浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「プロとしての選手の仕事」(1/16)

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

昨年の11月の事である。昔からフットボールが大好きで、浦和が大好きな女友達が暗い声で「来年のレッズのシーズンチケットどうしよう?」と相談を受けた。まさか、彼女からそんな相談を受けるとは思いも及ばなかった私は動揺を隠せなかった。彼女は「正直、以前みたいに浦和を愛せなくなった」と哀しげに呟いた。シーズンチケットの更新の案内も、何処か上から目線に感じてしまい、憤りを通り越して嫌気がさしたそうだ。彼女の話しを聞きながら「いつまでもあると思うな、親と金」と言うが、「いつまでもあると思うな、サポーターと金」と思ってしまった。

その後、彼女から明るい声で「啓太(鈴木選手)から携帯に、シーズンチケットの更新のお願いメールが来た!キャプテンの啓太から頼まれたら、更新しないつもりだったけど悩むわぁ」とまるで恋人からの待ち焦れたメールでも来た様な口調の電話を受けた。「えっ?」と驚き、信じていない私に、彼女は鈴木選手からのメールを転送して来た。それは、浦和レッズからのシーズンチケット更新のお願いで、確かに鈴木選手の名前でコメントが書き込まれ、シーズンチケット保有者に同じ内容で一斉にメールされた物であった。メールであるが故に、啓太からのメールではないし、本当に鈴木選手がコメントしたかも疑わしい。冷静にその事を彼女に伝えると「ちょっと、タカ・・・嫌だ。夢を壊さないでよ」と怒られてしまった。プロの選手は憧れの存在であるのだ。シーズンチケット更新の案内も、選手のコメント一つで心が動くのも理解が出来る。

昨年の12月25日 浦和の2011年シーズン最後の日であった。日曜日のクリスマスだったために、一目選手に会いたいと子供連れのファン・サポーター達が多く練習場に訪れていた。しかし、ファンサービスの対応日では無かったために、サインやポストカードも貰えない。子供達の熱い視線を感じたのかの様に山田直輝選手が、サイン入りのポストカードを手に「ささやかですが、僕からのクリスマスプレゼントです」と言って姿を見せると、歓声があがった。山田直輝サンタさんの登場で、心まで温かくなる雰囲気に包まれたのは言うまでもない。この日ポストカードを貰った人達は、より山田選手を身近に感じ、応援したくなる大好きな選手になっただろう。

プロサッカー選手の仕事は、ピッチで試合に勝つために全力で闘い、勝つために必死になって練習する。しかし、それは当然の事であり、仕事はそれだけでは無い。メディアに対しての取材対応も仕事であるし、ファン・サポーターに対するサインや写真撮影に応じる事も仕事であると思う。ファン・サポーターはチームの株主でもなければ、スポンサーでも無い。でも、ファン・サポーターが購入するチケットやグッズの売り上げは、チームにとっては貴重な収入源である事を忘れてはいけない。冒頭に出て来た私の女友達は「私は、シーズンチケットを購入する事で、浦和に投資していると思っているの。仕事の都合で全試合行けずに無駄にする事もある。スポンサー企業の出資からしたら、些細な額かも知れない。でも、私が購入したシーズンチケットやグッズのお金が、選手が試合で履くストキングの小指のつま先ぐらいにはなっていると思う」と話す。ファン・サポーターに媚を売れとは言わないが、ファンサービスの日が設定されてしまっている状況が残念でならない。設定されていると、どうしても選手がやらされている感が拭えない。山田直輝選手の様に、自らの意思で行動できれば、それはお互いにとって一番良いと思う。

「愛されるクラブづくり」と橋本社長は良く口にする。誰もが喜ぶのはチームの勝利である。そして、そこには応援したくなる選手が居る事が大事である。「愛されるクラブづくり」の一つとして、ピッチの中でも、外でも選手の行動や言動は大事である。フットボールだけをしていれば良いと言うものではない。人々に夢や希望、感動を届ける事が出来る選手が、プロであり、それが仕事なのだ。

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