浦和フットボール通信

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【ルヴァンカップ優勝コラム】大会MVP級の活躍、高木俊幸が”浦和の男”になりつつある。

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高木個人にとってもリベンジの大会だった

河野正(取材・文) 1992年にJリーグ最初の公式大会として創設されたナビスコカップは、今季から大会名をルヴァンカップに変更した。その初代ウイナーに浦和レッズが名を刻んだ。ナビスコ杯時代の2003年に初優勝して以来、2度目の頂点に就いた。 浦和はこの大会と縁遠かった。今回で3年ぶり6度目の決勝進出ながら、過去5大会は1勝4敗と相性が悪かった。しかも得点したのは、鹿島アントラーズに4-0で大勝した優勝時のみだ。敗れた4度とも無得点に終わっている。 今回の決勝も宿敵ガンバ大阪に前半17分に先行され、なかなか追い付けない情勢が続いた。しかし後半31分、柏木陽介の蹴った右CKを31分に交代出場したばかりの李忠成が頭で同点ゴールをねじ込み、1-1からのPK戦を5-4で制した。 森脇良太、槙野智章、柏木、阿部勇樹、宇賀神友弥、興梠慎三……。柏レイソルに屈した3年前の決勝に出場していた選手は、今回の決勝にも6人が先発。控えの那須大亮を含めると7人だ。さらに西川周作、森脇、槙野、李はサンフレッチェ広島時代の14年の決勝でジュビロ磐田に敗れた。磐田には那須がいてフル出場している。今回ベンチ入りした石原直樹は、広島の主力として14年の決戦に出たがG大阪に完敗。 こう見ると、随分とたくさんの選手がファイナルで苦汁をなめた。   kaz_2173_r そしてもう一人。高木俊幸は清水エスパルス時代の12年、鹿島との決勝に臨んだが、120分の激闘に1-2で敗れた。3トップの一角でフル出場した21歳は、両チーム最多の6本のシュートを放ったが、清水の勝利には手を貸せなかった。 2度目の決戦の舞台に先発した高木は後半30分、関根貴大のパスを預かると、右足で強シュート。GK東口順昭が何とか弾き、右CKを獲得した。同時に高木は李と交代したのだが、これが李の同点弾を呼び込んだのである。 優勝が決まった瞬間は感極まって号泣したが、「準アシストだね」と水を向けると顔をほころばせた。通算4ゴールで得点王となった。ヴィッセル神戸との準々決勝第1戦は先制点。第2戦も先制点と駄目押し点。FC東京との準決勝第1戦は、貴重な同点ゴールをものにした。 MVPは李に譲ったが、高木もこれに劣らぬ働きぶりだった。 「(清水時代の)リベンジの大会でもあったし、このメンバーで優勝したい気持ちが強かった。みんなの思いが一つになって一つの結果につながったと思います。自分にとっては初タイトルなので本当にうれしい」 移籍1年目の昨季も、今季も梅雨明けまでは出番に恵まれない苦しい日々が続いたが、ようやく持ち味を発揮し始めた。 「残り3試合のリーグ戦も難しい戦いになるが、気持ちを締め直して臨みたい」と鈴木啓太から背番号13を受け継いだ高木が、“浦和の男”になりつつある。 (了)

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