浦和フットボール通信

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【This Week】週刊フットボールトーク Vol.105(9/13)

来季は、週末の駒場開催を提言します。

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:昨晩は、ワールドカップ最終予選、イラク戦が埼玉スタジアムで行われました。埼スタには6万を越える大観衆、瞬間最高視聴率も38.2%と代表人気は衰えることを知らずです。現地観戦の人の話を聞くと最終予選という殺気立った雰囲気よりもロックフェスのようなお祭りの雰囲気だったと……。その状況を鑑みると代表の人気をJリーグに引きこむというのは、また違うアイディアが必要なのかもしれませんね。

豊田:それでもスタンドの映像では極小サイズながら「ドーハを忘れない」のフラッグが現われ、TV映像もそれを捉えました。オールドファンとしては気が晴れましたね。逆の見方からすれば、埼玉スタジアムで「Remember 11.27」が今後のレッズ戦で掲げられることはあるのでしょうか。掲げられたらテレ玉はその映像を写してくれるかな……代表枠が2つしかなかった時代の殺気が望めなくなっても、こういう感性は伝承するしかないんです。客席を占める私たちファンが忘れてしまえば、ドーハやジョホールバルで日本サッカーが体感した衝撃も消えてしまうことになるでしょう。その延長戦で考えれば現状の代表戦客席は、Jリーグを底辺から支えているカテゴリーのスタンドあたりとは「対極」に位置する雰囲気をかもし出しているかも知れない。

椛沢:イラクはジーコ前代表監督が務めているということもあって、研究はし尽くされているだろうという戦前の予想でしたが、その通り遠藤、長谷部、本田の中盤にマンマークをつけてくる戦法を獲ってきました。更にスタメンを10人入れ替えてきました。これによって序盤は日本がリズムを作れずに試合を進めます。しかし前半25分スローインのリスタートから岡崎が右サイドを抜けだしてダイレクトでゴール前の前田にクロス。これを前田がヘッドで押し込んで先制をします。苦しい流れの中でリスタートから得点できたことで日本は一気に楽になりました。日本は、その後、終始主導権を握り、チャンスも数回作りましたが、追加点は決められませんでした。この苦しい試合を勝利して、勝ち点10を積み上げることに成功。オーストラリアがヨルダンに敗れる波乱もあり、日本がグループ首位の座を磐石のものとしました。相手が日本の良さを完全に消しに来たことで内容としてはイマイチでしたが、最終予選では結果が最重要視されるものですから、良い結果で終えたと言って良い試合だったのではないでしょうか。

豊田:感じたのはゲーム運びの安定とパススピードです。ひとむかし前の日本サッカーは、中東のかけひきと勝負どころの狡猾に完全にひれ伏していた。あのスローインから抜け目のない先制点で先手を取り、タイムアップまでのゲームコントロールにきっちりはめ込む……各メディアが書いているよりはザッケローニにしてみれば満足の采配だったと私は思います。それから日本のDFラインからの展開を見ていると、システム変更にもスムーズに対応していると感じた。このところ編集長の新企画のために古い代表戦のビデオばかり観ているのですが、当然のことながら「ドーハの悲劇」当時のイラク戦に比べると選手のクオリティアップがハンパじゃない。象徴的なのがショートパスに使うライナー性のキックと、それを受けるトラップですね。かつての日本人選手なら考えられない。グラウンダーとロビングの使い分けくらいしか、繋ぎのテクニックなんてなかったのですから(笑)。

椛沢:なるほど。さて、先週末はリニューアルされた浦和駒場スタジアムで、トップチーム初の試合となりました。天皇杯2回戦、ヴォルカ鹿児島が対戦相手となりました。まだまだ暑い中での13時キックオフということで、スタンドにいるサポーターでも炎天下に晒されて厳しい状況でした。その中でプレーする選手はより過酷な環境の中での試合ではあったと思いますが、それにしても試合内容はお粗末なものでした。動きの鈍いレッズに対して、前半開始早々の9分にヴォルカ鹿児島にカウンターで抜けだされた。栗山選手に1対1から先制点を決められて0-1のビハインド。その後もしっかりと守備を固めてくる鹿児島に対して策が見いだせない展開が続きますが、田中達也が左サイドの宇賀神からのボールを決めて同点。そのまま前半を折り返しました。後半からデスポトビッチ、ポポのコンビを投入。そのポポが48分に永田からの縦パスを受けて右足を振りぬいて強烈なシュートを決めて、逆転。なんとか勝利して3回戦進出を決めました。この日は試合内容うんぬんよりも「駒場」でのゲームだったということが一番良かったことかもしれません(笑)

豊田:当日は浦和駅周辺で終日を過ごしたのですが、赤のレプリカの人たちはみんな楽しそうだったな。ただ気になった点もありましたね。私の周辺という要素を差し引いたとしても平均年齢が高くなってきていること。そして編集長言うように、久しぶりの駒場の雰囲気にばかり話がおよんでなかなかゲームを振り返る会話が出てこなかった(笑)。

椛沢:実は浦和の街は週始めから週末の駒場での試合があるということでかなり盛り上がっていたようです。9000人弱の観客動員数でしたが、埼スタでの試合後もよりも多くのサポーターが浦和の街を楽しんだ様子で、商店街もいつも以上に赤い人たちが闊歩して盛り上がっていました。駒場でレッズの試合があると、レッズは浦和のチームなんだということを感じることが出来ますし、街もレッズの試合があったんだということを感じることができると改めて思いました。埼スタでの試合だとどうしても街に足を伸ばす気分が出ないのですが、駒場の試合だと浦和で遊んでいこうという気分になれます。

豊田:そういえば「埼玉スタジアム帰りとはちがう気分の会話が出てきた」なんて……さぞかしそうだろうと感じるサポーターグループからの証言も多々耳にしましたね。

椛沢:これはスタジアムと街の距離感が所以している所だと思うので、関係性を変えるのは難しい。そうなると駒場での試合というものを戦略的に開催していく必要があると思います。埼スタとは収容数が4万人ほどの差がありますが、浦和の中での存在感を示す機会として駒場で開催をすることで、埼スタの試合にも行きたいという人を増やすキッカケに出来れば良いのではないかと思います。ぜひ平日のナビスコカップだけではなく、週末のデーゲームで駒場開催というものをクラブには検討してもらいたいと思います。

豊田:ぜひそう願います。目先の数字ばかりで決断を重ねていれば、かならずツケが回る。URAWAはそれを痛いほど学習してきたのですから。駒場の開催は、最終的には埼スタの動員を助けます。ここではっきり提言させてもらっておきましょう。

椛沢:今週末は敵地横浜でマリノス戦です。ホームでは敗れている相手ですし、日産スタジアムは相性も良い場所ですから、勝ち点3をもぎ取って浦和に帰ってきたい試合です。横浜、ガンバ、柏と続く難敵続きの連戦ですが、これを乗り切るための足がかりとなるよう横浜で勝利しましょう!

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