浦和フットボール通信

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新たなスタートに笑顔こぼれる。梅崎司【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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思った以上に早い復帰が期待できると思わせる順調な回復ぶり

待ちに待った桜の花が、大原の練習場でもようやく咲き出した。三寒四温を経て、冬の終わりを告げる春雷が轟き、春がやってきたのだ。それは、まるで長期離脱のリハビリから解放された梅崎司選手のようであった。

仲間とボールが蹴れない、ピッチに立てない長期に渡るリハビリは、怪我をした選手たちにとっては暗黒の時だ。再びピッチに立つために、どんなに苦しくてもその暗黒の時を堪えてきたのだ。

昨シーズン、8月31日に開催されたYBCルヴァンカップアウェイの神戸戦で左膝前十字靱帯損傷し、全治約6ヶ月と診断された。全治6ヶ月といっても全治したからすぐにピッチで闘えるわけではない。違和感なくボールが蹴れるようになってから、試合出場できるフィジカルと試合勘を取り戻さないといけない。段階を踏んでチーム全体練習に合流をした梅崎選手の動きは、重心が低く切れのある鋭さをもっていた。

そして、3月25日の東京国際大学との練習試合で怪我から復帰して初めてフルコートのピッチに立ったのだ。35分間だけであったが、仲間のもとに走り寄る梅崎選手の足取りは軽やかであった。

しかし、練習試合後の梅崎選手は「試合をやりながら身体も慣れてきて、嬉しいよりも悔しいですね。正直、点獲ってやろう、アシストしてやろうという気持ちがあったので・・・。実際にチャンスもあった。そこの精度だったり、距離感だったり、対人との感覚がまだまだだった」と悔しそうに唇を噛んだ。

頭で思い描いていたプレーと感覚のズレがあったのだ。それは、怪我明けの選手が避けては通れないものなのだ。距離感など感覚のズレが生じるのは、当たり前のことである。例えば、約半年間も自動車を運転していないペーパードライバーに、ハンドルを握らせるのに近い感覚だ。その感覚を埋めるのは、練習を積み重ねていくしかない。

梅崎選手は「でも、動けた部分も凄く感じたし、良いパスやクロスもあった。良い面をこれから高めていかないといけないと感じた35分だった。自分がやりたいことと、チームがやりたいこと、コンディションなどいろいろと考えてやっていた。実戦っぽいなと思ったし、取り敢えず怪我なくできた。こんなに長い距離を走ることもなかったし、こんなに速いテンポの攻守の切り替えも今までなかった。あぁ~ゲームって、こんなにテンポが速いんだ」とフルコートでの実戦を感じていた。

確かに梅崎選手のプレーを観ていると、球際には無理して意識的にボールにいかなかったプレーやバランスを崩しそうなときにも慎重にプレーをしているシーンがあった。だが、良い状態でボールを受けると視野を広くもって、梅崎選手本来の動きを魅せていた。

「膝を気にするシーンはなかった。でも球際でもう一歩身体を投げ出すところとか、身体の使い方がまだまだ」と話す梅崎選手に「公式戦に近づいている感触は、あるんじゃない?」と問いかけると「気持ちは、もう入ってきている。そのための1歩を今日踏み出せた」とやっと嬉しそうに笑ったのだ。

そして、すぐに険しい表情に変わり「やっとスタートラインに立った感じ、ここから争いに参加していきたい。ステップアップして、積み重ねていくだけだ」とポジション争いに名乗りをあげたのだ。

怪我明けの初めてのフルコートで、梅崎選手自身の中で、用心をしてセーブした動きはあったにしても、やれる手応えを掴んでいたようだ。35分ピッチに立ち良い感触の足の張りを感じて「何か違う。練習では出ない張りだ。公式戦だと緊張感とか、また違った張りがでてくると思う。焦らずに1歩、1歩進んでいきますよ」と笑った。心地良い足の張りは、嬉しい兆候であった。

そして「動き出しとか、何か動いているなって感じだった。自分の中でスイッチが入ってきている。もっとやりたいなぁ~勝ちたいなぁ~という気持ちが強い。それが、良い自然の流れだ。唯々、サッカーするためにやっているわけではない。もっと撃ちたいなぁ~というのが怪我して強くなった。闘って、勝っていけるように努力していく」と長期リハビリから解放されて、プロサッカー選手としてようやくスタートラインに立った。

日に日に闘える身体になっていく梅崎選手の公式戦の復帰は、思った以上に早いだろう。できればあと2、3試合、練習試合をこなして、公式戦のピッチへと送り出してあげたい。

そして、浦和を愛する人々からは「お帰りなさい!ウメ!!」と復帰を祝福する歓声が沸き起こるはずだ。浦和を愛する人々は、梅崎選手が公式戦のピッチに立つ日を待っている。自分を待っている人たちが居てくれるから、梅崎選手は暗黒の時から抜け出して、新たなスタートラインに立ち、1歩、1歩確実にみんなが待っている闘い場へと進みだした。ようやく、梅崎選手にも春がやってきた。

Q. 一般的にスポーツをしたあとにお風呂に入りますが、温めるのは疲労回復の効果があるのでしょうか。

A. クールダウンしたあとは、筋肉が炎症をおこしている訳ですからお風呂で温める前にアイシングをして下さい。プロ野球のピッチャーも降板したあとベンチの中でアイシングしてますし、サッカー選手もアイシングしてますよね。疲労回復には、水風呂と温かいお風呂で交代浴をするのも良いでしょう。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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