浦和フットボール通信

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「レッズ2012月刊ライブディスカッション」Vol.4前編

レッズ密着取材を続ける河合貴子氏に、本誌・椛沢編集長が浦和レッズの現状や選手達の思いを毎月訊く「レッズ2012月刊ライブディスカッション」。前半戦を終了して、進歩の過程と課題もはっきりしてきた所で、つかの間の中断期間に入り、浦和レッズは、現在どのような状況なのか。お話をお訊きしました。(浦和フットボール通信編集部)

Photo by(C)Kazuyoshi Shimizu

椛沢:ここまでの試合を見ても課題がはっきりしていると思います。同じような失点シーンが目につきます。ひとつは、得点をした後に、失点をする展開が多い。もうひとつは、セットプレイでの失点が多い。この2つの部分の課題がなかなか改善されず、鳥栖戦ではその2つで予選敗退に繋がる試合になってしまいました。これは目指しているサッカーとは別のベクトルの問題なのでは?

河合:鳥栖戦も同点弾を決めた後に、同点に追いついたら逆転を狙えるリズムなはずなのに、逆に受けに入ったことで、逆に相手に逆転を狙いに来られて決められてしまった。

椛沢:得点をした後に、受けに入ってしまう姿勢が今季はずっとあるような気がします。清水戦でも点を決めた後に10人相手の清水に押し込まれましたが、1点を守りきれました。FC東京戦では、終了間際の値千金のマルシオのゴールを決めながらもセットプレイからすぐに追いつかれてしまいました。

河合:そういう意味では、同じ形が続いていますね。良い流れの時間帯と悪い流れの時間帯で、悪い時にどう変えていくのか。選手交代で流れを変えるという手もある。昔で言えば苦しい時間帯で、岡野さんを入れて岡野さんを走らせて流れを変えるということがあった。今は、守ってカウンターというチームではないから、同じことは言えないと思いますけどね。

椛沢:今の守り方はリトリート戦術で、一回引いて守るということがあるので、その守り方によって押し込まれてしまうことがあるのではないかという気もしています。

河合:引いて守るにしても、下がり過ぎなんじゃないかな。全体的に下がりすぎてセカンドボールも奪われてしまって押し込まれてしまっていると思う。

椛沢:ミシャさんの中には、前からプレッシャーをかけるという守り方は考えの中にはないんですかね。

河合:守り方は、これから変化していくという発言はミシャさんもされているので変化する可能性はあるのかもしれない。失点は崩された形よりもほとんどセットプレイでの失点が多い。コーナーキックからの失点も個人の意識の問題、駆け引きの問題でもあります。選手もセットプレイは個人の問題でどうにかなるということを言っています。

Photo by(C)Kazuyoshi Shimizu

椛沢:少し気になるのは、選手達からは、目指しているサッカーを貫いているので、それを貫いているから結果が出なくてもしょうがないという雰囲気を感じるところがある。でも結果が出ていない要因は、目指しているサッカーを貫いているからではなくて、勝敗に変わる局面での頑張りが出来ていないということを認識して改善する必要があるのではないかと思います。

河合:ミシャさんは結果を残すための方策もすごく考えていると思います。選手も勝ちたいと思っているとは思う。コーナーキックもスローインにしてもフリーキックにしてもそこまでに至る過程。ボールの失い方も考えていかないといけない。それをしっかり精査しないと崩れてしまいます。相手を誉めるしかないプレーでの失点はしょうがないと思うけれども、それを未然に防ぐこととか、修正出来るプレーに関してはしっかりとやっていかないと、より進化をしていかないと思う。

椛沢:これを減らしていけば、逆に順位が上がっていくと思います。ずっと“レッズのつぼみ”の話をしていますけど、今はどんな状況でしょうか。

河合:まだつぼみだね。

椛沢:そのつぼみは変わっているのでしょうか。

河合:サクラじゃなくなったのかもしれない(笑)

椛沢:もう夏ですからね。

Photo by(C)Kazuyoshi Shimizu

河合:この夏場をどうするのかは、ずっと課題だと思いますね。

椛沢:それは新たな選手が出てくることが改善される方法のひとつだと思うという話をしていましたけど、ここまででそのような選手は出てきているでしょうか。

河合:良い所もあれば、悪いところもある選手がいる。峻希もそのような印象で、平川からまだポジションは奪えないぞと。他には宇賀神とか秀仁、水輝、矢島、野崎が出てきて欲しい。まだ夏場を乗り切る上では物足りないね。だから、つぼみはまだつぼみのままだと思う。今、目指しているサッカーは、簡単には咲かない。咲きそうだったけれども、レッズは安定感がない。良い試合をしたと思ったらそうでもない試合がある。

椛沢:相手が前に出てきた時には、ハマる形が多いですね。ただ、何度も言うように、内容ではなくて結果という部分では、セットプレイと試合運びの部分の改善で、出てくると思います。

河合:大宮戦のようにブロックを相手に作られた時にどうするかとか。夏場になった時に運動量が落ちてくると、レッズはどうなんだろうという心配もある。

椛沢:私は意外と大丈夫なんじゃないかと思っています。名古屋戦のアウェイは13時キックオフで、すごい暑い中での試合だったけれども、うまくレッズは試合運びをして勝利をした。あれを見て、レッズは省エネでのサッカーが出来るんじゃないかなと思いました。鳥栖や仙台のようなハイプレッシャーのチームは厳しいとは思うけれども、レッズはハイプレッシャーをせずに、引いてカウンターという展開ができるので、夏場の影響は受けにくいのではないかと思っています。

河合:平川、梅崎のポジションの両サイドハーフの運動量は厳しいだろうね。彼らが引いてばかりになると5バックになって押し込まれる展開が増えてきてしまう。

Photo by(C)Kazuyoshi Shimizu

椛沢:そこは心配な要素ですね。間違いなくサイドハーフの運動量は落ちてしまうでしょうから、先ほどの話ではないですが、バックアッパーの問題にもなってくると思います。つかの間の中断期間を過ごしていたわけですが、レッズはどのような状況で練習をしてきたのでしょうか。

河合:中断期間はずっと反復練習をやってきた。ミニゲームの中でも、展開によってどのようなプレーをしたら良いのか、細かくミシャ監督が指示をしていて、ミスをしても良いから縦に入れる意識付けの練習を繰り返しやっている。ボールの貰い方、動き出しのタイミング、パスを入れるタイミングをやっている。これが連動して出来てくると目指しているサッカーに近づいていく。今までの試合でも良く見受けられるのが、前線の選手が、4バックに吸収されてしまうことがある。ただ、前線に張っているだけではなくて、タイミングを見計らって、誰が引いて、スペースを作るか。ボールを引き出すかということが今後は出てくるのではないでしょうか。2シャドーの元気とマルシオは、お互いの関係性を考えて動こうという指示をよく言われています。

椛沢:ここからのレッズにどんなことを期待したいでしょうか。そしてレッズの花が咲くためには?

河合:インテリジェンスな選手が育っていくことですね。これは一朝一夕では出来ないことですが。選手の見極めはミシャ監督の中では終わっていると思うので、7月20日からの第2登録期間で補強の部分でもどうするのか、クラブとして、ミシャさんと必要な部分の話をして、どう戦力を充実させるかということも求められてくると思います。

椛沢:補強の噂もちらほら出てきたりもしますから、さらに上を目指すためにクラブの積極的な姿勢に期待をしたいと思います。ありがとうございました。

Photo by(C)Kazuyoshi Shimizu

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