浦和フットボール通信

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浦和への伝言2011 大原ノート – vol.9 プラネタリウム

浦和一女高OGのおふたりが、駒場~大原~浦和美園を巡る郷土の自然や史跡を楽しく散策します。

今回は聖地「駒場スタジアム」の隣のあのドーム、皆さんも気になっていたでしょう? 駒場にはもちろん何度も行っているけれど、あの建物には入ったことがなかったのでお伺いしてみることにしました。正式名称は「さいたま市青少年宇宙科学館」。「青少年」って名称に入っていますけれどもちろん誰でも入れます。おりしも12月10日、今夜は皆既月食、11年ぶりの天文ショーがあるというタイミングで行ってきました。



ついでに駒場スタジアムの近況をご報告すると、すでに改修工事の大半は終了したらしく、隙間からは新しい緑の芝生とそこに丁寧に水を撒いている人の姿が見えました。とはいえ外観に変化はなく、駐車場も試合のない日はがらんとして人気もなく、ああそうだなあ、レッズが来る前の駒場はいつもこんな感じだったなと思い出しました。今はきれいに整備されたサブグラウンドも、かつては土の、グラウンドというより空き地のようなもので、中学生のときここで一度運動会をやったと記憶しています。どんな運動会だったかは全く覚えていないのですけれど。

そんな場所にテレビの中継車やクルーが出入りし、赤い人があふれるばかりに詰め掛けるさまを最初に見たときは、サッカーの勝敗よりも「駒場」が華々しい場所になっていることに感動してしまいました。

そのお隣の科学館ですが、開館昭和63年(1988年)5月ということはレッズよりちょっぴり年上ということですね。翌年が平成元年といえば分かりやすいでしょうか。私が青少年年代だったころはもちろんなかったわけです。さらに今回お目当てのプラネタリウムは、平成20年3月にリニューアルされたハイブリッドプラネタリウム(光学式投影とデジタル式投影機が融合したシステム)。「市立小・中学生を対象にした学習投影に特色があり、小学4年生と中学3年生は、直径23メートルのドームに映し出される学習用オリジナル番組を見て天文学習を行う」とホームページにありました。


そんなすばらしい施設なのですが、上映前から私と黒木カメラマンの心配事が一つありました。暮れ行く夜空にリクライニングシート、星空にマッチした癒し系の音楽、ようやくJ1残留を決めた安堵感(関係ない!)、ああ、羊を数える間もなくやってくるのは。「寝たら起こしてね」が二人の合言葉だったのですが。

杞憂に終わりました! その夜の皆既月食の予習あり、すばらしいオーロラの映像あり、50分間があっというまでした。なによりも楽しいのは臨場感。座席は南の空、つまり駒場競技場の方角を向いています。左手に駒場スタジアム、右手にサブグラウンド、遠景に浦和の街、大きなドームを取り去ったらそこから見えるであろう風景がちゃんと再現されているのです。その上を「当館自慢」の1千万個の満天の星がめぐっていきます。現実の浦和では見ることのできない、あまりに多すぎて覚えた星座も分からなくなるくらいの星々。

「聖地」の上をめぐる悠久の星辰。永遠の一部を束の間共有して旅して、去っていかなくてはならない命。私たちが一喜一憂する現実のはかなさ。そんなものを感じる時間でした。でも、だからこそ、真っ赤なスタジアムと歓声と一瞬のはじける情熱に意味があるのだとも思うのです。

さいたま市青少年科学館には、プラネタリウム以外にもサイエンスショーや体験できる科学的展示など楽しい企画がたくさん用意されています。シーズンオフの今、「聖地巡礼」をかねて一度訪れてみてはいかがでしょう。

さいたま市青少年宇宙科学館

 

 

ももせ・はまじ
東京都生まれ。埼玉大学附属中学、浦和一女高、多摩美術大学卒業後、(株)世界文化社に入社。保育園、幼稚園のための教材企画、教材絵本、保育図書の編集に携わる。ワンダーブック等の副編集長などを経て、現在同社ワンダー事業本部保育教材部副参与。保育総合研究会会員。蕨市在住。

くろき・ようこ
川口市生まれ。埼玉大学附属中学、浦和一女高、千葉大学工学部写真光学科卒業。大学在学中から研究テーマとしていた撮影技術を生かしフォトグラファー、イラストレーターとして活躍。セツ・モードセミナー勤務を経て、現在フリーランス。川口市在。

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