浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「決めたかったゴールは明日への扉」(6/17)

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

決めたかったゴールは明日への扉

昨シーズン、2度に渡る右足ひ骨骨折で苦しんだ山田直輝選手にとって、6月5日に行われたナビスコ杯山形戦は約1年ぶりの公式戦となった。試合後、ロッカールームから出て来た山田選手は「公式戦の埼スタは最高!歓声もブーイングも貰うプレーをした。気持ち良いですね~何をやっても!たった10分でしたが、最高の雰囲気でした。怪我があって、今までで一番大きな一歩なんじゃないかなぁ~と思う」と満面の笑みを浮かべ目を輝かせて話してくれた。

怪我して頭の中から離れなかった事は「怪我する前のコンディションに戻れるか?」だったそうだ。今シーズンが始まり、山田選手は口癖の様に「試合に出場して、感覚とかコンディションを取り戻して行きたい。試合に出たいんです」と誰よりも試合に飢えていた。しかし、その気持ちが強すぎて、練習中のゲームで動きの状況判断が空回りしてしまったり、焦りなのか、ボールコントロールが上手くいかない日々が続いた。「試合に出れば取り戻せる」と言う山田選手だが、プロの世界はそう甘いものではなかった。日々の練習の積み重ねで取り戻して行くしかなかった。練習中にペトロビッチ監督から「ナオキ!ノー」とポジショニングやダイレクトパスを出せない場合、ファーストタッチでのボールコントロールなどを何度も指摘をされて悩み苦しんだ。そして、やっと掴んだ山形戦だったのだ。

山形戦で大きな一歩を踏み出した山田選手は「ベンチに入っているだけでは駄目、試合に出たらやってやる。自分が動いて、その動きで味方を巻き込んで連動して観て楽しい、やってて楽しいサッカーをする。楽しくやっているチームは強い」と話していた。

そして、Jリーグ広島戦の後半23分、そのチャンスは巡って来た。途中出場でまず山田選手が心掛けたことは、動き回ってチームのバランスを崩す事を避け、ポジションを守ってやる事であった。後半31分、マゾーラ選手の左サイドから突破したクロスに、ニアでエジミウソン選手が合わせられず、ファーに走り込んで来たのは山田選手であった。しかし、僅かに合わず、仰向けになったまま、両手で何度も地面を叩き続けた。山田選手は「マゾからの折り返し、自分が欲しい所に来たんで入れなきゃいけなかった。ニアで潰れたエジで一瞬ボールが見えなくなった。迷いと言うか・・・。何処に来るか分からず、滑った足の下を抜けて行ってしまった。どうしても入れたかったゴール。悔しくて眠れなかった。自分に対して、何をやってるんだって・・・」と悔しがった。

試合後、ペトロビッチ監督から「ナオキだからこそゴール前に走り込むプレーが出来たんだ」と言われたそうだが、そこで満足しないのが、山田選手である。決めたいのに、決められなかったゴールだから、悔しさが募る。悔しさがあるから「次は絶対に決める!」と闘志を新たに燃やした。

その闘志が「ゴールへの執着心」となり、勝利への道となる。勝利こそがサッカーの最高の喜びであり、山田選手が拘るサッカーの楽しさがある。長い怪我から復帰した山田選手は、今、ようやく明日に繋がる扉の前に立った。それは、来年のロンドンオリンピックに繋がる扉かもしれないし、3年後のブラジルW杯に繋がる扉かもしれない。山田選手なら、必ずその扉を自らの手で開く事ができるだろう。「何年後かに、あの怪我をして良かったと言える日が来る事が楽しみ」と山田選手は笑った。

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