浦和フットボール通信

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「この街の恩返しでサッカーファミリーを増やしたい。」 北本綾子、木原梢(元浦和レッズレディース選手)

世間では、なでしこジャパンの活躍で女子サッカーが随分と認知されるようになった。サッカーの街の浦和では、その輝かしい舞台を支える活動を昨年から続けている人たちがいる。浦和レッズレディースで優勝を経験している北本綾子さんと木原梢さんだ。二人が中心となって立ち上げた「モアスマイルズ」。この活動を通じて彼女たちが描く未来は何か。毎週スクールを行っている、浦和西体育館にお邪魔してお話をお伺いした。(浦和フットボール通信編集部)

北本 綾子(きたもと あやこ)
1983年6月22日北海道札幌市出身。札幌市立信濃小学校2年生のころ、サッカーを始める。北海道文教大学明清高等学校から東京女子体育大学に進学。2002年にはU-19日本女子代表のメンバーに選出され、AFC U-19女子選手権やFIFA U-19女子世界選手権で活躍をした。
大学在学中の2004年、さいたまレイナスFC(現・浦和レッドダイヤモンズ・レディース)へ入団。その年の6月には日本女子代表に選ばれ、アテネオリンピックメンバー候補として6月6日のアメリカ戦(アメリカ合衆国ノイビル)で代表デビュー。2011年に現役を引退。現在は、モアスマイルズ代表として女子スクールを主宰する。JFA公認キッズリ-ダ-取得。JFA公認C級コ-チライセンス取得。

木原梢(きはら こずえ)
1980年9月17日福岡県北九州市出身。武蔵丘短期大学卒業後、2001年にさいたまレイナス(現・浦和レッドダイヤモンズ・レディ-ス)に入団。2004年に、Lリ-グ(現 なでしこリ-グ)と埼玉国体の優勝。2008年大分国体 優勝、2009年なでしこリ-グ優勝にも貢献した。2011年に現役引退後、北本と共にモアスマイルズを設立。JFA公認キッズリ-ダ-取得。JFA公認C級コ-チライセンス取得。

UF:まずは、北本さんと木原さんがサッカーを始めたきっかけから教えて頂けますでしょうか。いつぐらいから蹴りはじめたのでしょうか?

北本:私は先に兄がサッカーをしていて、その影響もあって始めました。当時は小学校2年生でしたが、お兄ちゃん集団とは一緒になかなかボールを蹴らせてもらえなかったんですけど、そこに憧れて一人でボールを蹴っていました。一人でボールを蹴っていたある時に、ボールが浮いて、その喜びからサッカーをはじめたという記憶が鮮明にありますね。女子サッカーをしている方でもお兄ちゃんの影響という方は多いですね。

木原:私も兄がやっていて、私はサッカー自体に興味がなかったんですが、兄がすね当てを買ってもらったのをみて、私もそれが欲しいということを親に懇談したら「サッカーを始めるなら買ってあげる」と言われて小3からサッカーを始めました(笑)。

UF:女子サッカーの環境は今でこそ少しは改善されてきているかと思いますが、お二人が始められた頃は厳しい環境だったのではないでしょうか。

北本:私は札幌出身なんですが、北海道はチームが少ない中で私の地域には小学校、中学と女子チームがたまたまあるラッキーな環境でした。中学校でその環境がなければ他のスポーツをしていたかもしれないですね。

木原:私は福岡の北九州市出身ですが、男の子ばかりのサッカー少年団の中でサッカーをやっていました。5年生くらいの時に各チーム一人二人女子がいたので、北九州市内の女子を集めた市のチームができて、そこと掛け持ちでやるようになりました。中学校は男子チームしかなくて、男子の中でプレーをするのが難しいと思ったので、バスケットボール部に入ったんですが、サッカーが好きだったので、高校ではサッカーがある高校でやろうと思って、またサッカーをやるようになりました。女子は中学でやめてしまう子が多いと思います。

UF:なでしこジャパンがワールドカップ優勝、ロンドン五輪での銀メダルと活躍をして、女子サッカーが世間でも一般的なものになってきたのかなと思える所がありますが、どのような印象を受けますか。

木原:テレビで扱ってくれるのは大きいことで、それによって子供が興味を持ってくれて、あの選手の真似をしたいと思ってくれるといいですね。

北本:私たちのころは憧れの選手というのがメジャーではなかったので、今のような環境になると身近に目標ができるので、サッカーを続けようというモチベーションにもなるのかなと思います。

UF:2011年にお二人が中心となって「モアスマイルズ」を立ち上げました。この街で女子サッカースクールをやろうと思った

北本:私は6年くらい浦和レイナス、浦和レッズレディースでお世話になって、木原も同じく10年間お世話になったのですが、埼玉でのサッカー生活が私たちには大きいなことで色々な方にお世話になったという想いがあったので、サッカー以外で何か恩返しができるのかと思ったけれども、私たちにはサッカーしかないと思ったので、サッカーで子供達に返していくことが唯一私たちができるお返しなのかと思い、全国で女子サッカーの裾野を広げたいという思いもありますが、まずさいたま、浦和発信という思いがあって、浦和の熱いサポーターたちの存在があったここまで来れたので、私たちも埼玉のサッカーを盛り上げようという思いがあって始めました。

UF:スクールの基本方針のようなものはあるのでしょうか。

木原:「サッカーで楽しく笑顔に」というのをモットーにしていて、私たちは将来、絶対になでしこジャパンになるんだという子も良いですが、サッカーをやったことはないけど、ちょっと興味があるとか、体育が苦手という子に対して、サッカーは楽しいスポーツなんだよということを教えたいと思っていて、サッカーを好きになるきっかけになってもらいたいと思っています。

(提供:モアスマイルズ)

北本:サッカーを大人になってもずっと好きになってもらって、サッカーを見に行くとか、そういう意味でのサッカーファミリーを増やしていきたいと思っています。

UF:女子のためのスクールは珍しいのではないでしょうか。

北本:男の子のスクールの中に、レディースコースがあったりはしますが、女の子専門というのは珍しいかもしれません。ここに行けば女の子でも大丈夫というスクールにしたいですね。お母さんから聞くと、男の子の中だとボールになかなか触れないけれども、ここにきたら積極的にやれるという話を頂いてもいます。それぞれの伸び方があって、男の中でやることも良いと思います。上達も男の中だと早いと思いますし、男の子は足も早くて力が強いので、その中でやれる子はぜひやって欲しいと思うので、そこに羽ばたいてもらうのもひとつの目的です。そうなるくらいサッカーが好きになってうまくなってもらいたいですね。

UF:さいたま市も浦和駒場スタジアムを女子サッカーの聖地にという話もありますが、その街の中で、モアスマイルズはどんな存在になっていきたいですか。

木原:いずれの目標として自分たちの場所をさいたま市内でもてれば最高だなと思っていて、そうしたらさいたま市が女子サッカーの街になって、そこの拠点で私たちも活動をしていて、ここに来たら、女の子がどの年代も楽しんでサッカーができるという存在になりたいですね。

UF:ワールドカップも男子よりも先に女子が優勝するなど、女子の方が世界的なレベルは高いと思いますが、日本における女子サッカーの可能性というものは、どのように感じていますか。

北本:アメリカやドイツだと女子サッカーの人口が日本の何十倍もあるのですが、日本は少ない中でもトップレベルでやっているので、もっと裾野が広がれば、もっと強くなって、ずっと世界のトップクラスでいれると思うので、下の部分を増やしながら、さらに中学年代でやめてしまう子を減らせば女子サッカー人口の三角形を大きくしていけると思います。他のクラブチームの方もそのような苦労しながら、裾野を広げてくれていると思うので、そういう人たちの力でもっともっと世界の位置にいる可能性があると思いますね。

UF:女子の方が強いのは、どこに要因があると思いますか?

北本:もちろんプロが増えるのはとても良いことだと思いますが、男子に比べたら厳しい環境の中でやっていることが、逆に強さになっている部分もあるのかなと思います。澤選手など、そういう経験をしている選手がまだ引っ張っている存在であるというのも大きいと思います。そのような経験を知らない世代が出た時に、引っ張る存在であったり、どうやってそのスピリットを伝えていくかということが継承出来れば、技術の部分ではすごく向上しているので、より強くなれるのではないでしょうか。

木原:私は、とにかく真面目に直向きにプレーするという、女子の性格も影響していると思います。今の子供たちを見ていても男の子と女の子では違う部分があって、男の子に比べると女の子の方が真面目な子が多いような気がします。

北本:男の子より負けず嫌いなんじゃないかな?女子サッカーには、ないものがあるので、その分強くなろうと思うのかもしれないですね。

UF:今後の女子サッカー全体への期待については、どのように思いますか。

北本:ニュースなどでも女子サッカーを取り上げてもらって、存在を知ってもらうことが出来たと思うので、その良い流れが出来たところで、それをムーブメントで終わらせないで、色々な人の力で女子サッカーの人口は、もっともっと大きな三角形になれると思いますし、それを広げることで強くなれると思います。まだまだプレイヤー人口が少ないので、逆に広がることでの期待ができると思います。

木原:なでしこジャパンだけじゃなくて、なでしこリーグ全体が盛り上がってくれると良いですね。それぞれの地域にあるクラブで、浦和だったら矢野選手、山郷選手のようになりたいという盛り上がりになってくれると良いですね。

UF:スクールには、どういう子に来てもらいたいでしょうか。

北本:運動が好きだったり、サッカーが好きな子は大歓迎ですし、逆に体育に自信がないから自信をつけたいという子も来てもらいたい。サッカーがちょっと気になっているだけの子に楽しさをわかってもらいたいです。どこの教室も1回は無料の体験ができますので、ぜひ一度参加してみてください。

木原:親御さんからは、サッカーを通じて、協調性をつけさせたいという期待もあります。仲間を思いやる気持ちとか考える力もサッカーによってつくと思います。私たちも「サッカーが上手くなりたいんだったらサッカーだけじゃダメだよ」という話をしていて、子供たちもしっかりと挨拶ができるようになったり、用具の片付けを自然と、誰かがやるようになってから、皆が自主的にやってくれるようになったりして、実際にそのような部分でも子供たちの成長を感じ取ることもできています。

UF:セカンドキャリアという意味でもおふたりの活動は注目されるかと思いますが。

北本:今までなかったケースだと思いますので、私たちが大きくなってレッズレディースの選手や他の選手で、引退後に同じ志を持ってくれる人が出てきたら、その受け皿にもなりたいというのが理想ですね。女の子専門のサッカースクールで、コーチは全てなでしこリーグを経験したOG選手という形が理想ですね。

(提供:モアスマイルズ)

スマイル女子サッカースクール
火曜日  17:00~19:00  レディースサッカー&スポーツ教室(中学生以上の女性)
水曜日 16:10~17:10 ジョモニスタまるひろ南浦和店(小学校1年生~6年生)
木曜日 18:00~19:30 埼玉スタジアムサッカースクール ガールズクラスU-12(担当 北本)

金曜日 17:05~18:30 浦和西体育館 小学校1年生~6年生
土曜日、日曜日 サッカーイベント、クリニックコーチ、個人レッスン、公演など随時受付。

スクール事務局 担当渡辺
080-4167-8537

http://moresmiles.web.fc2.com/index.html

 

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