浦和フットボール通信

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【2016シーズンを振り返るPart2】13年ぶりのカップタイトル。積み上げた力をみせたリーグ戦だったが。

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今季も浦和レッズを丹念に取材してきた河合貴子さんと、2016シーズンを振り返ります。13年ぶりのルヴァンカップ優勝。そして年間勝点1位を獲得したリーグ戦について

総力が上がってのルヴァンカップ13年ぶりの制覇

椛沢:ルヴァンカップは13年ぶりに優勝をしました。ペトロヴィッチ監督の日本での初タイトルでしたし、レッズにとっても2007年のACL以来のタイトルになりました。

河合:ルヴァンカップが獲れたのは、良かったよね。

椛沢:日本代表選手がいない大会の中で、代わりに入った選手。特に高木選手がルヴァンカップを獲った一番の貢献だったと思います。

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河合:カップ戦ではあったけれども、公式戦でゴールを決めたことによって、高木選手はピッチの中でガムシャラにシュートを撃つのではなくて冷静にプレーすることが出来るようになったのがすごく大きかったね。高木選手はムラがあるのが気になる。そこさえなくなれば、もっとすごいプレーが出来ると思う。

椛沢:今までは代わりに選手が入るとチーム力が落ちてきました。それがそうではなくなったのは、積み上げてきたものによるものなのでしょうか。

河合:まさしく積み上げてきたものだと思う。駒井選手も最初はミシャサッカーに馴染むのにすごく時間が掛かったけれども、今はチャンスをしっかり掴み取った選手の一人だし、遠藤選手もそうだよね。彼はボランチやろうが、ストッパーやろうが、リベロやろうが、どこをやっても有能な守備力がある。来季はフィードがもっと良くなると良い。補強の成果も少しずつだけれども、しっかり出ていると思う。

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椛沢:決勝ではガンバに先制点を奪われて、どうなるかと思いましたが、李選手が途中出場でファーストプレーでCKをヘディングで決めて同点にして、最終的にPK戦で勝利しました。

河合:本人も「大一番で決めるのは俺だ」と言っていて、彼のメンタルは他とは違うんだよね。

椛沢:ルヴァンカップで、それが表れていたかもしれないですね。

河合:彼はメンタルの強さをもっている。あれは素晴らしい。彼の中では、浦和のためにという思いも強い。昨年の天皇杯からずっと調子をあげてきて、今季は一時期KLM(興梠、李、武藤)と言われて、その3人が10点以上獲ったのはすごいことだと思う。

椛沢:その他に目立った選手は?

河合:あとはカップ戦では青木選手の活躍が良かったね。ようやくフィットしてきた感じが受ける。

椛沢:もともと良い選手だと言われてきましたからね。ようやく輝きを放ちつつあるのかなという感じですね。

河合:あと、使って欲しかったのは石原選手。怪我からなかなか戻ってこなかったけれども、終盤になって練習をみていて、私は使いたいと思わせるものがあったけれども、監督の中ではなかったみたいなんだよね。もったいなかった。

椛沢:16人が10試合以上出ているということで、そのくらいのメンバーで回せるようになってきていたのが、ルヴァンカップ優勝の要因の1つでもありましたね。

年間勝点1位獲得も・・・

椛沢:そしてJリーグは74ポイントを獲得して年間勝ち点は1位。ファーストステージは、FCソウル戦のダメージが大きく3連敗を喫しましたが、セカンドステージは優勝しました。ファーストステージは、FCソウルとの激闘の後、アウェイに乗り込んでの鳥栖戦は0-0で終えたけれども、その後の鹿島、ガンバ、広島に3連敗を喫してしまいました。

河合:ファーストステージ優勝戦線に残っていた中で、優勝を争う鹿島に負けて、ガクッときた所があると思う。あそこで負けてズルズルと3連敗を喫してしまった。

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椛沢:3連敗をして迎えた、東京戦は、東京の自滅によって、逆転勝利をしてラッキーな形で踏ん張れたように思います。あの試合に負けていたらどうなっていたかなとゾッとしますね。

河合:FC東京で勝って気持ちを切り替えれた所はあると思う。

椛沢:そしてセカンドステージは優勝しました。

河合:最終的に勝ち点74ポイント取れたのは、ルヴァンカップがあったからだと思う。セカンドステージの連敗の中、神戸との3連戦でチームを立て直すことが出来た。同じチームと3試合連続はありえないと思ったけれども、最初にリーグ戦で負けて、そこを糧にしてどうしたら神戸に勝てるかということを神戸に残って対策をして挑んだ。そこで立て直しが出来て、代表選手がいない中で、ホームに帰ってきてしっかりと勝てた。

椛沢:代表で選手がいない中で、強制的にターンオーバーをしないといけない状況になったのが功を奏した部分がありますね。ルヴァンカップで、高木選手、駒井選手を使うことになって、彼らがその後も力を見せてチームの総力を上げました。

河合:総力がぐっと上がったのは、あのタイミングだったと思う。

椛沢:今までは主力固定のために、調子が同時に一気に落ちた所がありました。

河合:他の選手に掛かる負担も大きくなってしまって、そのまま落ちていく形だった。一番運動量が求められるのは、サイドの選手だったけれども、駒井選手がいて、梅崎選手もいて、関根選手も右も左もやって、誰かが欠けていても組織コンビネーションと個の力が見えたシーズンだった。完璧なシーズンを過ごしただけに、最後の結果がね……。

椛沢:最後に本当の真価が試された中で、結果が一緒だったというのが返す返す残念ですね。

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河合:ミシャ監督が積み上げてきた、浦和のコンビネーションプレー。フリックを入れたり、大きくサイドに揺さぶりをかけたり、それが出来ていたのに……。私は負ければ監督の責任だと思っている。監督が批判を受けてもしょうがない。監督の立場として、それは当たり前のことだから。ミスをしてしまった宇賀神選手や槙野選手、シュートを外した武藤選手とかを攻めるつもりはない。生かしてあげられなかった監督の責任だと思う。

椛沢:テレビ中継で、岡田さんが最後にぽろっと「サッカーは戦術、内容で決まるのではなくて、ちょっとした隙、ここで決める、止めるで決まってしまう」と言っていて、その流れを監督が作れなかったのかなと思いますね。

河合:そうだと思う。

椛沢:全体を通して良いシーズンを過ごしていたのは間違いないと思いますが、最後の最後の失敗でタイトルが獲れなかったということによって、今季も最終的な結果の部分が得られないというシーズンになってしまいました。

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