浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】プレナスなでしこリーグカップ1部 Bグループ 第10節 vsAC長野パルセイロ・レディース<後藤、長野、長船、白木、筏井、栗島、吉田監督コメントあり>

プレナスなでしこカップ1部Bグループ突破をかけて熱い一戦を征す

浦和レッズレディースが、なでしこリーグカップ1部Bグループを突破するには、最低引き分けが条件であった。勝ち点12ポイントで2位に付けている浦和レッズレディースは、勝ち点で並びながらも得失点僅か2点差で3位になっているAC長野パルセイロ・レディースと決勝トーナメント進出をかけて直接対決となった。

長野は、元浦和の坂本理保選手がキャプテンを務めセンターバックのポジションからチームメイトを鼓舞し、前線に日本代表の若手ストライカー横山久美選手と元浦和の泊志穂選手のツートップ、トップ下に斉藤あかね選手に任せ、中盤をダイヤモンドの形を取る4-4-2のシステムで挑んできた。

17時キックオフだが、西日が肌を突き刺すようにジリジリと照りつける暑さの中、ピッチを駆け抜ける風が優しかった。

キャプテン後藤三知選手は「平尾が、コイントスで勝ったら右エンドが良いと言われた」とコイントスで勝った浦和は、西日を気にして右エンドを選択。長野のキックオフで始まった試合は、ハイプレスを掛けてパスコースを限定しボールサイドにスライドする守備から攻守の切り替えが早い長野が主導権を握ってきた。

吉田靖監督は「最初、プレスが厳しくサイドが変えられなかった。斉藤は、嫌なところに出て来てやらしかった。横山、泊、斉藤と得点が力があり、縦、縦に来るので対応が遅れないようにした」と長野前線を警戒していた。

長野風花選手は「トップ下をセンターバックのフネさん(長船加奈選手)か瑠華さん(乗松瑠華選手)が前に向かさないようにして、りささん(筏井りさ選手)とサンドしようと思っていたが、りささんがDFラインに吸収されてしまいギャップが出来てしまった」と話した。

浦和は、ピッチの幅を使ってサイドチェンジをしてサイドから崩して行く狙いであったが、苦戦を強いられることとなってしまった。そして15分、児玉桂子選手のアーリークロスにファーサイドへ飛び込んだ泊選手のヘディングシュートが決まり、長野に先制点を許してしまった。

流れが悪い中、白木選手は「相手のDFラインが高いので、背後を突いて行こうと思っていた」と話した。

また、長船加奈選手は「相手は、ロングボールと言うよいか、FWにゴロの楔が多いと聞いていた。そこを如何に潰せるか遣りながら考えていた」と話した。

1点を追う浦和は、気落ちもせず、焦らずにチャンスを虎視眈々と狙っていた。栗島朱里選手は「最初は相手に合わせてしまいサイドチェンジも出来なかった。1失点したあとに、ハナさん(柴田華絵選手)が内側に入ってきてくれて、自分の前にスペースが出来た」と柴田選手の気を利かしたポジショニングの修正で有効なサイドチェンジが出来るようになっていった。

28分、その栗島選手の前のスペースに流れた白木星選手から柴田選手へと展開し、柴田選手のクロスを後藤選手が冷静に合わせて1-1と追いついた。後藤選手は「柴田選手から良いボールが来て、背後にスペースがあった。フリーの状態でした」と笑った。

同点に追いつき、徐々に浦和が主導権を握り始めると34分、北川ひかる選手が倒され獲得とした直接FKは、ペナルティーアーク付近と絶好のポジション。キッカーは、筏井選手。ゴール左上の隅を狙った筏井選手のFKは、クロスバーに直撃してそのまま下へと落下。バウンドしたボールに誰よりも早く、白木選手が詰め寄りヘッドでゴールへと押し込んだ。

白木選手は「りささんのほぼゴールなんですが、あのようなところでも点を決めたいと思っていた。金曜日の練習では、上手く足のところにきていた。以前の試合で、りささんがFKをバーに当ててそのまま入った試合があった。入るかなって最初見送ったけど微妙だったので詰めました」と嬉しそうに笑った。

筏井選手は「得意な距離で、落ち着いて蹴れば行けるなって感じがした。芝の感じも深く、深いから下に入って軸足と助走の距離を考えた」と照れていた。

逆転に成功した浦和は、攻撃の手を緩めることなく攻め続けた。そして、前半の終了間際には北川選手のクロスをファーサイドで白木選手が折り返し、ゴール前に飛び込んだ後藤選手のシュートは、決まったように見えたが長野DF陣がかき出してノーゴールの判定。

悔しそうに後藤選手は「北川から逆サイドの白木の折り返し、入っていてもおかしくなかった。しっかりとゴールにしていかないといけなかった。決まっていたら、後半は違っていた」と悔しそうに唇を噛んだ。決定的なチャンスを決めきれなかったが、前半は2-1と逆転に成功して折り返した。

後半は、立ち上がりから浦和が主導権を握って落ち着いたゲーム運びを見せていた。だが、62分、センターバックの坂本選手のロングボールを横山選手が競り勝ち、無人のゴールへと流し込み2-2。試合は、振り出しへ。

追いつかれてしまった浦和は、気持ちを切り替えて前掛かりに攻撃を仕掛けて行こうとしたところであったが、栗島選手の足が攣るハプニングに見舞われてしまった。そこで65分には、栗島選手に代えて塩越柚歩選手を投入。

足が攣った栗島選手は「中盤の走りとサイドの走りは違う。走り慣れなかった」と悔しさを滲ませた。さらに73分、北川選手も足が攣り遠藤優選手と交代。上下運動が激しい両サイドバックを代えざるを得なくなってしまった。しかし、途中出場した塩越選手も遠藤選手もサイドから果敢に長野のDFを崩しに掛かっていった。

引き分けでも決勝トーナメント進出が決まる浦和は、残り時間15分を切ったところで後藤選手に代えて高畑志帆選手を投入し、5DFと守り切る姿勢をみせた。

吉田監督は「この試合を勝って終えたかったが、仙台と新潟の結果次第で決勝トーナメント進出が決まる。攻められていたけど決定的な形は作らせなかった。最後は高畑を入れて、引き分けOKと言うことを選手たちに伝えないといけないし、守り切るメッセージだった」と安堵の表情を浮かべた。さらに、81分には白木選手に代えて山守杏奈選手を投入し前線からのプレスを強化していった。

そして、アディショナルタイムは5分。浦和は、粘り強い守備を見せていった。「最後、危ないシーンもあったが、何とか守り切った。とにかく弾いて相手に触らさないようにして、中を締めて簡単に遣っていこうと声を掛けていた」と長船選手は話していた。

筏井選手は「アディショナルタイム5分って言うのは長いって思った。うちの後ろ3枚とも競れるので大丈夫だと思ったし、相手はイライラしていた。しっかり押えれば、相手にチャンスは作らさない。点を獲りたかったが、引き分けで上がれる(決勝トーナメント進出出来る)のは分かっていた。山守のスピードで一発はあったが、守り切る形だと思ってシンプルにプレーした」と体力的にきつい時間を冷静に闘っていた。

苦しい時間をしのいだ浦和に、決勝トーナメント進出を告げる試合終了の笛が鳴った。2-2と長野に引き分けであったが、浦和は勝ち点を13に伸ばし、得失点2差で長野を上回り、プレナスなでしこカップ1部Bグループ2位で通過を決めた。
決勝トーナメントの相手は、Aグループ1位通過の日テレとなった。女たちの熱い闘いは、8月27日土曜日柏の葉スタジアムにて19時キックオフで行われる。下位に沈むリーグ戦の屈辱を果たすためにも、日テレを下して決勝戦へと駒を進めていきたい。

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