浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「光と影、日の当たる場所へ~野崎雅也選手」(4/13)

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

今シーズン、ユースからトップ昇格した野崎雅也選手。早々にデビューを果たした同期の矢島選手を尻目に何を思いボールを蹴っているのか。たかねえが切り込みました。

光が当たっている場所には、必ず影が生じる。だが、時間が経ち太陽の角度が変われば、影だった所には必ず光が当たる。影があるからこそ光はより眩しく輝いて見える。

今シーズン、ユースからトップチームに昇格してきたのは矢島慎也選手と野崎雅也選手の二人である。最初に試合出場チャンスを掴み、光り輝いたのは矢島選手であった。浦和で育った矢島選手にとっては、埼玉スタジアムのピッチに立つ事は夢の一つであった。ナビスコ杯仙台戦で山田直輝選手の負傷により、急遽ピッチに立つ事になったが、夢だった舞台で臆する事なく積極的にプレーをして輝いた。そのプレーが評価され、リーグ第3節札幌戦の前日にミーシャ監督は「慎也はいつも100%出し切っている。仙台戦も素晴らしかった。J1リーグ戦で彼のデビューがあると考えている」と明言し、そして札幌戦でスターティングメンバーとして起用し、続く川崎戦でも果敢にゴールを目指す矢島選手がいた。当然のように、矢島選手はメディアから脚光を浴びた。

一方、野崎選手は、11対11のゲーム形式練習になるとメンバーから外れ、天野コーチや堀コーチの下で数人の練習となり、自分の課題と取り組みながらひたすら汗をかいていた。同期の活躍が嬉しくもあり、羨ましくもあり複雑な気持ちだろうと勝手に心配していた。だが、野崎選手は目を輝かせながら「嬉しくて、刺激を受けています。」と素直に喜んでいた。そこには、嫉妬も妬みも全く感じられず、一本芯の通った力強さがあった。「中学生のころ、身体が小さくてユースに上がれないかなぁ・・・って思っていたら、中3で背が伸びてユースに上がれた。でも、ユースに上がっても何も出来ない日々が続き、それでも、ユースでキャプテンを任された。今思うとマイペースだが、努力をしていたと思う。最後まで練習し、最後にボールを片付ける。居残り練習を嫌々やるのではなく、やりたい!楽しい!って思える事が僕の強みなんです。」と教えてくれた。人と自分を比べても何もならない。自分自身を見失わず、努力は必ず報われる事を知っている野崎選手だから、芯の強さが生まれたのだ。

その姿勢は、プロになってからも変わらずにいた。矢島選手が、札幌に向かうその日も、野崎選手は「壁打ちは、1人でも出来るし、蹴り方を色々と変えて、こう蹴ったら、こう行くって・・・」と考えながら1人でただ黙々と壁に向かってボールを蹴っていたのだ。その姿を見た時に、元日本代表ジーコ監督が「1%の才能と99%の努力が大切だ」と話してくれた事を思い出した。FKの名手と言われたジーコ監督は現役時代に、自分が納得行くまで1人で居残り、FKの練習を重ねていたそうだ。野崎選手も努力を苦と思わないし、努力する事を惜しまない。Jrユースからユース、そしてトップチームと昇格して来たのは努力の賜物であった。
将来どんな選手になって行くのだろうか?楽しみである。本人に尋ねると「時間がかかっても、確りとレベルアップして長く活躍出来る選手になりたい」と話す。まさに、下積み生活の中で努力を積み重ねて行く大器晩成型である。メンタル的な強さがないと大器晩成にはなれないが、野崎選手は「迷う時も、不安になる時もあるけど・・・自分の可能性を信じる事です。」と気持ちのブレは無い。

光り輝くためには、影は必要不可欠である。影の時に、何を思い、考えて行動をするのか・・・。影は、日の当たる場所へ行くための大切な時間。努力は決して無駄にはならない。今はまだ、影に隠れている野崎選手だが、ピッチで光り輝く時は必ず訪れる。

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