浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「自分を信じる事~永田充選手」(3/30)

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

移籍2年目。ポジション争いが激化する中で奮起する永田充選手は何を考えてプレーをしているのか。心境を訊きました。

ナビスコ杯初戦の仙台戦で値千金のゴールを決めた永田充選手は、試合後に「ディフェンスの堅いチームにセットプレーで点が取れたのは大きい。1本目(後半3分)のCKの時、前につめれば良かったと後悔した。次、ファーサイドに来たら飛び込もうって思っていた。陽介(柏木)が良いボールを蹴ってくれたから、それが結果に結びついて良かった。実はどうしてもヘディングで決めたかった。相手DFのマークを外すためにペナルティーエリアの外に行き、勢い付けて飛び込みました。」と満面な笑みを浮かべながら、安堵の表情を浮かべた。どうしても永田選手は、184㎝の長身を生かした高さと強さで結果を出したかったのだ。

静岡学園高校時代から柏とプロ契約し、U20代表、A代表メンバーにも選出され、順風満帆だった。しかし、2005年3月ナビスコ杯FC東京戦で左膝前十字靱帯断裂の全治8カ月の怪我を負い、翌年、新潟に移籍するも、今度は右膝前十字靱帯断裂でシーズンを棒に振った。この大きな怪我以外で、永田選手が開幕戦のスタメンを飾らなかったのは、今シーズンが初めての出来ごとであった。「怪我以外で、初めてスタメンが取れず、苦しかった。俺は結果出すしか無かった。」と永田選手は胸中を語った。昨シーズン、浦和に移籍して来て、チームの内で唯一リーグ戦フル出場を果たした永田選手だったが、槙野智章選手、阿部勇樹選手の加入により厳しいポジション争いを強いられた。練習では、3DFのリベロをやったり、右のストッパーを試されたり、ポジションがなかなか固定されなかった。ポジションが固定されない中、永田選手は「ミーシャ監督は広島時代から3DFで定評がある。代表の2人がDFに入って・・・。あと1枚だと思った。坪さんも代表経験者だし、スピラはオーストラリア代表、水輝も伸びて来ている。ポジションを取ってやろうって思った。常に試合に出られる状況じゃない事を望んで浦和に来た。ポジションが取れなかったら悔しいし、取れたら嬉しいでしょ」と話した。指宿キャンプ前に、「俺、ポジションを譲る気ないですから、このキャンプにかけてます」と普段温厚な永田選手が珍しく闘志を剥き出しにした発言をする程、状況は緊迫していたのだ。

そんな状況の中でも、開幕戦前に非公開で行われた大宮戦では「自分自身、悪いプレーも無く、身体も動けていた」手応えを掴んでいた。だが、開幕戦はベンチを温める事になった永田選手は「正直、スタメンだと思っていた。イラっとした」そうだ。それでも、「長い目で見て、考えて、腐っても始まらない。試合に出れば出来る自信はある」と気持ちを切り替えて、監督と仲間の信頼を勝ち取るために、愚痴も言わず自分の全てを出し切って練習に取り組んでいった。その結果、ボールを持ちだしての効果的なビルドアップ、守備ではしっかりとしたリスクマネージメントに磨きがかかった。開幕スタメンを逃したものの、リーグ第2節の柏戦でスタメン入りを果たし、柏の攻撃陣をしっかりと押さえた。試合後、柏木陽介選手は「今日の勝利の功労者は充だよ!あそこまで集中してDFするなんて、ビックリしたよ。やれば出来る奴ですよ」と冗談を交えながらも永田選手のプレーを嬉しそうに称賛した。だが、永田選手は「ここからのパフォーマンスが大事。勝ったのが水の泡になる。どんどんプレーの質が上がるようにしたい」と身をひき締めた。だからこそ、柏戦の後のナビスコ杯の仙台戦でチームの勝利は勿論であるが、自分のプレーの結果にも拘ったのだ。そして、リーグ第3節の札幌戦でもスタメン出場し、安定したプレーを見せた。

少しでも気を抜けば、スタメンから外れる。誰もスタメンなど確約はされていない、厳しいプロの世界である。その世界で大切な事は「自分を信じる事。自信です」と永田選手は明言した。自分を信じる事が出来る選手はあらゆる面で強くなっていく。

 Photo by (C)Kazuyoshi Shimizu

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