浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.104(9/6)

悔しい結果のさいたまダービー

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週末はさいたまダービー大宮戦が行われました。試合結果は皆さんご存じの通り1-1の引き分け。試合後はゴール裏だけに限らず、スタジアム中からブーイングが聞こえるサポーターの反応でした。それだけこの試合は多くのサポーターが内容よりも勝利という結果だけを求められた試合だったと思います。試合前には今季初となるレッズサポーターによるコレオグラフィ“ビジュアル”がゴール裏に登場しました。スタジアム中のスタンディングオベーションも呼びかけられ、メイン、バックのサポーターも立ち上がって選手を迎え入れて闘いに挑む雰囲気は満点でした。

豊田:大宮が浦和戦至上主義にこだわってくれたおかげで、ダービーらしい気概が浦和サイドにも整ってきたと感じました。埼玉スタジアム指定席も、大宮戦にかかわらずこういう雰囲気をいつも漂わせる意気込みを出していくしかないと思う。大宮戦以外の様相で見ると、どうもピッチ上やゴール裏を「客観視」するようなムードがあることが気になっているので。先日のマーク・ラッセルのマンチェスターvsリバプールの対抗心に関するコメントについて、サポーター親爺の友人から感想をもらいました。「むかしはああいうこだわりを研究して、駒場ではウチはどうやろうとか考えた。楽しかった」。過去形で終っているところが要注意。これは自由席・指定席を問わず、客席の皆で作って行くしかないのです。さっそく指摘する返信を出しましたが……。

椛沢:雰囲気にも押されて立ち上がりからレッズが主導権を握り、原口の先制ゴールまでは完璧な流れだったと思います。加えて相手のストライカー、ノヴァコヴィッチが退場しました。逆にこの圧倒的な流れが、どこかピッチにもスタンドにも今日は圧勝できるのではないかという余裕の雰囲気、隙を作ってしまったんじゃないかと思います。その後も決定機を作れど、決めきることが出来ずに、前半終了間際に大宮にワンチャンスを生かされて同点ゴールを許してしまいました。

豊田:鳥栖戦でもそうだったのですが、とりわけ大宮戦では勝負どころの流れが掴みきれません。悔しいことこの上ないのだが、ミシャ監督がいうダービー史を作る気構えを示すなら、あそこは形勢どおりのスコアに押し込む「けじめ」の成果が欲しかった。敵の切り札が退場した後ですからね。ドローということで、報道はダービー色を盛り上げるまとめ方が多いようですが、依然としてこのダービーは浦和戦至上主義にこだわる大宮……というモチーフで成り立っていると感じます。

椛沢:あの失点の場面ではシュートを逃げている選手がいるんですよね(苦笑)。試合後の不満の反応を示したサポーターに対しても頭を傾げるような仕草をしている選手もいた。厳しい見方をすれば、そんなことではダービーを制するには気持ちの部分でも物足りなかったと言わざるを得ません。ダービーにおいてはシーズンの流れなどは関係ない。この試合は、どんな状況においても勝たなければいけないという試合だということをもっと意識しないといけないです。

豊田:スタンドから観ていても、ワンツーを通される場面、あのシュートをネットにまで届かせてしまう場面……いずれも「どうして?」と観客から声が上がるほど場にそぐわない欠如を感じました。前半ロスタイムですからね。ああいうミス、というか不手際は、サッカーにおいてはせっかく手に入れたアドバンテージを一気に取り崩す高価なものになってしまいます。

椛沢:先日、町田FC浦和監督と吉野北浦和SS監督の対談取材を行いました。浦和レッズのジュニア創設にあたり、地元としてどう連携して才能育成をしていくのかというテーマで長時間に渡りお話を頂きました。この模様はVIPインタビューでお伝えしていきます。浦和レッズがジュニアチームを創るということ以上に、これを契機に地元と連携をすることが出来れば、レッズの歴史にとっても画期的なシステムが創れるのではないかという勝手な期待が湧きましたね。逆にただチームを創るというだけでは、意味がないということも感じた対談でした。

豊田:FC浦和指揮官の町田さん、山田直輝と矢島慎也をレッズに送り込んだ吉野さん。それぞれにホーム浦和の子たちのサッカーの手ほどきに貢献してきた指導者ですから。ジュニア年代のみならず、ホーム浦和と浦和レッズの将来に繋がる連携に関して、貴重な意見をいただいたと思います。

椛沢:次回の浦和タウンミーティングでは、町田さん、吉野さん、そしてレッズから然るべき関係者をお呼びして10月の開催を目標に現在企画中です。地元の才能育成についてご興味ある方は是非ご参加頂ければと思います。今週末は天皇杯2回戦、ヴォルカ鹿児島戦です。久しぶりの浦和駒場スタジアムでのトップチームの試合で、浦和の街も駒場ウィークの雰囲気が早くも出て盛り上がっているようです。ヴォルカ鹿児島は鹿児島サッカー教員団が母体になったクラブで、Jリーグ加盟を目指し1995年に「ヴォルカ鹿児島」と名称変更をして活動をしているクラブです。Jリーグ準加盟を年内にも承認を受ける見通しとのことです。選手では、鹿児島出身の選手が多い中で、浦和高校出身の山口直大選手が所属しているようです。普段試合に出ていない選手のチャンスも回ってくる試合になるかもしれませんが、終盤戦に向けてアピールするんだという意気込みをピッチで見せてくれる選手が数多くいることを期待する試合にしたいと思います。

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