浦和フットボール通信

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菊池大介が苦悩の日々から感じていること【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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ピッチで輝く日を信じて

悔しくって・・・情けなくって・・・自分自身に苛立ちを感じているように見えた。

心を無にして走る。頭の中を過ぎる邪念を吹き払い走る。それでも、悔しさを拭い去ることができない。天皇杯・3回戦後、猛暑が続く中で居残り練習に取り組む菊池大介選手がいた。

天皇杯3回戦で熊本を1-0で下し、勝利の笛がスタジアムの夜空に鳴り響いたピッチに菊池大介選手の姿はなかったのだ。

前半、DFラインからのビルドアップに合わせて熊本のDFラインの裏に何度も飛び出した。菊池選手のその動きは、1本の矢のようであった。前線から激しくプレスを掛けてくる熊本に対して、浦和としたら有効的な攻撃の手段でもあった。菊池選手へ通っていれば、決定的なチャンスに直結しただろう。だが、飛び出すだけで精一杯の状態でボールが足につかなかった。得意の局面での仕掛けもセンスが光るパスも魅せることができずに、ハーフタイムに武藤雄樹選手と交代となってしまった。

6月21日に開催された前回の天皇杯2回戦の盛岡との対戦に続き、またもや前半だけの出場になってしまった。本当なら、もっともっと自分のプレーを魅せて、浦和の勝利に貢献したかったはずである。

菊池選手は「当然、悔しいですよ」と唇を噛み締めた。

そして、ゆっくりとした口調で「チームは勝ったんで・・・。チームとしては良かったんですが・・・。前半、自分はチームとして機能していなかった。個人的にはボールを触る機会がなくて・・・。残念です」と話した。

そして、DFラインからのビルドアップについて「航(遠藤選手)から多かったですが、航とはずっとやっているんで見ててくれるから、自分は信頼して動ける。本当にあともうちょっとだった。良い感触でできたし、得点に繋がれば良かった」と湘南時代の息のあった動きであった。

だが、菊池選手は「良かっただけでなく、繋がらなかったことを反省して、次に合わせられるようにやらないと・・・。ボール自体は良いボールだった。あそこでピンポイントで合わすのは、難しいことだ。自分が何とかできるボールだったと思うし・・・。動きの質は悪くなかったので、そこでの精度を上げていかないと。相手もDFラインが深くなかったから、裏を狙えるチャンスだった。全部DFの裏を狙っていたら、相手も分かりやすくなる。自分の中で相手と駆け引きしながらやっていた。

流れで後半ももう一回やっていこうって気持ちがあった中で、前半で交代になってしまった。まぁ・・・。もう少しやりたかった」と本音を吐露したのだ。

そして「もう少し、ボールに触りたかった。もう少し、オフの動きでボールを引き出したかった。イージーなミスもあった。集中してやらないと」と菊池選手の中で後悔もあった。

試合のピッチから遠ざかると、こんなにもパフォーマンスが落ちてしまうのか・・・。それを象徴するかのような、遠藤選手からのビルドアップが菊池選手に収まらない。動きのタイミングは合っていた。なのに・・・。湘南の時ならば、間違いなく菊池選手の矢のような動きは的を射っていたはずだ。

昨シーズンの湘南ではJリーグ32試合に出場していた菊池選手だったが、浦和に移籍してきてここまでリーグ戦で出場したのは仙台戦(62分に宇賀神友弥選手に代わりIN)とFC東京戦(51分に関根貴大選手に代わりOUT)の2試合のみだ。

リーグ序盤は、ベンチに入ることが多かったが、最近はベンチからも遠ざかってしまっている。そういった中で、メンタル的にも身体的にもコンディションを保っていくのは本当に大変なことである。

「試合勘だったり・・・ねぇ。自分自身ずっと試合に出ていたので、そういうところのギャプに苦しんでいる」と菊池選手自身も身を持って感じていたのだ。

菊池選手は「でも、何を言っても言い訳にしかならない。自分自身に目を向けて、何ができていて、何ができないのか、しっかりと把握している」と話して「苦しいですよ。でも下向かないでやるしかないんです!」と自分自身を鼓舞した。

そして「長く違うサッカーやってきて、簡単に馴染めるとは思っていない。浦和は、凄く質の高いチームだし、ずっと同じようなサッカーをやっていて、みんなが慣れているサッカーだ。厳しい時にこそ、選手として人間として真価が問われる。苦しいけど、ここで如何に落ちないで自分自身がやっていけるかだ」と気合いを入れた。

浦和に移籍してきた選手たちがぶつかる大きな壁。チームが変われば、そこで求められるプレーも変わる。自分の特徴のプレースタイルを殺さずに、さらに新しい要素を加えていかなければピッチには立てない。

駒井善成選手だって「考えながら走ることが、ホンマに難しい」と移籍当初は話していた。浦和のサッカースタイルに馴染むのに半年以上かかったのだ。菊池選手にとって、勝負はここからである。今は、必死にもがき、苦しんでいる菊池選手だが、絶対にスタメン組のポジションを脅かすようにここから這い上がってくるはずだ。

苦しみの中を抜け出す一筋の光は、自分自身が日々の積み重ねで作っていかなければならない。

最後に菊池選手は「悔しいですけど、やるしかないんです!!」と力強い言葉を残した。誰も助けてはくれないし、助けられない。自分自身が、苦しみを照らす希望の光になるのだ。ピッチで輝く日を信じて・・・。

Q. よく足の付け根の違和感など選手が言いますが、肉離れなんでしょうか?

A. 国立科学スポーツセンターの奥脇先生が、肉離れを3つに分類してリハビリ期間の目安にしています。1型は、出血箇所が見られる程度の軽い症状です。2型は、筋肉の損傷はあるが完全断裂や付着が離れていない中度の症状。3型は、筋肉の断裂や腱断裂、付着が離れているかなり、引き抜けているなど重い症状です。違和感程度でも無理をしないで安静にしたほうが良いでしょう。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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