手は「前半、外から見ていてしんどいゲームだと思った。しんどいゲームの中で守備でセカンドボール拾って、頑張って繋げられた」と話した。

浦和を追う立場へと変わった鹿島は、73分に中村充孝選手に代え鈴木優磨選手、75分に西選手代え伊藤幸敏選手を投入。

浦和も最後の交代枠を76分に疲れが見え始めた武藤選手に代えて石原直樹選手を投入した。その後、鹿島は猛攻を仕掛けるもしっかりとスペースを埋めて守り切り、2-1で鹿島を下し逆転勝利!!「WE ARE REDS」の大合唱が、鹿島スタジアムの夜空に響き渡った。

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