浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「自分の拘りー山田暢久」(9/10)

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

自分の拘り ー 山田暢久

多かれ少なかれ、人にはそれぞれの拘りがある。山田暢久選手はおもむろに立ち上がり、ロッカールームから大事そうに1足のスパイクを持って来て見せてくれた。「何故かこのスパイクは捨てられないんだよなぁ」と愛おしむように白地に赤ラインのスパイクを見つめて呟いた。そのスパイクは、綺麗に磨かれているものの、穴の開いた所は何度も縫い合わさり、剥がれた側面は接着剤で止められていた。プロ選手はメーカーと提携しているので、スパイクに不自由する事は無い。いかに、山田選手がこのスパイクを気に入り大事に履いて来たかを物語っていた。

足に合わない靴を履いて、豆が出来てしまって痛い思いをした経験は誰にだってあると思う。プロのサッカー選手にとってスパイクは生命線のような物だ。いかに自分がプレーしやすく、足に馴染んで履きやすいか?スパイク選びは慎重になる。スパイク1つでプレーが変わってしまう事がある。足の速さが特徴の岡野雅行選手(ガイナーレ鳥取)は、とにかくスパイクの軽量に拘っていたし、ギド・ブッフバルト元選手は、ピッチにスパイクがくい込む様に6本のポイント式を、ピッチの状態に合わせて長さを変えて履いていた。

今、山田選手のお気に入りのスパイクは、6本の固定と6本のポイント式がミックスになっている。山田選手は少し照れながら「基本ポイントは履かない。でも、固定だけだと雨の日に滑るからね。滑るとみんなに悪いし、自分も嫌だ。だから固定とポイントのミックスにしたんだ。あと、中敷きは絶対に入れない。中敷きがあるとスパイクが浅く感じて、しっくりと来ない。ワセリンがあるとボールにスパイクが乗ってしまって、ボールをドリブルで運ぶ時にボールがくっ付いてくるから、ワセリンは抜く。皮はカンガルーで、最初はきつくて伸びきる感じで軽いのが良い」とスパイクに対する拘りを教えてくれた。

スパイクへの拘りは、プレーに対する拘りに繋がる。山田選手の意識の高さを表していると思うが、本人は「意識じゃないよ。自分に合うように・・・。ただそれだけだよ」と笑いながらいかにも山田選手らしい答えが返って来た。 山田選手の記憶はさだかでは無いが、2003年あたりから、ポイントと固定のミックスを使用し始めたそうだ。自分に合うスパイクを考える事が出来たのは、様々な経験を積んで来た山田選手だからこそだ。そしてチーム最年長で良い時も、悪い時も様々な経験を積んで来た山田選手は残り10試合に向けて「自分達のやる事をしっかりとやらないといけない。大丈夫だよ~って言う気持ちが一番危ない」さらに険しい表情で「相手ボールの時に、DFが良い所でボール取れたら良い。いかにコンパクトにしてボールを奪えるかが大事。FWが勝手に前からプレスをかけても駄目だし、チームとして上手く連動して闘わないといけない」話してくれた。経験があるからこそ拘りが生まれる。その拘りを持っている山田選手がチームの原動力となり、チームを引っ張って行く。

そして、最後に山田選手のスパイクに対するもう一つの拘りは、スパイクに自分の子供の名前を刺しゅうで縫い込んでいた。そこには、色んな思いがあるだろう。父として子供の名前に恥じないように、守るべき家族を背負ってピッチに立つ山田選手の姿がある。

Photo by (C) Kazuyoshi Shimizu

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