浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】2016プレナスなでしこリーグカップ1部 Bグループ第9節 vsベガルタ仙台レディース<平尾、高畑、筏井、山守、吉田監督コメントあり>

リーグカップ1部Bグループ、首位を走る仙台に痛み分け。

梅雨明けと共に、浦和レッズレディースがホーム・浦和駒場スタジアムに戻ってきた。

チームの再起を掛けて挑んでいるなでしこリーグカップ1部Bグループは、3勝2分け1敗とリーグ戦とは違いまずまずの成績でスタートした。6月12日、ホームに岡山湯郷Bellに4-0と快勝。続く6月19日には、新潟レディースを2-1と逆転勝利。そして、アウェイ4連戦を1勝2分け1敗で乗り切った。そして、ようやくホームへと5試合ぶりに戻ってきたのだ。しかも、対戦相手はアウェイで0-2と唯一敗戦を喫した仙台レディースである。ここは、何としてでもリベンジしたい。熱き浦和の魂がピッチで燃えた。

長船加奈選手は、右足軽い捻挫で大事をとって欠場。北川ひかる選手は、大学の行事のために不参加。吉田靖監督は「塩越を左にもってきて、もともとサイドバックをやったことがある栗島を右に使った。栗島は守備が安定している」と話し、今シーズン初めて栗島朱里選手を右サイドバックで起用した。

浦和のキックオフで始まった試合は、立ち上がりから仙台がハイプレスを掛けて主導権を握ってきた。3分、左からのクロスにタイミング良く川村優理選手がヘディングシュートを放ってきた。

平尾知佳選手は「前回の仙台戦で優理さんにヘディングでやられた。クロスが上がる前に優理さんが見えていた」と過去の失点の経験を生かしていた。

ゲームの入りが悪い中、高畑志帆選手は「押される時間、踏ん張らないと勝利は出来ないと思った。DFラインを押し上げても半分ぐらいしか上げられなかった。でも、仙台はずっとハイプレスを続けることが出来ないと思っていた。我慢して、ボールを動かす時間帯が来ると思った。ボールの収まりところをチーム全体が共有出来た」とゲームの入りは悪くても落ち着いていた。

少しずつ落ち着きを浦和が見せ始めると、筏井りさ選手や長野風花選手のボランチから攻撃のリズムが生まれだした。

吉田靖監督は「立ち上がり押されたが、我々のペースで試合が運べた。その間に点が獲りたかった」と残念そうに話した。主導権を握った浦和であったが、なかなか崩し切れず、シュートまで持ち込めない展開になってしまった。

筏井選手は「ボランチ対決で負けたくなかった。川村さんが起点となってサイドハーフが局面を崩して裏を取ってくる。川村さんを自由にすると危険だった」と話し、長野選手は「仙台のツーボランチをフリーにさせると展開力があるとりささん(筏井選手)と話していた。相手陣内で、パスを繋いでポゼッションをしたかったが、最初は枚数が足りなかった」と中盤のせめぎ合いがポイントとなっていた。

29分には、北原佳奈選手からのビルドアップから小野瞳選手が中央突破を試みてミドルシュートを放ってきた。だが、ここは平尾知佳選手が冷静に押えた。

浦和は、決定的なチャンスが作れない中で、前半終了間際に白木選手の粘りから後藤三知選手へと展開し塩越柚歩選手へ、塩越選手がDFを引きつけながらもシュートを放つが力なくゴールを決めきることが出来なかった。

両チーム共に球際に厳しい守備から攻守の切り替えを早くゴールを狙うが、チャンスを生かせずにスコアレスで後半勝負となった。

日も暮れだし照明灯に明かりが灯った後半、拮抗したゲームを打開するために両チームのベンチが動いた。浦和は、塩越選手に代えて臼井理恵選手を投入して左サイドを活性。仙台は、小野選手に代えて有町沙央里選手を投入し前線を活性。

一進一退の攻防が続く中、後半になり最初にチャンスを作ったのは浦和であった。54分、筏井選手のアーリークロスをファーサイドで後藤選手がヘッドで落としたところを長野選手が狙うも身体を張った仙台のDF陣に止められてしまった。

57分、臼井選手のクロスに合わせた柴田華絵選手のシュートのこぼれがフリーの加藤千佳選手の目の前に・・・。しかし、加藤選手のシュートは枠を捉えることが出来なかった。ビックチャンスを逃した加藤選手は「左足、実はミートしなかった。相手のGKよりも一歩早く動けていたらもっと楽に撃てた。あそこで決めていたら勝てたのに」と自責の念に駆られていた。

チャンスの後には、ピンチあり。その直後、ボールの失い方が悪く、自陣で井上綾香選手に奪われてそのままスピードに乗ったドリブルシュートを撃たれた。だが、平尾選手がファインセーブを魅せチームの危機を救った。

65分には、白木選手のマイナスのクロスに後藤選手が合わせるもミートせず。疲れが見え始めた後藤選手に代えて70分に山守杏奈選手を投入してゴールを目指した。しかし、仙台のDF陣も球際に厳しかった。山守選手は開口一番「何も出来なかった」と悔しさを滲ませ「落としのボールを前向きに受けても詰まってしまって、攻撃のリズムが作れなかった」と話した。

仙台も疲れが見えた井上選手に代えて77分に浜田遙選手を投入。浜田選手が投入された直後、一瞬の隙を突き浜田選手が放ったシュートが左ポストに直撃!!そのこぼれを中野真奈美選手が狙うも浦和のDF陣がシュートコースに身体を張りゴールを死守した。

高畑選手は「GKが先にニアに入っていて、足を出すか迷って・・・。変に当たるとオウンゴールになると頭によぎって、それで足が出なかった。自分のポジショニング、最後の連携を詰めていきたい」と反省していた。

お互いに打開策を求めて選手交代を繰り返す中、刻々と迫る試合終了の笛にオープンな展開となりながらも最後まで諦めずにゴールを求めて走り続けた。だが、お互いに譲らず0-0の痛み分けとなった。

その結果、次節の最終戦をAC長野と2016プレナスなでしこリーグカップ1部Bグループ突破を掛けた直接対決となった。

次節AC長野戦は、8月7日ホームを鴻巣陸上競技場へと移し、17時キックオフで行われる。グループ突破を掛けた浦和の女の闘いは、まだまだ熱く燃え上がる。

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