浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトークVol.79(3/15)

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週末の広島戦から20年目のJリーグが開幕しました。皆さんご存知の通り、結果は0-1の敗戦となりました。敵地・広島ビックアーチには5000人近くのレッズサポーターがアウェイのスタンドを赤く染めて、今季への期待の高さを窺える雰囲気。レッズには昨年まで指揮を採っていたミシャ監督、以前所属していた槙野、柏木がいるということ、そして開幕戦ということが重なり、サンフレッチェサポーターも数多く足を運び、20世紀最大の29,603人の入場者がありました。あんなに人がいるビックアーチは私も初めて経験しました(笑)。予想された通り、海外からレッズに移籍したということで、槙野智章選手には激しいブーイングや誹謗する旗、幕。槙野選手の応援幕が逆さに掲出されたりと敵対心満々のスタジアムでしたが、闘莉王が名古屋に移籍をして、初めて来た埼玉スタジアムの5万人のブーイングに比べるとさほどのことでは……という感じでしたね(笑)。
浦和レッズのサポーターとしては、阿部ちゃんが帰ってきてくれたということで、一番最初のコールも阿部ちゃんでしたし、彼の新しいチャントも歌われて、彼に対するサポーターの期待、信頼というものを改めて感じるシーンでした。

豊田:どんなフォーメーションであろうと、いまやトップリーグの戦術は「守りの統率」から積み上げざるを得ないわけですが、その意味からも阿部の加入は大きな戦力であることを再認識しました。ただそこで得られた安定を攻撃の活性に結びつける組織プレーのバリエーションや処理スピードはまだまだという印象です。また、これはTV観戦の私が言える立場ではないのですが、現地参戦したサポーター仲間から「同志たちが客観的な立場になり過ぎているのでは?」というコメントが出ましたね。確かにアウェーにまで足を運ぶグループの中にも「選手はやり直している最中なんだから」という声があることは事実です。ただね、やはりレッズサポーターたるもの、「見守り派」に収まり過ぎて欲しくはないですよ。試合現場に近いシチュエーションでは特に(笑)。かつて無冠時代の重要アウェー戦といえば瑞穂球技場に合唱&サルトで雪崩れ込んだり、日産スタジアムの階段をコールしながら駆け上がったりのサポーターの突撃シーンを思い出します。もはや王座を争う立場にはないことをクラブともども受容したのであれば、「上の相手を食ってやる」というハングリーさをイレブンともども前面に押し出して戦って行きたいと思います。そうそう、かつて本誌で連載を担当しておられた小田嶋隆さんのコラムを編集長も話題にしていましたが、心情的には私も同意する部分が多いですね。

椛沢:試合が終わった後に、ピッチにもスタンド側にも“しょうがない”という空気が漂っていたのは気になりますね。相手に対して食らいついていこうという姿勢は、選手も我々サポーター側ももっと必要なんだと思います。小田嶋隆さんが、スポルティーバでのコラムで、「浦和レッズサポーターが心から欲しているもの」という題で、非常にうまく心情を表現されていると思いました。試合については、森保監督になってもミシャのやり方を基本的に継続している広島と同じやり方になってしまい、俗に言う“ミラーゲーム”になってしまいました。そうなると成熟したチームに歩が出てしまったという感想です。ボールが思うように運べずに、ほとんど攻撃の形が作れなかった。スタジアムで見ていても退屈な試合になってしまいました。もっとゴールへの姿勢、勝利を手繰り寄せる気持ちが見たかったというのが正直な感想です。ミシャ監督になって第一歩の試合ですから、ここから改善点をひとつひとつ修正していくしか方法はないのかと思います。今週末のホーム開幕は、昨年度チャンピオンの柏を迎え入れての試合です。昨年優勝も目の前で見せられているわけですし、一泡吹かせる気持ちで貪欲に勝利を目指す姿を見せてもらいたいと思います。

豊田:私の周囲では指定席組までを含め、ホーム開幕戦に合わせた恣意行動の計画が進んでいるようです。埼玉スタジアムで負けることの意味を重く捉えられない空気があるとしたら、ホーム浦和がそれを「見守る」ばかりでは道は拓けないでしょう。チケットはまだSB席まで残券があるとか。多くのサポーターのスタジアム参戦を希望します。

椛沢:浦和レッズがクラブ、チーム、サポーターが一丸となって埼玉スタジアムで柏を飲み込むんだという気持ちをもって戦いに挑んで、勝利を目指さないといけないですね。“新しいチームだからしょうがなかった”という試合にはして欲しくない。これから道を切り開いていくためにも、その強い気持ちは必要だと思います。

豊田:一方、五輪代表は見事なゲーム運びで曲者のバーレーンを破り、本大会出場を決めましたね。原口もアタッカー陣の軸となって縦横の働きぶり。こちらは国立競技場現地で眼に収めたのですが、寒さも忘れる爽快な勝利でした。

椛沢:浦和レッズの下部組織の選手で初めて勝ち取った五輪出場権とも言える歴史的瞬間でしたね。濱田水輝、原口元気はこの予選で逞しさを見せてくれたと思います。山田直輝、高橋峻希、岡本拓也。彼らにもまだチャンスはありますから、ロンドンのピッチを目指して引き続き頑張ってもらいたいと思います。ロンドンでは日本代表は久しぶりに日の丸の赤いジャージを来て戦うそうですから、その色に一番似合う浦和の男達の活躍を期待したいところです。

豊田:本誌『欧州通信』でマンチェスター情報を担当していたマーク・ラッセル記者からさっそく出場決定を祝う祝福メールを貰いました。本大会においてホスト国であるイギリスは4協会(イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランド)統一のイギリス代表チームが出場することが決定。よって会場も本来のオリンピック主旨に従ったロンドン都市圏限定とはならず、おなじみのオールドトラフォードでもゲームが開催されるとのこと。マンチェスターの街ではサッカー好きたちが早くも沸き返っているそうです。

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