浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.96(7/12)

激戦・鳥栖戦。五輪壮行試合について

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週末の鳥栖戦は、4-3と激しい撃ち合いの試合になりました。天候が優れない中でも3万人のサポーターが駆けつけ、レッズを後押ししていました。鳥栖は今季初のJ1昇格ということで、もちろん埼玉スタジアムでの試合も初めてということで、かなりスタジアムの雰囲気に飲まれている様子が窺えました。そういう時はとにかくプレッシャーをかけるのがサポーターの役割です。そうすることで、序盤は鳥栖のいつものような血気盛んなアタックをする勢いも見られませんでしたし、なんてことのない状況でのボールロストも目立っていたように思います。
10年以上前にクラブ存続の危機となり、多くのレッズサポーターも募金をしたクラブが、J1の舞台に戻ってきて、埼玉スタジアムで戦っているというのも関係者としては感慨深いものがあったのではないでしょうか。

豊田:その話題、懐かしいですね。当時はファンにとっては寝耳に水の「横浜フリューゲルス消滅」という事態が耳目を集めていただけに、サポーターのみならず多くのサッカー愛好者が鳥栖存続のために募金をしていた記憶があります。確かにあのクラブが……という感慨があるけど、私にとってはやはりシーズン2000の「11.19」に駒場で見たサガンが忘れられません。室井市衛を退場に追い込んだ石谷吾一選手(鹿児島実業 → 鳥栖)や、そのPKを蹴って失敗したルシアノ・カルロス(大分 → 鳥栖)の後姿とか眼に焼きついていますよ。
椛沢:鳥栖といえば、J1昇格の試合でもありますね。駒場で描いた土橋正樹のVゴールの弾道は今でも目に焼き付いています。そんな思い出深い、駒場が浦和レッズによりネーミングライツを取得されて、名前は「浦和駒場スタジアム」そのままですが、公共施設としては初となるエンブレムがついてのリニューアルが行われました。その浦和駒場スタジアムを忠実に再現したペーパークラフトと歴史を振り返るブックレットが発売されまして、今回企画に参画させて頂きました。15日のレッズOB戦より発売開始されますので、是非お手元にとってご覧ください。

さて色々と話しが脱線してしまいましたが、鳥栖戦の試合は序盤から主導権を握ったレッズが、勢いそのままに梅崎がゴールに押し込んで先制点を奪います。ナビスコの対戦時に後手を踏んだら一方的にやられるという思いもレッズの選手にはあったでしょうから、逆に相手をねじ伏せるような力強さがこの試合にはあったと思います。後半も1点だけでは安心できないという思いがピッチにもサポーターにもあり、追加点を要求する雰囲気の中で、平川がカウンターからサイドを一気に駆け上がり、そのまま追加点を決めます。この頃には、雨足もどんどん強くなり、逆にボルテージが上がる中で、原口元気が3点目となるゴールを決めます。さらに原口が柏木のシュート性のボールに触って4点目を決めました。試合前から五輪メンバーから外れた原口に対して浦和で見せてくれと彼に対する大声援が続いていましたが、この期待に応えました。これで勝負があったかと思った矢先に、鳥栖に1点を返されます。ここから途切れた集中を戻すことが出来ず、ラインが下がりすぎてしまう悪い癖も出て、さらに2点を奪われて1点差とされます。しかし最後の1点は許さずに終了のホイッスル。なんとか逃げ切って勝利しました。試合は常に気を抜けないんだという良い教訓になった試合ではないでしょうか。

豊田:アッパー席での観戦でしたが、後半開始からの雨足の変化が凄かった。2階席の位置から芝の反射を見ていると、センターサークルからレッズ側に続くエリアが特にひどくて、どんどん水没して行くのが分かるんです。現地組のサポーターからも「ホームグラウンドなのに、相変わらず甘いな」という厳しい声が聞かれましたが(笑)、リードした後の繋ぎでワンクッションを入れようとした浦和DF陣にとってはちょっと気の毒な雨だったかも……。急激にボールが走らなくなるあの情況は、守りを捨ててもパスカットのダッシュに鞭を入れた鳥栖サイドに有利に働いたと思います。とにかく原口も再出発のゴールを決めたホーム戦で、追いついたりされなくて良かったですねえ。

椛沢:原口は五輪メンバーから外れて良かったのではないかと思うくらいの活躍でした。少しくらいの挫折と反骨心を呼び起こすくらいが、彼にはちょうど良いのではないかと。この気持を継続させてもっと大きな選手になってもらいたいと思います。さて、昨晩はロンドン五輪に向けた壮行試合が男女ともに行われました。レッズからはなでしこジャパンの矢野選手しか選出されなかったわけですが、国立まで足を運び、観戦をしてきました。なでしこジャパンは、王者の風格さえ感じる強さでしたね。攻守に渡り、選手たちがしっかりと組織的に動いて、その中に澤、宮間、川澄、安藤と個性もしっかり際立っている選手がいる。世界ランキング10位のオーストラリアでさえ、力の差を感じるほどの強さを感じました。五輪に向けて活躍が期待できます。男子は、綺麗にサッカーが出来るけれども力強さがない印象。本番の勝負になった時にどこまで戦えるかという不安を感じてしまう内容でした。スピードのある永井、清武、大津と前線の才能が爆発するようなことがあれば、変わってくるのだと思いますが・・・。男子は世間からのプレッシャーもない分やりやすい所もあると思いますので、伸び伸びプレーをして力を出してきってもらいたいと思います。

豊田:地元で五輪を迎えるマンチェスターのマーク・ラッセルからメールが来まして、現地ではユーロも制覇してノリノリになっているスペインと第一戦を戦う日本男子チームへの期待で盛り上がっているそうです。「イングランドは全土を上げてJAPANのサポートに廻るはず」とのコメントも付いている(笑)。相手は大した警戒も分析もしていない可能性がありますよね。ここはマイアミに続く番狂わせで、“本場の大国”に一泡吹かせて欲しい。

椛沢:一方、今週末のJは敵地新潟に乗り込んでの一戦です。前節、鳥栖との撃ち合いを勝利して、さらに勢いをつけるために連勝を狙いたいところ。新潟も監督が変わり、フレッシュな状態での闘いを挑んでくるでしょうから、それに負けない気持ちで挑んで敵地での勝ち点3を奪って帰りたいところです。

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