浦和フットボール通信

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第2回URAWA TOWN MEETING レポート(2)

レッズサポーターを前に橋本光夫・浦和レッズ代表が公開インタビューを行って話題を集めたURAWA TOWN MEETING。その第2回が5月9日(水)夜、「Cafe砂時計」にて開催された。今回テーマは、レッズ戦の観客動員減少、ホーム浦和の応援熱の低下などを受けた「浦和の街、スタジアムが盛り上がるためには?」―――。

誕生から20周年を迎えたクラブ、サポートするサポーターとホームタウンの意識共有を図ったミーティングのコメント詳細を2号連載でお届けする。

■ゲスト:畑中隆一事業本部長、須藤伸樹運営部部長、丸山大輔マーチャンダイジング部課長、相良純真(URAWA POINT)
■司会:椛沢佑一(浦和フットボール通信)

椛沢:ホーム浦和の街中にある現行のオフィシャルショップ「レッドボルテージ」も、創設から長い時間が経ちました。クラブはどのような存在と捉えているのか、また今後はどのようなショップにしていきたいとお考えなのでしょうか。まずは頂いたご意見を紹介します。

◎総論とすると、グッズ以外でファン・サポーターに提供できる場所になってほしい。特に年間シート保有者に還元できるようなお店になってほしい。例えば2万人程度のアウェイゲームチケットを入手することはいまだに難しい。年間シート保有者でチケット交換ができるような交友の場になってもらいたい。

◎カフェ併設してください。今どき、本屋だってカフェと提携してます。別会社でいいんです。試合の映像流して、レッズやフットボールに関する本を読めるようにして。おばさん、すぐ疲れちゃうので。今のボルテージはレッズからサポーターへの目線しかありません。サポーター同士を結びつける場所の提供をお願いしたいです。サポーターからレッズへという方向も企画して欲しいです。たのしい形で。たとえば人気商品への投票みたいなものでも。選手には申し訳ないけどシーズン前、ユニフォームのナンバー別予約状況の公開とか。これは双方向の情報公開でしょ? 自分のご贔屓の選手のユニフォームがいまいちだったら、少々デザインが気に入らなくても予約しちゃうかも! 買わなくてもボルテージに行くと知り得る情報があるというふうにすべきです。

◎通勤のために必ず透りますが、都内勤務者が多いので19時Closeでは、ちょっと早いかなと思います。いつも帰宅時には閉まっているので。

◎常に過去の試合映像を流す。それをオフィシャルで番組表のように予告しておく。など。

丸山:まず貴重な数々のご意見を頂き、僕自身も新鮮です。こういった意見を頂けることをありがたく思っています。レッドボルテージですが、クラブが考えているのは浦和レッズの“グッズショップ”という観点だけではいけないということ。グッズ、チケットが買えるのはもちろんですが、コミュニケーションスペースがあるとか、“浦和レッズのショップ”ということで、存在価値をあげて、ホームタウン、ファン・サポーターの方々に喜んでもらえるスペースにしなければなりません。ご意見を頂いたシーチケホルダーの方への特典やシステムを考えないといけませんし、今、レッドボルテージにもお店のポイントカードを採用し、今季より試合に勝った翌日はポイント2倍というキャンペーンを実施中。多くの方にご来店頂いています。アウェーゲームのチケット販売については、Jクラブの現状として、ビジタークラブが相手クラブの開催試合チケットに首を突っ込んで販売するというケースまでは成熟していません。よって時間はかかるかと思います。年間シートのチケット交換については、譲渡の仕組みも出来た中で以前のようなチケット譲渡掲示板のようなものが必要かと思います。時代に沿った中で、レッドボルテージが貢献出来る部分はないか考えていこうと思います。閉店時間については、隣の須原屋さんも20時まで営業しておられます。レッドボルテージもテストケースではありますが、リーグ戦の前日は20時までの営業時間。色々な施策を打ってその状況を見ながら、コンスタントにお客さんに来て頂けるようであれば、遅くまで営業したい方針です。

丸山大輔マーチャンダイジング部課長

椛沢:レッズの存在自体が、コミュニティを媒介する存在というか、浦和の街中でもレッズを通じて、コミュニケーションや会話ができることが多い。レッズを通じたコミュニティを皆さんが欲しているのかと思います。昔は、相良さんのようにお店にずっといて、知り合いにあうためにお店に来る人もいたと。その辺りのお話を相良さんにして頂ければと思います。

相良:今まで、色々と意見を聞いて思ったりしたのは、僕がゴール裏を引退してから客観的に色々見た中で、すごくクラブに対して、こうしてくれとああしてくれという依存が多くなったこと。一緒に作っていこうという気概を今は感じないのです。当時のレッドボルテージは、僕とか吉沢とかクレイジーコールズのメンバーや色々な人間が必ず誰かいたんです。僕も若くてヒマだったので、オープンから一日中いたこともある(笑)。そうすると誰かに会えるかもしれないという期待どおりに色々な方が来るわけです。で、前の週の試合の話とか、次の週の試合の話を初対面の人とずっと一日中レッズの話をすることになります。するとそこにまた人が集まってきて、人の輪が拡がって行きました。当時は浦和の街を歩いていると浦和在住でもない人が、誰かに会うために意味もなく歩いているケースがあったんです。今は試合が終わると帰ってしまう。僕の印象ではチームばかりではなく、浦和の街に対する愛情さえ薄れて来ている感覚があります。これは一人ひとりの気持ちの問題で、今までなら提案してきたことを解決できてしまう要素もあるのだと思う。みんなでこのチームを盛り立てて行こうと、みんなで浦和レッズを創ろうという意識がないと解決しないと思いますね。これからもレッドボルテージで、どんどん知らない人とコミュニケーションを取れば良いと思うんです。僕が一日いてもいいですけど(笑)サッカーの話を普段からしたい人が多いと思うんですね。その点においてこの街は特別。レッドボルテージが中心にあって、そこをコミュニケーションの場所として活用してもらって、そこから街に出てもらって、浦和を好きになってもらって、全体で浦和レッズを支えていこうという気持ちになれれば……。これが理想の流れと思います。

相良純真さん(URAWA POINT)

椛沢:レッドボルテージが街の商店との接点にもなり得るのではないかという意見もあります。今回この場所を提供して頂いている越智田さんからもご意見を頂ければと思います。

越智田さん:砂時計の越智田です。以前も街の意見として提案したことがあるのですが、街の逸品、例えばうちの珈琲とか酒井の奈良漬けだったり、白鷺宝だったり、せっかくレッズで浦和にきたお客さんに対し、レッドボルテージでも浦和のおみやげを買えるように出来たら良いと思います。レッズから商店会でポスターを貼って下さいというお願いは来るけれども、逆に商店街のイベントのポスターをレッドボルテージに貼って下さいといった時になぜ貼らないといけないのかというニュアンスを返されたことがあります。レッドボルテージも商店会の会員のひとつとして、街と一緒に同じことができるというスタンスがあれば、この街に存在して一緒にやっているんだという雰囲気がもてるのではないかと考えます。商店会の副会長としての意見です。

畑中:そのようなことがあったとしたらすいません。確かにレッドボルテージはこの街の商店会の一員ですから、そのようなことも検討しなければならないでしょう。お店で置けるもの置けないものについては検討させてください。再来年には、浦和駅に東西連絡通路が出来て、そこのパブリックなスペースなどで、街と我々を含めてシンボルになるようなものも作っていけないかと考えています。

椛沢:オフィシャルグッズについての意見も頂いています。以下、ご紹介します。

◎もっとおしゃれなグッズが欲しい。仕事でも使えるもの。前面にレッズが出過ぎない感覚のもの。

◎街中で気軽に着こなせるイメージはない。もっと、一般のブランドメーカーと積極的にタイアップをしてもらいたい。

◎好き嫌いはあるがデザインが年々冴えなくなっているように感じる。生活用品に幅を広げるチャレンジはあったが、詰めが中途半端。ウェアやグッズも同様だが全体にロゴをくっつけた程度の商品が多すぎる。企画力が弱いと陥りやすい状態で、個性が打ち出し難くなってきている。試合当日なら気にならないが、普段の生活の中で「浦和レッズ」を纏うアイテムとしてはURAWAPOINTの商品の方が圧倒的にクオリティが高いと感じる。購買層(特に40代以上)に絞って狙い撃ちする企画等もあって良いのではないか。クラブでは商品開発計画をどのように行っているのか是非聞いてみたい。

◎ゴルフグッズなんか需要があると思う。選手やクラブ関係者にもゴルフをやる人は多いはず。以前、マーカーがあったけど、ピン、クラブカバー、ボールなど…ゴルフ用品は個性も重視されてるので面白いと思う。

◎赤ちゃん向けグッズなどどうでしょう。自分以上に子供や孫にはお金を使いますよ。選手がインタビュー時に着ているジャージ類ゴルフバッグなどNIKE契約の海外クラブが出しているような商品。

◎もっと「浦和マダム」「浦和ダンディー」向けの商品、考えてください。年齢高いサポは可処分所得も高いんです。あとはもっと子どもたちに向けた商品を。具体案はあるけれど、それは直接お話したいです。ともかく、ターゲットイメージをもっと広げて、かつ明確にして商品を考えないと、サポは買いたくても買い続けられません!

◎選手アイディアのオリジナル商品。以前啓太さんや永井さんが行っていたような商品があってもいいかなと思います。それよりオフィシャルサイトの不親切さのほうが直すべきかと思います。

畑中:レッズも「日常が浦和レッズ」ということで、「ライフ」という商品群を作ったりしてきましたが、市場がどのくらいあるのかという話もあって、いろいろと検討しているところです。レッズの一番の強みはスタジアムで応援するアイテムを提供するということだと考えていて、クラブとしてはエンブレムを使った応援グッズがベースになると考えています。そういう中でも、パイが小さくてもレッズのエンブレムを着こなしたい方がいらっしゃいますので、ベビー用品とか、そのような意見を小ロットでも出来るようにして、色々なニーズに応えていきたいと思っています。皆さんが絶対的に欲しいというものがあれば、我々の方でも受け入れてやっていきたいと思います。

丸山:週に1回商品企画の会議をやっていまして、店舗スタッフもお客様の意見に耳を傾けて、積極的に意見を取り入れています。今回頂いたご意見はほとんどその通りだと思っています。そのようなことを感じながら、我々も取り組んでいるところですので、これで、これから半年後とか1年後とか何も変わらなかったらお叱りのご意見をください。今現在、ひとつひとつ意見を吸い上げながら取り組んでいるところ、という経緯はお知らせしたいと思います。

参加者:ファン・サポーターからこんなグッズが欲しいというアイディアコンテストがあっても良い気がします。

丸山:そのような会をやるのが良いのか、継続的にご意見を頂くのが良いのか、ということはありますが、手段のひとつとしてありかなと思います。現状は恒常的に吸い上げるということを強化してやっています。

松本:現在は広報部におりますが、以前はレッドボルテージの担当をやっておりました。それで責任を感じているところがあります。確かに90年代と比べると、お店でのコミュニティとしての機能がなくなってしまってきている印象がある。レッドボルテージはグッズをただ売っているところではなくて、浦和レッズ、浦和の街、サッカーを語り合えるような空間が理想であり、それをこれから創りだしていかないといけないと感じています。

松本浩明広報部部長

椛沢:世の中の流れもあって、インターネットで交流ができやすくなった分、face to face
の関係が薄れて来ていると思います。しかし最近は、ネットを介してリアルでの関係が深まるようになってきてもいます。この浦和タウンミーティングもface to faceの関係を再度創ろうということでスタートした企画ですから、やはりそのような関係性が今重要なのかと思います。最後に質疑応答を受け付けたいと思います。

参加者:人を戻すという意味では駒場スタジアムの開催は考えているのでしょうか。

須藤:現状では開催するとなると平日のナビスコになるかと思っています。ネーミングライツもあって、今後、駒場をどうしていこうかという話をクラブ内部でもしていますが、まだ結論は出ていない情況。今後導入されるクラブライセンスの問題もあってハードルが高い中で、開催についてはまだ具体的な話が出来ていません。

参加者:浦和のシンボルは伊勢丹と須原屋だと思っているのですが、例えば伊勢丹の催し会場で、レッズのイベントをやるとか、デパートは文化の発信地でもあるので、うまくコラボレーションして出来ることはあるのではないかと思います。

畑中:イベントについては伊勢丹さん、パルコさんはレッズと一緒にやりましょうとの進言をいただいています。パルコさんではシーズン前にトークショーをやったり、伊勢丹さんはレッズ展をやってくれたりといういい関係があるので、街の中でやることは引き続きやっていきたいと考えている。我々としては、節目でないと催事場を借りられないので、駒場のネーミングライツを得た時に駒場に浦和レッズの原点を見に来てもらう仕掛けを作るとか、そのようなことが出来ると思います。シンボルになる伊勢丹さん、パルコさん、そしてスタジアムの協力を頂きながらレッズがどう街の中で関われるかも考えたい。20周年を迎えて、今までのクラブと町の関係と経緯をどう伝え、どう進んでいくかということはテーマですから。須原屋さんも浦和のランドマークだという話がありましたが、須原屋さんもレッズを応援してくれていますし、レッドボルテージの隣ですから一緒に街のために取組んでいきたいと考えます。

椛沢:最後に畑中本部長からご挨拶を頂ければと思います。

畑中:今日の目的は、みなさんから色々な話を聞いたり、クラブの現状を知って頂くということ。ほんとうに有意義な会となり、感謝しております。このようなコミュニケーションは大事だと思っています。創立20周年を機にファン・サポーター、ホームタウンに感謝することと同時に、関係を再認識して、次の10年、20年に向かっていくという決意の中で活動を進めていきます。これからもこのようなコミュニケーションを継続的に続けていきたいと思っています。またこれをきっかけに皆さんと色々な場所でコミュニケーションがとれれば良いと思っています。このような機会を作ってくれた地域に密着したタウン誌である浦和フットボール通信さんと、場所を提供して頂いた砂時計さんに感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

椛沢:開催スペースを提供頂いたCafé砂時計の越智田さんからも締めのお言葉を頂きます。

越智田:私はさいたま市商店会連合会というさいたま市全体の商店会会長さんが集まる会の理事をやっております。折しも今日、商店会の理事会があったので、最後にお話をさせてください。色々なお話があった中でレッズに関係した議題も出ました。レッズが20周年ということで街頭用のバナーやポスターを各商店会長さんにお渡しし、レッズと一緒に街を盛り上げていきましょうということで、今季レッズさんから一式を頂いたのです。しかし実際に各商店会にバナーが届いたケースで、現状では「誰が掲示作業をするのか」という問題になるのです。商店会は高齢化が進んでおり、高い所に貼りだすとなると業者を頼んでやらないといけないところが多々あります。その時は商店会の微々たる会費を使ってやらなければならなくなる。「なぜ商店街が浦和レッズを全会一致で応援しないといけないのか」とのご意見もありました。会員は全部が全部レッズが好きなわけではないのです。我々の商店会の中でもアンチレッズが半分以上いるのが現状。それはレッズとのコミュニケーションが取れないという理由もありますし、サポーターが騒いで迷惑するという意見もあります。街の中で商売をしているという立場は365日ここで生活をしているという立場です。レッズが年間20試合くらいあるとして、皆レッズが好きなのだから、その時は何をしても構わないという意識の方がいるとしたらそれは反発を招くでしょう。レッズと街のお互いが切磋琢磨してコミュニケーションをとり、より良い方向に向かうこと。それがクラブの在り方ではないでしょうか。ただ個人的にはレッズが来てくださったおかげで人と人が広く深く繋がった。それはすごい財産だなと思います。私の息子がハートフルに入ってレッズのユニフォームを着てこの商店会を通った際には、近所の方々が「珈琲屋の息子がレッズに入った。頑張れ頑張れ」と非常に盛り上がってくださいました。この街の子どもたちにすれば、浦和レッズのユニフォームを着ることにはそれだけのプレッシャー、重圧がある。息子などは「もう着たくない」とこぼすほどに責任を感じるわけです。浦和レッズはそういうチームであるということを選手の皆さんに深く理解してもらい、プライドと責任をもってあるべき進路を目指していただきたいと考えます。

≪2012年5月9日 浦和『Cafe砂時計』にて≫

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