浦和フットボール通信

MENU

【This Week】週刊フットボールトーク Vol.92(6/14)

ワールドカップ予選、そしてEURO2012

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:ホームで連勝して、敵地・オーストラリアのブリスベンで戦った日本代表のワールドカップ予選でしたが、グループ最強の敵、オーストラリアと1-1の引き分けでした。オーストラリア代表の監督は我々にはお馴染みのホルガー・オジェックが務めており、日本を熟知している相手だったと思いますが、内容としては非常に良いものだったのではないかと思います。しかし、サウジアラビア出身のカリル・アル・ガムディ主審の不可解な笛によって勝ち点を落としたといっても過言ではないかと思います。あの主審は先のアジアカップ、浦和レッズもACLの全北現代のアウェー戦で担当主審になっていて、不安定な笛を吹いていた過去もあるようなので、アジアでは起こりうることと割り切るしかないでしょう。個人的には3連勝して楽観ムードになりすぎることの方が、今後の厳しい予選を戦う上で不安要素になるので、敵地でのドローは十分な結果だったと思います。

豊田:オジェックはもちろん、何よりACLで全州でやった全北現代戦、懐かしいです(苦笑)。ゴールキーパー・川島の終了間際のセービングには思わず拍手でしたが、スロー再生を見ると動き出しの足元で滑っているようですね。やはりアウェーのピッチ上にはいろんな危険が潜んでいるということと思います。ドローはとりあえずの成果と言えるのでは? それから日本の先制点は良かったな。ショートコーナーからの崩しは熟練し、戦いなれてもいるチームのスキルがありました。長谷部のフィードは球速もコントロールも満点。本田とのサインプレーの呼吸が合っていた。ああいう連携を見ると、オーストラリアという難敵をアウェーでも確実に追い詰める力を蓄えてきた代表のプロセスを感じることができます。

椛沢:その進歩には目を見張るものがありますね。欧州で活躍する選手達の経験値の積み上げ方が代表チームのレベルを押し上げているのではないかと思います。戦術理解度を高く求められる欧州リーグで戦うことで、そのレベルも上がっていると思いますし、何より海外での経験が自信に繋がっていることがプレーに表れているように思えます。

豊田:ザッケローニ監督の采配はマルディーニやボバンといった国際級を揃えていたACミラン時代にサンシーロで観たことがあります。当時のミランはセリエ全盛時代の象徴で「世界選抜軍」みたいでしたが、個の力を組み合わせてホームで横綱相撲を演じる手法を巨大スタジアムで見せてくれました。ただ、『浦和フットボール通信』の欧州通信でイタリアを担当していた宇都宮基子さんによれば、当時のザックはイタリア右派を仕切る大物政治家オーナーのベルル・スコーニの覚えが悪く、決して居心地の良い監督業ではなかったそうです。やはり指揮官を周囲からサポートする体制作りというのは、フットボールにおいていずこの場所でも不可欠なのではないでしょうか。はるばる日本までやってきて、セリエAとはまるで違う環境とイレブンに囲まれての采配は大変な仕事と思う。最終予選は最後まで何が起こるか分からない厳しい舞台ですし、URAWAの地からザック率いる日の丸イレブンの健闘を見守りたいと思います。

椛沢:代表の進化には安心していたのですが、先日開幕したEURO2012を見ると欧州はさらに進歩をしている(苦笑)進化のスピードは日本より早いかもしれませんね。非常にレベルの高い試合が毎日展開されています。中でも“世界王者”スペインと輝きを取り戻しつつあるイタリアの対戦は面白かったですね。イタリアは可変的3バックを志向して、少しレッズの守備の方法に似ているのではないかと、河合貴子さんとのレッズライブディスカッションでも話題になりました。詳細はレッズライブディスカッションをご覧頂ければと思います。

豊田:代表のワールドカップ予選にユーロ2012と、Jのインターバル期間もサッカー好きには寝ている時間がありません。フランスvsイングランドの競り合いも見ものでしたね。マンチェスターユナイテッドとアーセナルの若手アタッカーコンビで歴戦のフランスに挑んだ序盤のイングランドの「気合い」には感じるものがありました。同じく欧州通信のイングランド担当・マークラッセルに感想を送ったら、試合の印象もそこそこに「香川真司」の漢字表記の確認依頼を返信して来ました。日本語フォントを入れて、この表記で良いのかと(苦笑)。速報記事でも地元メディアに書いているのでしょうが、最後の一文がチクリと痛みましたね。浦和レッズ出身のプレーヤーだったら凄かったのにね、って……。

椛沢:浦和の街では、香川真司が海外に行く前は、レッズ入団の噂もあったけれども、実際に来ていたら今の栄光はないかもしれない……と若干自虐的な話題にもなっていました(苦笑)。浦和レッズは束の間の中断期間を終えて、今週末から敵地にてガンバ大阪と対戦します。中断期間を使ってチームも調整を行なってきたようですから、後半戦の戦いに期待をしていきたいと思います。

ページ先頭へ