浦和フットボール通信

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【選手ミニコラム】苦い思い出が残る流経大戦で、岩舘の勇ましい輝く姿があった。

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(Report by 河合貴子)

この練習試合で見せた仲間を鼓舞する声掛けやコーチング、パフォーマンスは、心を揺さぶるものがあった

水戸から浦和にレンタル移籍してきて、何年が経っただろうか・・・。今シーズンから浦和に完全移籍となった岩舘直選手。2014年6月から約1年半の年月が流れた。その内の約半年は、左アキレス腱断裂によって長期リハビリ生活で辛い日々を過ごしていた。

昨年の3月28日に行われた流通経済大学との練習試合で、ハイボールをキャッチして着地した瞬間の怪我であった。11月18日、その苦い思い出が残る流通経済大学との練習試合のピッチに、岩舘直選手の勇ましい輝く姿があった。

相手と1対1になるシーンでも動じずに無闇に飛び込まず冷静にシュートコースを消して、ファインセーブを魅せた。仲間を鼓舞する声もフィードも守備範囲も良かった。

長期離脱のリハビリ生活が終っても、浦和には絶対的存在の西川周作選手がいる。練習でのミニゲームでも大谷幸輝選手と半々でゴールを守る。試合に出場出来ず、ベンチにも入れない日々の中でも気持ちを切らさずに、向上心を持って練習に取り組んで来た。その成果が、流通経済大学との練習試合で観ることが出来たのだ。

正直、岩舘選手のGKとしての成長を感じることが出来て嬉しくなってしまった。

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練習試合が行われたこの日、日本代表から戻って来た西川周作選手は、別メニューでコンディション調整。天皇杯川崎戦で大谷幸輝選手は、右足首捻挫でリハビリ中。鳥取にレンタル移籍した福島春樹選手も前十字靱帯断裂および半月板損傷で長期離脱。残されたGKは、たった一人!練習試合とは言え120分ゲームが出来る戸惑いが、岩舘選手の心の中にあった。

試合の立ち上がり4分、岩舘選手のポジショニングを見て放たれたシュートは、無残にも岩舘選手の頭上を越えてゴールネットを揺らした。岩舘選手は「DFラインが置いてきぼりにされて、止まってしまった。ボールが浮いて相手の足下に止まって、行き辛く距離も詰め切れず・・・」悔しそうに話した。

だが、心の中にあった戸惑いはゲームが進むにつれて消えていったのだ。120分を通して許したゴールは、この1点だけだった。2試合目にイリッチ選手が、決定機阻止でレッドカードとなったシーンも「交わさずに、着いてきてくれれば良かった。ブランコ(イリッチ選手)自身も行かれたくなかったと思う。あのようなシーンを止めるのが、彼の売りだからね」と話していたが、イリッチ選手がファールで止めなくてもゴールを阻止するポジショニングを取り、しっかりとした準備が出来ていたのだ。

現に、その後に浦和がカウンターの脅威にさらされて相手との1対1になったシーンでも見事に止めている。「浦和が支配するゲームになると思って、失点はカウンターだと思っていた。数的不利な状況になり、相手の足下に入った時、DFの選手とコミュニケーションがしっかりと取れて守れた」と岩舘選手は笑顔を見せた。

もちろん岩舘選手は、練習試合で出た自分自身の課題も忘れていない。だが、この練習試合で見せた仲間を鼓舞する声掛けやコーチング、パフォーマンスは、心を揺さぶるものがあった。公式戦で岩舘選手が、浦和のゴールを守る姿を見てみたいと思うほどであった。いつの日か、試合のピッチに立つ雄姿が来ることを願っている。苦労は、必ず報われるはずだ。

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