浦和フットボール通信

MENU

VIPインタビュー:浦和4校の重鎮OBが語る浦和サッカー(11/10)

たとえ浦和レッズが低迷しようとも、フットボールは続く・・・・。それが我らがURAWAの矜持。
終戦直後の昭和20年代から50年代まで、全国を席巻したサッカー王国の寵児たちが秋たけなわの「西高」のピッチに帰って来た。11回目を迎えた浦和「4校サッカー部OB交流会」の模様と、往年の名手たちの声をリポートする。(浦和フットボール通信編集部)

「浦和を制するものは全国を制する」という言葉が生まれるほどの歴史がこの街にはある。その言葉を支えたのが、浦和4校の浦和高校、浦和西高校、浦和市立高校、浦和南高校である。浦和高校の昭和24年東京国体優勝を皮切りに、昭和32年には、浦和西高校が全国制覇、昭和34年に浦和市立が東京国体に優勝。昭和42年に浦和南高校が埼玉国体で優勝を果たし、浦和の公立4校が全国優勝を何度も獲得をしてきた。しかし浦和勢としては昭和52年の浦和南の全国制覇以来、埼玉県勢としても昭和56年の武南高校の選手権全国制覇以来、遠ざかっている。そんな埼玉、浦和の高校サッカーの復活を期待し、支援していこうと企画されている「第11回浦和4校サッカー部OB交流会」が、10月23日に浦和西高校グラウンドで開催された。4校で活躍した往年のプレイヤーが集結して、劣れぬテクニックを披露するなど、会は大いに盛り上がっていた。この交流会では、Aチーム(50歳以上)とBチーム(35歳以上49歳以下)のカテゴリーに分けられて、それぞれが4校の頂点を目指した。Aチームは浦和市立が連覇。Bチームは浦和高校が連覇した。
今回の会に参加した現役時代は4校で活躍をして、今でもサッカー界で活躍するOBの皆さんにもお話をお伺いした。

柴田宗宏さん

浦和高校2,3年時にアジアユース日本代表。
読売サッカークラブ設立に寄与。浦和高校サッカー部監督として、インターハイ3回出場。
埼玉教員チームの選手、監督として5回の国体優勝など

今年でこの交流会も11回目になりますが、流れが変わってきたね。最初の頃は、絶対的な力をもった浦和市立が年齢を重ねても素晴らしいサッカーを展開していて、まさに浦和の歴史をそのまま物語っていたのですが、このところは35歳以下から49歳までの分野では浦和高校はその年代で3連覇している(笑)。現役の頃は良い成績を残していないけど、この年令になって強くなってきた。これも面白いね(笑)。
今回の高校選手権にまだ残っているのも市立浦和だけで、浦和南も西高も浦高もベスト16に残っていないということで、寂しい。この会もOBの親睦を兼ねているけれども、現役がいかに強くあるための会であるので、彼らにも頑張ってもらいたい。浦和がもう少し高校生レベル以下で頑張って、色々な大会で頑張ってもらうことが埼玉全体の盛り上がりに繋がる。高校生の選手が、レッズやアルディージャに良い選手を獲られるから、良い選手が集まらないと高校の先生が話をしますけど、千葉も静岡もJリーグクラブも持っていて、同じ条件でも千葉と静岡が全国優勝をしている。インターハイでは、千葉は2チームが優勝を争っている現状がある。埼玉は私学、県立と選手が分散するという状況があるということを含めて難しい問題はあるにしてもやり方があるのだと思うよ。埼玉県の高校サッカーの強さが蘇らないと、我々が盛り上がるほど、現役の人の停滞と話が逆になってしまうなと思っています。

遠山茂さん
埼玉県シニアサッカー連盟会長
浦和西高校では、元日本代表川上信夫さんの一期上として、活躍。

この交流会は11回目ということで、毎回、浦和のサッカー文化を感じますよね。浦和におけるサッカーは、当たり前のものですよね。サッカーの街というものが根付いていると思います。今日は、1都7県が集まる関東シニアの60、65、70大会というものが熊谷で開催をされているのですが、埼玉県もシニアの方がボールを蹴り続けていますよ。実は、東京が一番多くて70歳以上の人もすごくボールを蹴っています。埼玉もそこに混じって60歳以上が交流をしています。4校のOBでもシニアになってボールを蹴っている方が多いですね。今、そこでプレーをされている市高OBの坂村さんは、サッカー協会でマッチコミッショナーをやっていらして、現役時代は、とてもテクニシャンで、ユース代表に選ばれて、あの方のプレーは凄いと尊敬をされていた人です。あの年代の市立は、落合弘さんもそうですし、凄い選手が多かったですよ。

浦和も高校を強くしていかないということでは、子供の時代からの強化が必要でしょうね。僕らは、仲西駿策先生が高3の時に赴任されてきて、どうやって相手を欺くかという術などを初めて教えてくれた先生ですね。それまでは旧制中の出身者の藤波先生で、青竹をもってすごく厳しく指導されていましたね。今の浦和西高校も先生がとても熱心で、良いチームになりつつあるそうですよ。OBの役割としては、お金の面でバックアップできれば良いかなと思いますね。浦和西高校には女子チームもあって、今日エキシビジョンで参加してくれている女子チームはこのエリアではすごく強いそうですよ。

星野隆之さん
埼玉県サッカー協会副会長
母校である浦和高校、浦和南高校でサッカー部を指導。高校選抜の遠征で、中村俊輔、本山雅志も指導している。

このような会で、サッカー文化のある浦和に浦和レッズが来ているんだ、ということを理解してもらわないと困るね。我々はサッカーに対して誇りを持っているので、そのクラブが勝った、負けただけではなくて、我々の誇りの象徴として存在して欲しいと思っているんだよ。ここにいる人達はみんな全国優勝をしている人ですから、みんなライバルでもあるし、良き仲間である。僕が浦和高校に入学時に、浦和高校から市高が全国に出るようになって決勝、準決勝であたっては負けていました。だから本当のライバルは浦和市立だと言っているんだけどね(笑)。

一年に一回集まって、昔話しをしたり、サッカー談義があったり、現役の残念な姿を嘆いたりね(笑)。みんなサッカーの話しかしませんからね。本当にみんなサッカーが好きなんだと思います。色々な仕事をしている人もいるので、サッカーを通じて仕事の繋がりも出てくるでしょうね。私は高校の教員をやっていて、最初は浦和西高に赴任して、その後、水沼が2年生の時の浦和南にも行き、最後は母国の浦和高校に帰ったんですね。ですから、ここに来ると教え子も多くいるんですよ。この会の他に35歳以下の交流会もやっていて、それをこの会に繋げていきたいという思いもあります。OBとしては、現役の浦和4校の選手達には頑張ってもらいたいね。あちらこちらで、浦和が出てこないと埼玉は寂しいと良く聞きます。入試の面もあって公立などは色々と難しいこともあるのですが、良い選手が集まった所が勝つというのであれば、面白みはなくて、はじめから予選などをやる必要はないわけですから、公立高校は公立高校のサッカーのやり方があると思うので、その中で勝っていけば良いと思います。埼玉の全国制覇は武南以来ないですからね。他の関東圏は、色々な高校が出てくるのは神奈川くらいで、千葉などは市船、流経と集中しているから、埼玉は戦力の分散という問題もあるのかもしれないな。

指導者の育成については、プレミアリーグの会場責任者で行った時にレッズの方とお話をしたのですが、ユースチームは一日に2時間しか子供たちと接する機会がないので、技術戦術の練習が必然的に多くなると、個人的にユースの選手は、フィジカルの面以外での強さ逞しさが足りないのではないかと思っていて、自分達のペースでやっているととても良いサッカーができるけど、思うように出来なかったり、点を獲られた時に、ひ弱な部分が見える。逆に高校はその部分ですごく頑張れる。高校は一日中の付き合いがあって、生徒を一日見られるので、理不尽な練習が出来るので、心の強さ、人間的な成長も含めて鍛えることが出来るからこそだと思います。そう考えるとJクラブのユースと高校で、お互いに学べるところはあるのだと思うのだよね。全国を見ると、埼玉の子は全体的に、逞しさが足りないという気がするね。サッカーを勝つ上で、技術、戦術がないと話にはならないけれども、逞しさも必要だと思うね。この前に浦和高校が、レッズのユースと練習試合をしていましたけど、止める、蹴るの技術差はあるので、途中からは圧倒されていましたけど、それまではゲームになっていました。それが表れていた試合じゃないかな。プロの指導者が教えることも良いのだけど、教員あがりで、きちんとサッカーを指導してきた人をチーフで入れて、サッカーを通じた人間教育、サッカーを通じて大人にするということも必要なのではないかと思うね。プロの選手はサッカーが上手いだけではダメなわけだからね。

ページ先頭へ